残響の足りない部屋

もっと多く!かつ細やかに!世界にジョークを見出すのだ

それじゃ残りの人生かけて世界の音楽を聴いてきます ーーカナリヤさんへのお返事

※この記事は、オルタナ音楽/ノベルゲームブログ「Nothing is difficult to those who have the will」管理人・カナリヤさんとの、音楽談義に端を発する記事です。

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●記事の経緯

カナリヤさんが、ZAZEN BOYSのライヴに参戦して、レポ記事を書かれる

同じく向井秀徳チェックマン(愛好者)たる不肖残響(わたくし)が、そのレポ記事にコメントを書く

残響コメントにカナリヤさん、熱と希望あるコメントを返してくださる

その後twitterで、UNISON SQUARE GARDENトリビュート盤を、「the Pillowsが参加してますぜ、しかしそれで納まるクオリティじゃないですぞ」というお勧めを、古参バスターズ(ピロウズ熱烈ファン)のカナリヤさんにする

残響、個人的事情にてtwitterアカウントを削除

カナリヤさん、ユニゾントリビュート盤をご購入、リスニング、そして感想記事を書いてくださる

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↓カナリヤさん、仙台にて再結成ナンバーガールのライヴ参戦、その後ライヴレポートを執筆

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2020/3/1 ナンバーガールが「逆噴射バンド」無観客ライヴを行う。
演奏があり、森山未來OMOIDE IN MY HEADで踊り、向井がタバコを5本同時に吸って、チャカを打つ異常空間Z

イマココ!

 

●御礼

 

ご無沙汰しております、残響です。先日は自分のコメントに、非常にご丁寧な返信記事を書いてくださり、本当にありがとうございました。

the Pillowsにからめたユニゾン布教を、本気で受け取り、音楽を受け取ってくださり、そして記事を書いてくださいました。なによりも、音楽に人生をかけた男たちの熱、意地への感応。時代流行への迎合への反発(の継続)、そしてバンド間のトリビュート=熱に対する愛、を、音源を通して、カナリヤさんも愛してくださって。

 

その後、ナンバーガール「逆噴射バンド」ツアーに参戦され、実際に今のナンバーガールをお聞きになられ。かつ、先日の無観客ライヴも観戦され。剣呑な言葉を使いましたが、あれは……「観戦」ですよねぇ。

しかし、このお返事が本当に遅くなりました。なにせ、いろいろなネタがありすぎて、どれから書いていこうか。ナンバーガールギタリスト田ひさ子とUNISON SQUARE GARDENベーシスト/作詞作曲・田智也の両方が出てくる内容なもので、田渕と田淵が何度も文字列に表れて言語ゲシュタルト崩壊しそうで(どうでもいい)

そんなふうに、ナンバガトークとユニゾントーク、日本オルタナ話をしようと思っていたんです。

ただ、「自分が本当にしたい音楽話は何か?」と考え、考え、考え……。そのことだけじゃないな、同じ音楽リスナーたるカナリヤさんに申し上げることは、と、思いました。

なので、ちょっと話題がズレていきます。ご容赦ください。

 

●音楽で世界一周

 自分は以前、小説を書いていました。その中の一作で、「音楽小説」を書いたことがありました。内容は、「ベルギーのロックバンドのギタリストの女性が、世界中を旅して、その土地のレコードを買ってライヴを観る」っていう内容です。お察しのとおり、残響の個人的願望をそのまま小説にしたものです。女性化願望ではなく、音楽で世界一周する、って方です。

しかし当時、自分はなかなかこの地元・シマーネ農業王国から出られませんでした。闘病もあり、その後の仕事もあり。2009年から2014年まで、島根県から外に出ていませんでした。何が世界一周だって話です。いや、それほどの閉塞状況だったからこそ、そんな夢想をしたのでしょう。

その後、2014年から、病状の回復と、仕事の貯金をはたくことによりw、同人音楽即売会・M3に参加したり、いろいろとライヴを鑑賞するようにもなりました。なんと、人生が変わったものです。

ところで、その音楽小説ですが、いつしか未完になっていました。最初、8~9万字くらい、最後まで書き上げました。でも、出来に納得していなく、また、音楽機材情報も不正確だったので、もう一度書き直そう、と。しかし、これが未完になりました。理由は簡単で、自分が実際に音楽で旅をするようになったのですね。the band apart人間椅子のライヴを観たり。ジャズのライヴ、クラシック、フォーク、ノイズ/シューゲイザー、などなど……。日本の各地に旅をするようになりました。もちろん、その土地土地でレコード、CD、カセットを買って、帰りの荷物でヒーヒー言うように。

