残響の足りない部屋

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2020春M3作品感想(1)退廃耽美デカダンスの悲劇なる物語音楽はバチクソ充実しているーーAt the Garret「子供部屋の共犯者」

M3にイベント参加をブルシットウィルスのせいで不参加した地方在住リスナーが、今回感想文を書く作品:

At the Garret「子供部屋の共犯者」

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atthegarret.web.fc2.com

 

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(この感想文は、あまり原作小説のネタバレをしないようにしているつもりです)

(2020年M3春のサークルチェックは以下)

modernclothes24music.hatenablog.com

フランスの文士(詩人・劇作家・小説家)、ジャン・コクトォ。美へ隷属する人間の姿、耽美と退廃のなかに堕ちていく美(デカダンス)を見出す文士。彼の傑作のひとつに「恐るべき子供たち」という小説作品があります。主に、四人の少年少女たちが、それぞれの思惑でもって、自然に、不自然にアレコレ行動していくうちに、やがて悲劇的な結末に至る、というド耽美退廃小説です。ザ・リーサルウェポンズの「80年代アクションスター」の世界観の対極です(ロッキーランボーナイトホークス、エイドリアン!×8 アイル・ビー・バック!)

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そんな悲劇を、物語音楽同人サークルAt the Garretが正面からがっぷり組んで題材とし、物語音楽アルバムの形にしました。つまり「原作ありき」の物語音楽です。
というものの、物語の筋をそのまま追う、のではなく、先に述べた四人の少年少女それぞれのキャラを内面から描き、彼/彼女らの視点から見えている、このオカシな状況の空気感・ねじれた状況、そしてもつれた耽美と情愛とコンプレックスを描きます。

ここまで読んでおわかりのように、ザ・リーサルウェポンズの「ホッピーでハッピー」みたいな陽気で爽快なものとはまるで対極の、暗い、シリアスで、ある種陰湿で、それゆえに光届かない闇の中にある美を感じさせる作品です、この2020春M3新譜は。
たぶん冬にひっそり自宅の一室で窓やカーテンを締め切って歌詞カード読みながら聞くのが一番良いのでしょうが、しかし別にいつの時期でもよいと思います。春夏秋冬のどの季節だろうが、これ聞いてジョギングBGMにしよう、なんてことは思いもよらない「音の物語・芸術作品」です。

サウンドは、ほとんどロックバンドサウンドはなく、かといってガチクラシックというのでもなく、「ヨーロピアンスタイル、ユーロジャズ歌謡、バラード」と称すべきでしょうか。作曲者霧夜氏の18番(おはこ)であるピアノが全体をリードしつつ、常に緊迫感を演出します。アコーディオンといったユーロ音源や、あとで述べますがギターの使い方も見事。
一貫して「ダーク」な音像で、もし気をすこし抜けるとしたら「新入り」アガート嬢のパートである、歌謡ジャズなトラック#3。しかしこの曲にしても、あくまで物語を多少俯瞰で全体を見る、っていう意味合いでの「比較的明るめ」です。ですが鳴るアコーディオンの哀愁メロと、ジャズ的スウィングリズムは、祝祭を描かず、ボードレール的な巴里の憂鬱の表現であります。アガート嬢自体がこの作品の中で清涼剤的な役割でありますが、しかしアガートが持つ「キャラとしての情報」が、この物語をどんどん動かしていく悲劇への鍵、敬慕コンプレックスを誘発する鍵であるんですよね。存在が罪とは、なんということでしょう(今の「存在が罪であるのだ」っていうの、まさにコクトォ的ですよね)
ストリングスで壮大さを煽る音像ではありません。世界に向けて壮麗を響かせる作品ではないのです。むしろ、この音が志向するのは、密室芸。狭い空間で、どうにもならなくなっていく少年少女の心情を、深く、堕ちていくことを描くための、沈んでいく鋭い音……

 