そりゃそうだわな、って話です。実際に音楽で旅をするようになって、夢想小説をしてる暇はないっていうことです。

 

●聞こえてくるものだけを

 ↑ このタイトルが、その音楽小説のタイトルでした。音楽……いや、自然の音、機械の音、人の声、いろんな音にインスピレーションを受けた、音楽。聞こえてくるもの。それだけを追って、旅をするっていう小説でした。

それを、なぜ、自分(残響)がリアルに、してはいけないなどと、誰が決めたのでしょう?

今、静かにひしひしと、そのことを思います。自分は、この15年間あまり、結構音楽を聴いてきました。大学時代に「全世界全時代全ジャンルの音楽を聴こう」と、なぜか心に決めて、それ以来やたらと音楽を聴いてきました。それは、なんだかんだで15年続きました。実際に、相当数の音楽を聴いてきたと思うのです。

ところが、ここ数年、ちょっとそのdig(探索)が、保守的になってきたな、と自覚もしました。もちろん、自分で作曲をし、上記M3にサークル参加をするようになって、音楽の聴き方の質が、ガラっと変わった(違った感じに深くなった)というのもあります。なので、ある程度「質(深さ)」の志向に変わったのかもしれません。

でも、ここ最近、カナリヤさんが熱心に向井の音楽をお聞きになっていたり、ユニゾンの音楽からの発展(トリビュート)をされているのを観たり。また、エロゲー批評空間のmerunoniaさん(メルトンさん)への「MUSICUS!」長文感想に不肖残響自分語りのレスをつけさせていただいたりで、

erogamescape.dyndns.org

(この対話は岸田教団のファン同士の暗号まみれです)

「自分が一生をかけてしたいこととは、本当は何だ?」と、以前からの問いを、さらに加速させました。

何かを表現したい、とか、創作をしたい、とか。でも「モノを作れなかったらそいつの人生はクズだ嘘だ」という話は、それこそ間違いの話だ、とようやく悟るようにもなって。

じゃあ、何をすればいいのか。自分が一番楽しかったことを、ずっとしてればいい、っていうことにたどり着こうとして、いろいろ手を出してみる、っていう、なんか矛盾したことをこれまでしていましたw 本やネット記事をいろいろ読んだり。でもそれは、ヒント、指針にはなっても、「本当」じゃなかった、自分にとっては。

ーーーようやく気付き始めたのかもしれません。この「一生をかけてしたいこと」のうちのひとつが、「音楽で世界旅行(自分で作曲含む)」だっていう。あとは「妄想箱庭おもちゃ遊び」。この、2つ。だけ。

なんだ、これまでの34年間で、なんだかんだで捨てきれずに、ずーっとなんだかんだでやってきたこと、そのものじゃないか、という。でも考えれば、音楽もおもちゃ(模型、箱庭)も、あっち側は、自分を「捨て」はしなかったんですよね。自分は、何回か「もういいかもしんない」と捨てようとしましたけど。それでもあっちは、待っているという気概すらなく、待っていてくれたのかもしれません。

あーー、もう、逃れられない……と思う以前に、最初から別に逃れようと思ってもいなかったな、と。なんとなく初めて、その間いろいろあって。自分を託そうともしましたし、押しつぶされそうにもなりました。でも、音楽とおもちゃで、ずーっと楽しんできたわけです。功夫クンフー)を知らず知らずの間に積んでいたのかもしれません。ひとりで音楽orおもちゃ、さえあれば、あとはいくらでも暇をつぶすことが出来る。それは、誰にもできることではないのかもしれません。

自慢でなくて。「あー、そうなんだ」っていう。だから、最終的に、自分が音楽の旅に再び出ようとしている事で、お尻(けつ)をひっぱたいてくれたのは、カナリヤさんというのが、大きいです。「旅をする必要はあるのか?」って尋ねられたら。残りの人生を費やす必要はあるのか、って言われたら、「だって、楽しいんだしねぇ、今」とだけしか答えられません。妥当性は知らない。でも、死ぬ前に、多分後悔はしない。いや、「うわ、これで最後かよ」っていう風には思うでしょうが、でも、この「音楽で世界一周」をする、という決断に、後悔はしない。