なにせ、トラック#4「殉教」の破壊力がすごい。サビが「轟音感」を感じるギターで幕を開けるのですが、そこにある圧倒的美メロ、シリアス心情の張り詰めたテンション、絶望の開幕、音が「精神の暗闇」を展開していく様。わたしはそれをまさに体感しました。
今までのAt the Garretでの霧夜氏のギターは、打ち込みギターを使っていますが、そのフレーズが、天を翔けるかのように、「わたしは羽ばたきたいの、疾走していきたいの!」という心情を十二分に表現しているものでした。別の言い方でいえば、「アンタ(作曲者)の言いたいこと、やりたいことわかるよ、このギター・ソロ!」っていうものです。
今回の歪んだギター伴奏も、実に「わかるよ、ジェラールの、闇へ堕ちていく心情のどうしようもなさ、わかるよ!」っていう表現です。ギターの「入り」のタイミングが完璧で、かなしいヴォーカルと合わさって、轟音ギターの圧力を感じながら、感情の奔流に、リスナーは身を任せるだけです。そんな中でもストリングスは優美に、悲痛に鳴り響きます。「こころの轟音」とも称すべき表現があります。もはや「シューゲイザー」とすら自分は呼びたいほどです。いや、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン要素は全然ありませんが、しかし「轟音の耽美」に心を震わせる人のセンスは、ここにも通じるはずだと思っております。

 

この作品は部分部分で、同系のメロディを、アレンジ(編曲)を駆使して、変奏して対比させています。それは「姉弟」の表現であったり、「子供部屋という舞台の崩壊」であったり。この反復に「キターーーー!」と思うのは、まずもって霧夜氏のメロディ撲殺が右フック、左ストレートのコンビネーションが見事に成り立っている証拠であります。そしてヴォーカル4者(At the Garretメンバー2人、ゲストvo2人体制)の声質とキャラの違いが、メロディを味わい分けることにもなっています。

どの曲も疾走はしませんし、どの曲もとても重みと「圧」が強い。しかし、それでこその耽美なる幻視の芸術である、と思わされます。常に思わされるのは、シリアスである悲痛な物語ですが、「美しい」としか言いようがなく、それは美メロの保証であり、同時にキャラの心情の美しさと悲痛さ。これが芸術でなくて何という、という話です。

「救いがない」という話なんですが、そもそも退廃耽美(デカダンス)とは、はぴはぴハッピーエンドなどそもそも志向しないって話です。堕ちていく美、それを「耽美」と呼び、自ら滅びに向かっていく、己を捨てようとする人間の歩みを「退廃」と呼ぶのです。

ところで、この物語音楽の「最初」と「最後」に、霧夜氏による「BGM付き・まえがきトーク」と「同・あとがきトーク」みたいな表現で、幕はあけ、幕は閉じられるわけです。そこで問いかけがなされます。この物語で誰が正しかったのか、そもそもこの物語は正しかったのか。ていうかこれを聞いてるおまいはどうなのか。すべてはぬばたまの暗闇のなか、判然としない。
そのあたり、極めてKrik/Krakのくらやみ劇場を思わせますね。Krik/Krakは先日、作曲者・鳥島氏が活動休止のアナウンスをしていました。霧夜氏がそれを非常に惜しむツイートをしておられました。この次の記事でのIdeadoll「待雪葬」での記事でも書きますが、今回の霧夜氏の表現に、どこかKrik/Krakが影響していたのではないか?と思わせる音、雰囲気があります。あくまで自分の想像ですが、これは。ただ、自分もKrik/Krakを聞いてきて、あの二人の創作における「手触り」っていうのを、肌で感じてきたわけです。それだけに、体で感じ取ってしまう、今回の霧夜氏の表現に対する「なにか」でした。

「子供部屋の共犯者」、しかしこの作品、CDで買ってよかったです。歌詞カードのめくり方でわかるシンメトリー的対比のデザイン、各キャラを表しているデザイン、視線のからみ「あわなさ」、そしてCD盤面のラストネタバレはちょっとドギツすぎないですか?!と思いましたが、いやむしろここまでブチまけろ!というのが同人音楽であります。

あまりにシリアス、あまりに原作愛と原作解釈がすごく、そして4人に対するキャラ愛が、サークル側にあふれているからこその「解釈」であります。あなたはこの四人の誰が推しですか。ちなみにこの文章の筆者はエリザベートです。どうしようもない女王ですが、明らかに王族のオーラを放っているカリスマじゃないですか。不安定なツンデレヤンデレで絶対的権力者じゃないですか。それで、ベッドで寝てるポールになんか気弱になったりするじゃないですか。アーーーーッ!(語彙力

なんでしょうね、こういう本気の「文芸音楽」をする人たちがこの世にいる、っていうのが、すごい嬉しいですね。ここに「文化」があり、文化を「楽しんでいる」人たちがいる。この作品を聞いて、歌詞カードを見ていて、なんとも「表現しなきゃダメだ!」っていう切迫感は感じず、ただこのコクトォ世界を霧夜メロで展開していくぞ!うわー楽しすぎる!っていう「充実感」をそのまま感じます。
充実感。あるいは創作同人の充実。自分がこの作品を聞いていて、どうしようもなくシリアスなんですが、聞いていて「うわぁ暗くなる……」よりも「良い美であった……!」と満足感が強いのは、多分、サークル・At the Garretの充実感のおすそ分けを頂いたから、っていうのが、個人的に納得のいっているところです。

 

次回2020年春M3作品感想(2) Ideadoll「待雪葬」

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アナログホームページ

 

(ヘッダーinfo)

ゆかいな箱庭ジオラマテキストサイト
管理人の旅行記、創作妄想箱庭「レッズ・エララ神話体系」

 

 

更新履歴&技術情報 2020/02/29

※「レッズ・エララ神話体系」や「ホームページオブ百合機械」「残響の足りない部屋」からいらっしゃった方々へ

2020年02/29から、「アナログホームページ」とサイト名&場所をを変えて、更新していきます。
このwebサイトの内容(残響のネット活動)は大きく分けて
「箱庭オリジナル創作、BGM作成」

旅行記、オフ会&イベントレポート」
の2つです。

 

旅行記

 

更新:2020/02/29

2020春M3と、関東・甲信越旅行と題して、静岡、山梨(2nd)を旅しようと思っていましたが、
かのコロナウィルスの一連の猛威により、今回の旅行をすべて「中止」しました。
正直、とてもヘコんでいます。ホムペ最初の更新がこれってどうなの(苦笑

 

●仙境ヤマナシ旅行記
2018春&2020初春にむけて NEW!
 
●ごうつホビー祭り関連

・第1回オフレポ

・第3回ごうつホ ビー祭りファンサイト(非公式)
……第2回のレポートも若干ここに収めてあります

第3回オフレポ

 

レッズ・エララ神話体系

●最近の更新

・レッズ・エララ神話体系TRPG システム作りました。

はてなブログ使用「レッズ・エララ神話体系エピソード蒐集タグブログ」にて、各設定を断片的に公開しています。

 

redselrla.hatenadiary.jp


 ある程度記事量がかさんできたら、このHP上でドキュメントとしてまとめます。

・最新話
 「微分抜刀斎」(2020/2/15 更新)


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(フッター)
Copyright(C) 2020 zk

 

メイン更新サイト移転しました

このブログサイト「残響の足りない部屋」ですが、これまで静的HTMLサイト「レッズ・エララ神話体系」の別館日記として置いておりました。

で、このところで、メイン更新していくwebサイトを作っておりまして、それが一応、最低限の形にはなったので、こちらからもリンクを貼る所存です。

 

アナログホームページ

 

redselrla.com

 

このホームページは、CMSを一切使っていないのです。ディクレ「Sitehina」を使って、HTML&CSSファイルをデザイン・作成・管理して、FTPアップロードで更新しています。自分に一番合った方法でやっていきたく、Sitehinaを見つけるまでずいぶんかかりましたが、しかし、これが一番良いやり方です。