じゃあ、即座にリアルに世界に旅だつのか、というと、これもまた違う。「音楽で」世界一周、なのであって、「常に実際に世界一周の旅」というのでは、ない。音楽であればほぼ何でも良いのであって、この場合ナシなのは「これまで聞いてきた音楽だけで、もうよし。懐メロだけでいこう」とすること。それもそれで全然アリですし、別にそれを否定してはいません。しかしただ単にこの「旅」という場合の観点だけでいえば、上記の懐メロ志向はただ単に「旅してない」ってだけなので、それはナシだわ、という理屈です。

だからまずは、自分のCDからリッピングしたMP3音源の整理、そして外国語の勉強。少なくとも、文字が読めなくては話にならない。今、バングラデシュの音楽を聴いてるんですが、まぁベンガル語の文字が読めません。これでそのまま南インドに行くっていうのも、話が違うわけです。まず、youtubespotifyに課金投資することから始めます。そして音楽の「量」を聞く。最低限、どこでどういうことが起こっている「らしい」という音楽シーンの概観が欲しい。このことだけでも、7年くらいサボっていましたからね。

ともかく、自分に必要なのは……何にもまして必要なのは、「自分の人生で何をしたいのか」ということの結論と決断でした。この数年、やたらとその答えを求めてばっかりでした。それでこれ(音楽旅とおもちゃ箱庭)っていうのは、これ以上ないほどの青い鳥現象ですが、しかし気づけてよかった。

カナリヤさんはナンバーガールのライヴ当日に、時間をミスって、会場入りを相当押して(遅れて)入場しました。やっちまった、とレポートで書いておられます。お察しいたします……。しかし、この「やっちまった」感じは、自分の音楽旅でも感じています。なにしろ、全世界全時代全ジャンル、をマジでやるとすると、まぁ知らないことが多い。バングラデシュには15年前くらいのメジャーシーンで、こういう風なバンドがいたんだ、っていうことすら、知らないわけです。ということは、自分はこの20年近くのバングラデシュロックシーンの「伝説」を、無知のおかげで、まったく知らなかったわけです。

さらに言えば、自分は趣味で外国語をやっていますが、これこそ「知らなかった=やっちまった」の連続中の連続です。何回、文字スペルを、意味を間違える? 発音を、構文を、果ては自分はベンガル文字すら知らない。バングラデシュの餓鬼にも劣るって話です、ほんとに。

たぶん、こういうのは一生続くのです。でも、自分は、まず外国語においては、この「知らなかった=やっちまった」を、楽しむようになってきました。最近、書物の読み方が変わったんですよ。本はこれまで「知るため」に文章を読んでいたんですが、外国語勉強をここに挟むと、「知らないことに気づく」のが楽しくて、いろんな外国の本を読んでいます。知らない単語がひとつでもあれば、その本は自分に、己の無知を教えてくれたわけです。どんな餓鬼向けの文章であっても、そこで「知らないことに気づいた」っていうことが、最近楽しくて仕方がない。反省と、ちょっと成長したって実感。それは満足を与えてくれます。他人と比較競争・勝ち負けレースエンドレスをしなくても、自分で満足できます。

音楽で世界一周、って言っていますが、ようは「物事を楽しむハードルを、物凄く下げまくっている」だけの話です。上の外国語の楽しみ方(やったぜ!おれは知らなかったことに気づけた!)は、そのまま、簡単に「音楽」にも転用できますから。

だから、「世界一周できたか否か」ってことじゃないんです。そこはどうでもいい。どこでのたれ死んでも構わない。ただ自分が、音楽の旅の路上にある、っていうことだけ認識できていたら、それでいい。もう、一番の報酬は受け取っている。今聞こえてくるものだけが、その報酬に他ならない。それが「音を楽しむ」だと。

ここまでくるのに、34年はかかりすぎだったのかどうかも、もはやどうでもいいのかもしれません。すべては旅の路上であったのだし、報酬は今日これからも最上のものを聞けるんだし。ちょっと悩んでいるのは、その成果をどこで発表するか、ってことですが、まあこれはおいおい決めていけばいいかな、と。とりあえず最近聞いたバングラデシュの音楽は、カナリヤさんがご期待くださったscrapbox上の音楽地図に書き込んでありますので、よろしかったらご覧下さい。

scrapbox.io

(もうちょっときちんとまとめたくはあるんですけどね、まあ余力で)

 