ブログではあかんの?というご質問ですが、ブログの「毎回1記事ごとに連載的更新」っていう形式が、どうも自分は切迫されるみたいでして。記事数にこだわらず、こつこつwebサイトを、気の向くまま「箱庭的にいじってる」方が、精神安定上良いのですね。

ただ、ひとつ難点があるのは、このSitehina、一応レスポンシブ対応のHTML(5)を吐き出してくれるみたいなんですが、それでもスマホ閲覧で、ちょっと見づらいところもあるのも事実。

なので、このブログ「残響の足りない部屋」に、「アナログホームページ」毎回の更新分を張り付けてしまおう、と考えています。レスポンシブ・パワープレイです。

そういうわけなので、見やすい方でご覧ください。

M3-2020春サークルチェック(終了) 03/05(木)更新

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最終更新:03/05(木)

・2020M3春で発表され、通販が開始された作品の感想文を書き始めましたよー(3/5)

2020春M3作品感想(1)退廃耽美デカダンスの悲劇なる物語音楽はバチクソ充実しているーーAt the Garret「子供部屋の共犯者」 - 残響の足りない部屋

 

・Ideadoll試聴音源感想 追記(02/29)

コロナウイルスの件で、今回の自分のM3上京・関東甲信越旅行の一連を、すべて中止しました(決断・決定)。悔しい、へこみが激しい。しかし、その後の通販に対応する意味合いも含め、サークルチェック更新、情報追加は継続します。

 

ーーー

はいっ、えーそういうわけで音系・メディアミックス同人即売会のM3なんですけどもね、昨年秋の2019M3秋にはわたくし行けなかったものなんですよ仕事でねッ。臥薪嘗胆というか復讐するは我にありというか、ともかくも半年前からヒコーキ予約して、スケジュールをガッツリ空けて、2020春M3に臨むわけなんですがね、まさかね、

M3-2020春についてご案内 | M3 - 音系・メディアミックス同人即売会

もうこうなったらスペースコブラのように「ヒューッ!」と言うしかないですね、いや本当のところは、2/20時点で開催「される」方向性とはいえ、いまだ予断を許さない緊張状態ですよ。

※2/29(土、イベント)時点でも、M3はイベント開催「決行」です。詳しくは上記リンク参照

今回の新型コロナウィルス関連では、わがシマーネ農業王国は「本格的」なリアルバトルフィールドではございません。なので、申しわけないながら都心のリアル環境感覚ってものを、肌身レベルで存じ上げません。しかし常に余裕をもって(ヒューッ!)臨機応変に対応したいと思います。

というわけで、僻地より上京して、M3に一般参加します。→しません。(2/28更新、決定済)

今回はサークル・8TR戦線行進曲としての活動はございません。しかし考えてみれば、2015年の秋に8TR戦線行進曲をはじめてから、一般参加っていうのはだいぶ久方ぶりになっていまして。サークルとして音源を作成して発表できるというのは無類の喜びですが、しかしなかなか「新しくサークルを観て回る、じっくり試聴さしてもらう」っていうのが、難しくなっていたのも事実。そりゃサークルスペースを長く離れるわけにはいきませんからね。(いつも売り子してくださる定時退者・Mirinさんや、合体サークルのときのCrimdoll・KANATAさんありがとうございます)

音楽趣味とは、やはり新しい音楽をdigるのが愉悦です。そんなわけで、今回のM3は、サークルチェックを入念に行います。このブログ記事は、自分が仕入れた情報を逐一手前のために書き込んで更新していきます。それでは順不同でGO!