我々は、ひょっとしたら「後追い」という形で、すべての伝説に乗り遅れてるのかもしれません。そのことは、よく考えました。自分にしたってナンバーガールは後追いです。解散してから聞きました。ユニゾンにしたって、2018年から聞き始めました。新参です。

しかしこのコンプレックス視点を、「おー、わたくしはここ(の音源)にたどりついたのだな」と、自分の射程をちょっと伸ばせたことを、ちょこっと喜んでみる。自分自身で。たぶん、そうして我々は自分を肯定できるんじゃないかと。カナリヤさんも音楽の旅をしよう!っていう話では毛頭ありません。なにせカナリヤさんは、向井という旅の船頭の一挙手一投足を見るのに忙しい。前にもお話したように、「よき隣人の深度」をカナリヤさんは見たくてしょうがないわけですから。そう考えれば、我々は「2020年のナンバーガール」を見ることが、出来たんですよ!しんじられますか!?これは、今、我々が生きていたからできることなんです。それが出来なかった連中がどれほどいたか!だから味わいつくすことが義務……って表現は犬に食わせましょう。大事なのは「俺の目玉が見る景色」以外の何だというのですか。「声のでかい奴が勝つ」?自問自答の足りない奴の戯言にしか聞こえませんな。

向井の目玉が切り取った景色。それでもって、カナリヤさんも残響も、世界の見え方を変更したわけです。あの隣人のその提案を、我々は「よし」と受け取りました。それから、いろんな人生を、カナリヤさんも残響も、歩んできました。そして、カナリヤさんの文章を読んで、自分もいくつかの思考をし、カナリヤさんの「よし」に、何らかの影響(エフェクト)を受けて、自分も、上のように「よし」と決断したわけです。ありがとうございました。それじゃ、残りの人生かけて世界の音楽を聴いてきます。

2020春M3作品感想(2)まだ【リスナー(わたし)】は知らない、【御伽人形の羽ばたく先(Ideadoll)】のこと何も--Ideadoll「待雪葬」

同人音楽イベントM3に、ドチクショウコロナウィルスのせいで不参加だった地方在住通販組筆者が今回感想文を書く作品:

Ideadoll「待雪葬 - a fairy tale of A.-」

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ideadoll.web.fc2.com

前回、At the Garretの新作の充実度について語りましたが、そのAt the Garretの誇る2人の歌姫・鹿伽あかり氏と桃羽こと氏が、別働サークルとして「Ideadoll(イデアドール)」を立ち上げました。そして今回の2020春M3から、新譜を出して活動開始をしました。
前にサークルチェックの時に、シンガー・鹿伽氏が作曲活動を開始したことを物凄い喜び、期待しまくっている旨を書きました。
さあここからが本番です。ドロップされた音源を聞く。その世界を見せて頂きましょうーーーいやはや、音楽の愉悦(たのしみ)とは、まさにこの未知なる音源への期待であることは、クラシック鑑賞者もパンクロッカーも同人音楽愛好者もHip Hopヘッズも変わらないことでありますな。

www.youtube.com

トラック#1 「待雪葬」

作詞:Ideadoll 
作曲:霧夜 純
歌唱:鹿伽あかり・桃羽こと(ツインvo)

At the Garret霧夜氏曲ですが、いわゆる「民族音楽」調。バグパイプパンフルート、小刻みな三拍子民族リズム、多重コーラス、と、民族音楽ファンをニンマリさせる要素満載でお贈りしております。メロディの強さはもう当たり前のごとく。そりゃそうだメロを誰が書いてると思ってるんだ霧夜だぞ(言い方!
At the Garretの二人の歌姫の声質はそれぞれ異なっていて、誠実な響きある中音域(アルト)が鹿伽氏、童女のような天真爛漫の高音域(ソプラノ)が桃羽氏で、その「声楽音域的棲み分け」はしっかりしています。
しかしこれじゃアレですね、まるで樫木祐人ハクメイとミコチ」第2話の、コンジュとミコチが歌うとこみたいですね。
「私のウリは、この竪琴と、艶やかな低音(アルト)でしてよ」「私のウリは高音(ソプラノ)よ」。
ハクミコ知ってる人なら、「あの感じ」そのままですよ。まじでそのままの音楽性というか民族タッチ。

さて、この曲ですが、全3曲EP(ミニアルバム)の中の立ち位置としては、「物語を俯瞰したテーマ曲的位置づけ。各シーンを断片的に、映画じみて別角度から描く」という、結構テクニカルなことをしています。
歌詞は映像的というか、映画的に、物語のいろんなエピソードをぱっぱっ、と次々に出していきます。
それらは断片的で、物語を最後まで聞いて「ああ、あれはここのことか」という風に推察させます。

同時に、ここで民族調の曲であるのが効いてくるのですね。最初に民族的世界観の音像を持ってくる事で、世界観に没入させる。

ときに、前回の記事でも書きましたが、今回の霧夜氏の音楽には、去年活動を停止した物語音楽同人サークル・Krik/Krakの影響を感じてしまいます。こちらの曲の場合には、民族要素、民謡要素、独特のシンセの響かせ方の音作り、に、Krik/Krak鳥島千佳里氏に近いものを感じます。もちろんこれは仮説の推察ですが、しかし、ふと何かが「受け継がれた」と思いを馳せるのも、けして罪ではあるますまい。音楽はそのようにして繋がっていくのですから。


歌詞の中に、この先の悲劇的なラストを彷彿させるワードをどんどんぶっ込んでいくことにより、作品全体のテンションを張り詰め、盛り上げていくのです。
そういう意味で、この作品トータルで、3曲と短いようですが、個人的には上記のように「映画的」な流れを受け取りました。まさしく物語音楽です。そのタイトルトラック・テーマ曲に霧夜氏を持ってくるのは、さすが「信頼の証」と思います。


トラック#2「ひだまりの雪道」


作詞:鹿伽あかり・桃羽こと 
作曲:鹿伽あかり
歌唱:桃羽こと

サウンドは、雪解けの太陽を思わせるような、春一番の風を思わせるような陽性のあたたかさ。世界名作劇場というか、昔のNHKの「みんなのうた」にも出せる感じです。トラック1とトラック3がシリアス曲調なので、とてもバランスが取れています。とくに次のトラック3がシベリア吹雪ダイヤモンドダストなので、この曲の暖かさが染みるって話です。

この曲が、自分が期待していた鹿伽氏の作曲です。スキップみたいに跳ねるようなリズム。桃羽氏のソプラノ天真爛漫歌唱が実に合います。
バックの音源もしっかりしています。ピアノと鉄琴音源を両方使って、明るさとどことなくの心細さ。
ベル(鈴)とスネアドラムを中心にしたリズムトラックの跳ねる感じ。でも「明るくなりきれない、むしろ「信じたいと願う」少女の明るさ、と申しましょうか。繊細ですね。
一番好きなのがサビなのですが、ABメロ&ブリッジと、サビで、メロディが「変わる」印象があります。転調こそしていないように聞こえますが、しかしその展開はドラマティックで違和感はないです。さきに、「信じたいと願う」少女の明るさ、と書きましたが、この部分こそ、そのどことなしの切なさが現れています。桃羽氏の歌唱が良い仕事をしまくっています。ほんとそのあたり、世界名作劇場的なフィーリングですね。

で、歌詞ですが、これは鹿伽氏と桃羽氏の共作の歌詞です。「戦犯は誰だ?」と問いたいですね。このサンホラ直系のダブルミーニング考察歌詞は!!
サンホラ(Sound Horizon)を知らない人は、よくわからない話ですが、ええと、例えば、今回の記事のタイトルありますね。一応、本作にオマージュをささげた形でタイトル付けてるんですが、この程度、この「ひだまりの雪道」の歌詞の前では、児戯にも等しくて。ネタバレはやめよう、っていうのがこの感想文のモットーなんですが、【  】でくくられた「意味」に、ルビでもって歌唱するのの、言葉の長さ! 意味の詰め込みすぎ! これはほんと歌詞カードを見てくださいとしか。

いや、これはネタでもdisでもなく、これくらい「攻めてる」サンホラ直系のダブルミーニング歌詞の怒涛さ、読んでいて楽しいです。ここにエグ味を持たせるとは。だから「戦犯は誰だ!?」は、賛辞と受け取ってください。ほんとどっちなんだ、この怒涛の考察構成を仕組んだのは。そしてエグ味、ケレン味というのを、この文章の作者はすごく高く評価する人間です。

 
トラック#3「葬雪サクリファイス

作詞:鹿伽あかり 
作曲:リゼ
歌唱:鹿伽あかり・桃羽こと(ツインvo)