Ideadoll

 

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そういうわけでさっそく初参加新規サークルのチェキからはじめたいわけなんですが、こちらはAt the Garretのシンガー・桃羽こと氏と鹿伽あかり氏が立ち上げたサークル。コンポーザー(作曲)陣が完全な俺得で危険。At the Garret=霧夜純氏に、Ariabl'eyeS=リゼ氏。霧夜氏に関してはド納得ですし、リゼ氏に関しても、最新作「絶凍のラビリンス」で桃羽氏が参加されているので、こちらも納得。そして個人的にバチクソ最高に良い傾向として、鹿伽氏も作曲されている、という。
こないだUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介さんが、満を持して別バンド・プロジェクトXIIX(テン・トゥエンティ)で非常にメロウな自作曲ソングライティングを開始したじゃないですか。わたくし、メインコンポーザー以外のメンバー、とりわけシンガーが、「作曲をしていく」っていう展開がめちゃくちゃ好きなんです!この世に新しいメロディメーカーがまた産まれた、っていうのが喜ばしくて仕方がない。リスナーとしては自分は「プレイヤー」視点でもなく、「音質」視点でもなく、完全に「楽曲」志向の人間です。そういう立場からすると、メロディメーカーっていうのはこの世に一人でも多くいた方がいいのです。まして、近くであまりにも強力なメロディを生み出し続ける霧夜氏に影響を受けながら、鹿伽氏が作曲していき、Ideadollで独自の世界を作りながら、At the Garretの歌もよりパワフルに歌っていく。なんてったって鹿伽氏も桃羽氏も、At the Garretの初期から歌ってらっしゃるので、「あとぎゃれ失速?」のことになるはずがない。去年の春に傑作「パピエ・コレ」で攻勢をガンガンにかけまくっているタイミングでの、このIdeadoll始動。同人創作活動に脂が乗っているたぁこのことですが、しかし女性にこの表現ってどーなの。ということで、メロディに関してはこれほど心配ないってこともあるまいよ状況です。

 

※2/29(土) 追記更新

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さて、その後、試聴音源が出ましたので、あとぎゃれお茶会配信(ツイキャス)でも聞き、youtubeでもリピートし、と聞いております。

なんというんでしょうね、音楽家はメロディで殴るわけですが、初登場デビューのおでましで幕を開ける場合、「必殺技・得意技」でいきなり殴りつける、っていうのが非常に正しすぎるド正論であるのはいまさら言うこともないと思うんですが、しかし強力ですね、三者三葉のメロディが。

トラック1の霧夜氏の民族音楽的な旋律が、楽器編成も女性ヴォーカルも、そして編み上げられたコーラスも絶品。トラック2の(超期待)鹿伽氏作曲は、桃羽氏voでスキップするかのようなリズムに、エモーショナルさを隠さない歌い上げ。悲し気な妖精の陽性、という旨いところをくすぐってくるメルヒェンです。そしてトラック3のリゼ氏の得意技なバンドサウンド&ゴシック&シンフォニックサウンドが豪速球でカマしてきたら、もうダイヤモンドダストの吹雪の耽美に身を任せるばかりじゃないですか。

三者三葉のメロディ、アレンジ。北国の小さな幻想を表現しています。やはり期待です。

 

At the Garret 

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atthegarret.web.fc2.com

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ジャン・コクトォの「恐るべき子供たち」(Les enfants terribles 英:アンファンテリブル、仏:リ・ザンファンテリボゥ)を題材にした新作を発表とのこと。
やまいりましたね。ベッドに伏せった病弱な弟(美少年)と生まれながらの女王な姉(美少女)と隷属の親友(美少年)と悪魔のような天使のあいつに似た新入り(美少女)が織りなす、耽美、デカダンス、モンマルトルのアパルトメントの一室で、Blanc et Noir(白と黒)の雪の舞い散る幻視の阿片が破滅への道程をいざなう、すべては美へ隷属せよ、な、フランス文学の傑作を、物語音楽にするたぁ参るね。ほら、あとぎゃれ失速とかって誰がいったんですかそんな世迷言!ほれみろ都会の退廃幻想を黄金のメロでブン殴ってきてるじゃないですか! 
しかしまぁ、Les enfants terriblesって、関西弁で意訳すると「(餓鬼どもの年若いくせに趣のある才気煥発な発言に対し)んなことばっか云いやがって、こんのこまっしゃくれた餓鬼ども、たいがいにせぇよワレ」っていうニュアンスが入ってるんですよね。天才的な少年少女たちの才気を美と思いつつも、「つきあってらんねぇ」という嘆息と。もう完全にコクトォなんですが、そんな耽美を音と歌唱に期待しつつ、どーしてわたくしは耽美を関西弁で説明しようとしたのか、釈明を求めたいとこですねほんと(この話題だったらいつまででも語ってられるなぁ)