さて、自分で言うのもなんですが、わたくしはそれなりにAriabl'eyeSのヘビーリスナーだと思うのです。まあガチ勢ほどではありませんが、1stアルバム「碧き幻想のエリジウム」4thシングル「月蝕アルカディア」から、最新作「絶凍のラビリンス」まで、ずーっとアルバム購入してヘビロテしてきています。なので発表した音源は、「かなり大体全部聞いている」って感じです。去年の「ローゼンシリーズ」再現ライヴにも、島根県からわざわざ行きました。

この「葬雪サクリファイス」は、Ariabl'eyeSの最新作「絶凍のラビリンス」が「氷の世界の蒼」なアルバムで、その名の通り、非常に凍てついた世界を描いたものでした(※桃羽氏が、ナレーションで参加しています)。なので、その流れでの曲調と言うことも出来るのですが、しかし「ダイヤモンドダスト吹雪度」ということでいえば、「絶凍のラビリンス」収録曲よりももっと高い「ゴーーーッ!(風の吹き付ける音)」という「吹雪度」マシマシのように聞こえます。要するに、リゼ氏お得意のヴァイオリンとバンドサウンドを中心にした壮麗耽美シンフォニックロックサウンドを、BPM高めに剛速球で投げつけて、疾走しているわけです。我々がリゼ氏に求めているものはマジでこれです。期待を裏切らない!

意外にもAriabl'eyeSは、同人ゴシック系のなかでも「あまり【語り】を使わない傾向にある」サークルなのですが、この曲ではのっけから鹿伽氏による語りを解禁しています。最初から疾走している曲で、そこにカッケェ語りが入ってくるので、テンションが上がります。あたかもまるでイタロディスコの煽りラップのように

もうとにかく美麗メロで疾走、疾走!鳴り響けヴァイオリン、シンフォニックに!Ariabl'eyeS自体がツインヴォーカルなので、Ideadollに提供しているツインヴォーカルアレンジも実にツボを突いたもので、素晴らしい。
と言いながら、しかしAriabl'eyeSの音楽の質感とはやはり違うように感じます。もちろんそれはIdeadollの2人の歌姫の実力であります。Aメロ後半部のコード展開・上昇の音符をレガート歌唱で歌い上げるところ、意外とAriabl'eyeSでは見られない音でした(オタク解説。
しかしそれって凄くないですか。完全にIdeadollの2人が「自分たちの表現」としてメロディを歌いこなしているってことです。


このEPはこの曲で終わるのですが、「ここで終わるしかないなぁ」と思わせる構成力です。どこまでも螺旋を描くかのように美麗メロをツインヴォーカルでテンションを上げながら疾走をどこまでも! しかも最後の最後でメロを変えて鹿伽氏と桃羽氏の掛け合い!それが終わったらリフに乗って今度は桃羽氏の語りが入る! 悲劇の終焉に向かって羽ばたくかのような疾走感です。


ある意味、物語は悲劇的に断ち切れるわけですが、それがあまりにかっこ良いのでw 短編映画ライクでありますが、最後やたらとテンションが上がる、っていう。それはEP(ミニアルバム)として、音楽的にもガッツポーズで終わるしかない、っていうことでもあります。3曲だけなんですが、充実度が高い。

 

つまりどの曲も粒揃い。
ただ、トラックとトラックの間に、インタールード(間奏曲)的な「語り+BGM」な小さい音源もあっても良い、と思うこともないわけでもないんですが…………しかし、一介の「楽曲重視」派音楽リスナーとしての傲慢な発言をすれば、このように練り上げられた美メロ3連発を1,2,3と、ドン、ドン、ドン!とお出しされた時点で「満足じゃぁ!」でありますのですよ。アルバムとして「ダレる」ことがなさ過ぎるという、良きEPです。


そのあたり、「物語音楽的にちょっとインタールードを」と言う向きもあるかもしれません。そちらもそれで、むしろ物語に惚れた物語音楽愛好者の正直な意見だと、筋の通りを感じます。ただ単に自分は、楽曲重視音楽リスナーな出自なだけですハイ。

 

ですが、このあたりの「エピソード補完」は、公式HPで「Episode 0」としてBGM付き小説で為されてるのですね。素晴らしい。

ideadoll.web.fc2.com

(上記storyページ下部参照)

というのも、特にトラック2「ひだまりの雪道」で、このCD中では登場していないキャラや設定があることが示されているのですが、さすがに全3曲でそれらを登場・展開するのは無理がある。長尺プログレじゃないんだから(問題発言


そのあたりをHPで「エピソード小説」として補完して表現していくのは、同人音楽として王道ですね。だからこそこのやり方はOKなのです。そう考えれば、本編に無理にインタールード小曲を入れなくても良い、ということも言えます。少なくとも自分は納得します。

 

そういうわけで、次作が早くも気になります。a fairy tale of Sをやってもいいんやで。
このIdeadollが、At the Garret本隊が動いていない時のプロジェクトという話でありますが(ツイキャスお茶会配信での発言)、少なくともこの待雪葬のアリソンとスノウの話だけでも、設定が練られているだけに、活動がこれこっきりということは先生許さんぞ、っていう話です(言い方!


とくに、これだけ陽性の心あたたまるメロディを書ける鹿伽氏と、怒涛の複合意味性解釈歌詞を書ける桃羽氏。これを捨てる話などあるわけがねぇ。
At the Garretは霧夜純氏を核(エンジン)としての密室芸であるのは論を待ちません。なのでAt the Garretはこのままで行ってもらって、鹿伽氏作曲・桃羽氏作詞、というIdeadollが「そちらはそちら」で自由に妄想豊かに動いてもらう。
そうして我々は三ツ星☆リストランテの野宮塔子氏の歌詞・文学圧を受けての霧夜メロディを味わいながら、At the Garretの屋根裏密室とIdeadollのメルヒェンが、幻想の小宇宙を構成する様を味わうわけです。贅沢な話ですねぇ。同人音楽って素晴らしいなぁ。

 

Ideadollが今回のように「小さなミニアルバム」を構築力豊かに構成できることがわかりました。ですがそこからすぐに「じゃあフルアルバムを!」っていうのはどうなのかな、と思う自分がいます。そりゃ、出たら出たで大喝采ですが、それはAt the Garretの進行を止めてまで行うことなのか。そういう無理なサークル活動をしていくのはよろしくないなぁと思います。あくまでゆっくり、しかし小さな世界のメルヒェン(幻想御伽話)をこれからも作っていってほしいところです。雛鳥は羽ばたきはじめました。鷹や鷲になる義務はないけれど、しかしこれからも自由に美しく歌っていってほしいと願います。小さな世界の構築を大事にしてもらいたい、そう願うばかりです。

2020春M3作品感想(1)退廃耽美デカダンスの悲劇なる物語音楽はバチクソ充実しているーーAt the Garret「子供部屋の共犯者」

M3にイベント参加をブルシットウィルスのせいで不参加した地方在住リスナーが、今回感想文を書く作品:

At the Garret「子供部屋の共犯者」

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atthegarret.web.fc2.com

 

www.youtube.com

(この感想文は、あまり原作小説のネタバレをしないようにしているつもりです)

(2020年M3春のサークルチェックは以下)

modernclothes24music.hatenablog.com

フランスの文士(詩人・劇作家・小説家)、ジャン・コクトォ。美へ隷属する人間の姿、耽美と退廃のなかに堕ちていく美(デカダンス)を見出す文士。彼の傑作のひとつに「恐るべき子供たち」という小説作品があります。主に、四人の少年少女たちが、それぞれの思惑でもって、自然に、不自然にアレコレ行動していくうちに、やがて悲劇的な結末に至る、というド耽美退廃小説です。ザ・リーサルウェポンズの「80年代アクションスター」の世界観の対極です(ロッキーランボーナイトホークス、エイドリアン!×8 アイル・ビー・バック!)

www.youtube.com

 

そんな悲劇を、物語音楽同人サークルAt the Garretが正面からがっぷり組んで題材とし、物語音楽アルバムの形にしました。つまり「原作ありき」の物語音楽です。
というものの、物語の筋をそのまま追う、のではなく、先に述べた四人の少年少女それぞれのキャラを内面から描き、彼/彼女らの視点から見えている、このオカシな状況の空気感・ねじれた状況、そしてもつれた耽美と情愛とコンプレックスを描きます。

ここまで読んでおわかりのように、ザ・リーサルウェポンズの「ホッピーでハッピー」みたいな陽気で爽快なものとはまるで対極の、暗い、シリアスで、ある種陰湿で、それゆえに光届かない闇の中にある美を感じさせる作品です、この2020春M3新譜は。
たぶん冬にひっそり自宅の一室で窓やカーテンを締め切って歌詞カード読みながら聞くのが一番良いのでしょうが、しかし別にいつの時期でもよいと思います。春夏秋冬のどの季節だろうが、これ聞いてジョギングBGMにしよう、なんてことは思いもよらない「音の物語・芸術作品」です。