 

※2/28 通販予約済

3/5 通販到着 感想文を書きました

modernclothes24music.hatenablog.com

Ariabl'eyeS

今回、新譜はないそうなんですが、どうしてもわたくしはいかねばならない。

ariableyes.com

ドチクショゥ!旧譜復刻(片翼のロマンシア&月蝕アルカディア)デモテープ・カセットだとぉ!少部数は覚悟のうえよ、これはいかねばならない、カセットテープ愛好家として!可能なら東京行ったときにワルツ(中目黒のカセットテープ専門店)にもまた寄りたいんだ!

とくに月蝕アルカディアなんですが、前にシングルCD聞きましたが、ここに収められてる月蝕オラトリオは、ツインvoの掛け合いがない初期バージョンなんで、サウンドも荒い感じであるのですが、そこがめちゃくちゃ良い!とくにギターソロが良い!最後やけっぱちにも近づいて轟!と放つ熱量がすごい!

買えるか、買えるかーーー?これは欲しい、すごくほしい。

 

(このページの更新は終了しました。以後、別記事での作品感想に移ります)

まったく私信な内容の記事です(2020/02/09)

私信です(twitterがあった頃は、そちらで出来ていた類のもの)。

皆さんに共通して申しあげたいのは、「今、腰痛をはじめとして、体を治すことに専念しないと、ちょっとマズい感じなので、体治しを第一にさせてください」ということでして、すみませぬ。

 

・異種族レビュアーズの原作漫画をいつの間にか全部読破していました。ノベライズはまだです。放送中止に関しては、まあそりゃそうですよね、とわたくしも思います。

・「ハクメイとミコチ」ですが、自分のなかで「ハチミツとクローバー」みたいに「手を出したら最後、生活に支障をきたすレベルで絶対ドンズバにハマるだろうから怖くてあえて手を出してない」類の作品なのですが(オタク特有のめんどくさい賛辞)、そろそろ勇気を出してみたいかな、と思っています。

スピッツの4月の米子(鳥取県)ライヴは、チケット先行抽選に申し込みましたが、落ちました。

・最近、会う人会う人に、脈絡なく、ザ・リーサルウェポンズを布教しまくっていて、ごめんなさいね。

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・カナリヤさん:お返事記事ありがとうございました。こちらからもお返事書きます。たぶんこのブログ上で。

・feeさん:前の簡易レス以降、こちらからのお返事だいぶ遅れていてすいません。ツイキャス配信聞きました(トランプしてる回とか)。ボイスチェンジャーが手慣れていらっしゃる!

・みづきやさん:先日はお見舞いコメントありがとうございました。コメントで申したwebサイト「アナログホームページ」作成ですが、上記の訳や前記事の訳で遅れています……

・義実さん:まだゴブリンスレイヤー見に行けていません。というか我が県ではどうしようもございません。原作12巻と漫画版9巻は電子書籍予約をかけました。先日、漫画版英訳の続き、44話の英訳版を電子書籍で単品買いしました。またもや18禁警告が出ました。

・まるまるさん:「戦争は女の顔をしていない 1」感想読みました。自分もネットでは断片的に読んでいました(監修の速水螺旋人の流れで)。感想記事に自分も考えさせられます。

・レイシアさん:オーディオ記事も回を重ねられて、大変楽しく読ませて頂いております。

 

 

闇の色は脂肪の白さ --仕事に忙殺される日常、スマホ電子書籍依存、生活メンテナンス

なにせ一日が、速い。

家業の仕事をしている。朝起きて、家の中の工場で仕事をする。そして気が付けば、午後15時になろうとしている。まだやる事はある。だから、自分のこと(趣味活動)は出来ない。
少し休んで、それから家事をする。18時になって、自分含めて家族4人分の夕食を作る。家族4人分+来客分の夕食の片づけ(食器洗い)をする。

20時からは自由時間だという。でも、もし可能ならば、少し遠くにある別の仕事場に行って、仕事のための練習(修行)をした方がいい。実際、そうするときもある。
でも、疲れた。
自室に戻る。ひどく汚く、臭い部屋だ。部屋に放置してある、昨日の夜食の皿から漂っている。見なかったことにする。
冷え切っている。暖房をつける。部屋が暖まるまで、じっとしている。足が凍えているので、靴下を脱ぎ、両手で揉む。やや血行が良くなる。唐突に、そういえばこの世には性欲というものがあったな、と思い出す。そして夜の暗みを感じる。

こうやって夜の静かのなかで、腰を落ち着ける。だいたい、無意識的にスマホスマートフォン)を手にとっている。画面の中では、電子書籍か、インターネットブラウザがある。

電子書籍は、amazonKindle、楽天Kobo、BookWalker、DLSite電子書籍、DMM電子書籍メロンブックス同人電子書籍、COMIC FUZ(芳文社電子書籍)、それからいくつかのpdfファイルを使っている。noteのアプリも入れていいだろうか。その時々でポイントが溜まっているサービスに、若干の色を付ける感じで課金して、電子書籍を読む。KindleはUnlimitedサービスに課金登録している。

これだけ電子書籍のアプリを入れて、課金している額が、一般的と比べて、多いか少ないかは知らない。だが、確実に「活字依存」をしている。読書人界隈で言う「活字中毒」というのとは、自分の場合、ニュアンスが違うように思えてならない。自分の「活字依存」には、より、ネガティヴな意味合いがある。ついスマホをを手に取って、文字を眺めて、ほっと自らを慰撫している。そういえばこの世には性欲というものがあったな、と思い出す。電子書籍活字依存、実に性欲と似ている。

そして電子書籍やネット記事を読んでいれば、もう21時30分を過ぎている。「22時まではまだ30分ある!」と反射的に思うが、20時からの貴重な自由時間を、すでに1時間30分以上も棒に振っている事実の重みを感じ取れ。噛み締めろ。そう電子書籍にも書いてあった。神妙な面持ちの意識になって、ふと気が付くと腰がピリピリと痛い。


腰痛だ。ヘルニアではないが、一カ月前にぎっくり腰をやらかしている。そうでなくても、毎年冬は、腰痛が酷くなるのだ。毎日の肉体労働、しかし運動不足。自室の床にあぐらを組んで姿勢悪く座り電子書籍、そして潰れた煎餅布団での就寝。枕は合っていない。
今年の腰痛は特にひどい。去年ほどの寒さでない暖冬だ。だが一応の冬の寒さは、体を冷やす。というより、脂肪を冷やす。そういえばここしばらく、大便の排泄の後の尻拭いの時、うまく体が可動していないように感じる。今思えば、それはサインだったはずだ。こうやって自分はいろんなサインを見逃している。大便をひり出すとき、スマホ電子書籍を読んでいる。「学び」とか「気づき」とかだからどうしたというのだ、と叫びたい。むしろ排泄した大便、洋式便器の中の水に落ちた大便。その情報を分析せよ

こうやって、毎日、時間を無駄にしている。長い目でみて、健康もムダにしている。
気付けば、一日、何も「創れて」いないことに気が付く。毎日、「創りたい」と思っている。今日こそ模型ジオラマを、今日こそ作曲(最低でもコード進行とリズムトラックだけでも)、今日こそホームページを、今日こそ同人誌を……。そんな夢に縋って、この1,2カ月、同じ日々を過ごしている。

↓(ホームページ)

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Twitterをやめて時間がとれたはずなのに、ホームページの作成ひとつ成し遂げられていない。結局、twitterをやめて得られた時間は、すべて「息抜き休憩(スマホ電子書籍&ネット)」と「生活メンテナンス」に費やされている。

生活メンテナンス。自分のなかで最近芽生えた思想だ。よく「丁寧な暮らし」と、ネット民から揶揄される言葉ではあるが、ようは「衣服をきちんと畳んだり、汚れを落とす」「食事調理の前に、事前に素材を切っておく(効率化)」とか、「風呂場や洗面台といった水回りの衛生レベルを上げる」という、「日常生活」のクオリティを上げる、というのが「生活メンテナンス」と自分が呼んでいるものだ。
これはあくまで「趣味」としてやっている。日常生活のクオリティを上げることが市民として大人としての成熟にして義務! という考えから距離を置いている。「所詮、●●よ…」というニュアンスだ。靴を磨かなくたって死にゃしない。まったくそうだと自分は思う。所詮靴磨き程度よ。

ただ、たまたま自分は「物(モノ、人工物)」が好きなので(愛)、メンテナンスをしているだけである。メンテナンスをすれば、その「物」の現在の情報を、より一層把握することが出来る。情報を把握出来るということは、その「物」の状態の良し悪しが分かり、仮に悪い部分があったとして、その都度修正していけば、「物」の致命的な破壊(カタストロフ的自滅)を、だいぶ先まで伸ばすことが出来る、という道理である。

だが、それにしたって所詮、メンテナンスである。そこまでしてメンテナンスをする道理もあるか、と反論されれば、そっと顔を伏せ「うーん」という苦笑をするしかない。潔く捨てて、潔く新品を買う。それが効率である、それが経済である、と論を言われたら、論破出来ようはずもない。
趣味でメンテナンスをしているにすぎない。だから皆もメンテナンスすべきだ!と言えるはずもないし、言いたいとも思わない。

伝えたいことはない。自分は思っていたよりも、「他人に物事を説明して、その人に納得してもらいたい」という気持ちが、相当薄いということに、気が付いた。「他人は変わらない」という確信ばかりが、自分の中で濃縮されていく。「論破」など、どこの話だろう。


他人を変える、というのは、自分の意志だけではどうしようもない行為だ。「他人を変える」とは、むしろ、他人と自分との共同プロジェクトだ、と認識したほうが、ずっと事実に即していると思う。だから、その人の状況・状態をよく観察して、その人のタイミングを見計らって、上手にプレゼンを行う必要がある。もしくは暴力の香りめいた圧を少しずつかける必要がある。
あるいは、その人から、すっと離れることを選ぶか。実は、9割の場合において、自分は「離れる」を選ぶ人間だ。

電子書籍やネットをスマホで読むのは、「自分のメンテナンスそのもの」では、ない。あくまで指針と情報を得るだけであって、本当に自分を救いたかったら、行動に移さねばならない。「わかった」とか「学び」とか「気づき」なんて言っているだけではダメなのだ。言葉は、ことばに過ぎない。大切なのはことばが「現実になる」ことであり、それが「自分のメンテナンスそのもの」なのだ。具体的には、大便をひねった後で尻拭きを行う際に、脂肪や腰痛で体が動きにくくなっているのが無くなったら、その時「自分のメンテナンス」は為されたということなのだ。

自分の心にはすぐに、鬱が忍び寄る。その闇の色は白い。多分、脂肪の色なんだろう。それなら納得できる。

生活メンテナンスは、各々の生活や、心の個性によってやり方が異なる。自分の場合常に濡れ雑巾を持ち歩くことが、自分に合っていた。
また、スポーツ雑誌(「ターザン」の780号)を読んで、ストレッチを行っている。筋トレの領域(負荷をかけたトレーニング)にまではまだ達していない。頭をつかって、自らの状態を把握し、今の自分に適合したストレッチをこまめにする事だ。重要なのは「腰痛を治す」のが目的なのだから。そこを見誤ってはいけないよ。自分の体、そして心も、物をメンテナンスするように、治すことだ。そのやりかたが自分には合っている。だから他人のことも、そういう意味で「物扱い」していきたいと思うのだが、それはどうなのだろうか。