サウンドは、ほとんどロックバンドサウンドはなく、かといってガチクラシックというのでもなく、「ヨーロピアンスタイル、ユーロジャズ歌謡、バラード」と称すべきでしょうか。作曲者霧夜氏の18番(おはこ)であるピアノが全体をリードしつつ、常に緊迫感を演出します。アコーディオンといったユーロ音源や、あとで述べますがギターの使い方も見事。
一貫して「ダーク」な音像で、もし気をすこし抜けるとしたら「新入り」アガート嬢のパートである、歌謡ジャズなトラック#3。しかしこの曲にしても、あくまで物語を多少俯瞰で全体を見る、っていう意味合いでの「比較的明るめ」です。ですが鳴るアコーディオンの哀愁メロと、ジャズ的スウィングリズムは、祝祭を描かず、ボードレール的な巴里の憂鬱の表現であります。アガート嬢自体がこの作品の中で清涼剤的な役割でありますが、しかしアガートが持つ「キャラとしての情報」が、この物語をどんどん動かしていく悲劇への鍵、敬慕コンプレックスを誘発する鍵であるんですよね。存在が罪とは、なんということでしょう(今の「存在が罪であるのだ」っていうの、まさにコクトォ的ですよね)
ストリングスで壮大さを煽る音像ではありません。世界に向けて壮麗を響かせる作品ではないのです。むしろ、この音が志向するのは、密室芸。狭い空間で、どうにもならなくなっていく少年少女の心情を、深く、堕ちていくことを描くための、沈んでいく鋭い音……

 

なにせ、トラック#4「殉教」の破壊力がすごい。サビが「轟音感」を感じるギターで幕を開けるのですが、そこにある圧倒的美メロ、シリアス心情の張り詰めたテンション、絶望の開幕、音が「精神の暗闇」を展開していく様。わたしはそれをまさに体感しました。
今までのAt the Garretでの霧夜氏のギターは、打ち込みギターを使っていますが、そのフレーズが、天を翔けるかのように、「わたしは羽ばたきたいの、疾走していきたいの!」という心情を十二分に表現しているものでした。別の言い方でいえば、「アンタ(作曲者)の言いたいこと、やりたいことわかるよ、このギター・ソロ!」っていうものです。
今回の歪んだギター伴奏も、実に「わかるよ、ジェラールの、闇へ堕ちていく心情のどうしようもなさ、わかるよ!」っていう表現です。ギターの「入り」のタイミングが完璧で、かなしいヴォーカルと合わさって、轟音ギターの圧力を感じながら、感情の奔流に、リスナーは身を任せるだけです。そんな中でもストリングスは優美に、悲痛に鳴り響きます。「こころの轟音」とも称すべき表現があります。もはや「シューゲイザー」とすら自分は呼びたいほどです。いや、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン要素は全然ありませんが、しかし「轟音の耽美」に心を震わせる人のセンスは、ここにも通じるはずだと思っております。

 

この作品は部分部分で、同系のメロディを、アレンジ(編曲)を駆使して、変奏して対比させています。それは「姉弟」の表現であったり、「子供部屋という舞台の崩壊」であったり。この反復に「キターーーー!」と思うのは、まずもって霧夜氏のメロディ撲殺が右フック、左ストレートのコンビネーションが見事に成り立っている証拠であります。そしてヴォーカル4者(At the Garretメンバー2人、ゲストvo2人体制)の声質とキャラの違いが、メロディを味わい分けることにもなっています。

どの曲も疾走はしませんし、どの曲もとても重みと「圧」が強い。しかし、それでこその耽美なる幻視の芸術である、と思わされます。常に思わされるのは、シリアスである悲痛な物語ですが、「美しい」としか言いようがなく、それは美メロの保証であり、同時にキャラの心情の美しさと悲痛さ。これが芸術でなくて何という、という話です。

「救いがない」という話なんですが、そもそも退廃耽美(デカダンス)とは、はぴはぴハッピーエンドなどそもそも志向しないって話です。堕ちていく美、それを「耽美」と呼び、自ら滅びに向かっていく、己を捨てようとする人間の歩みを「退廃」と呼ぶのです。

ところで、この物語音楽の「最初」と「最後」に、霧夜氏による「BGM付き・まえがきトーク」と「同・あとがきトーク」みたいな表現で、幕はあけ、幕は閉じられるわけです。そこで問いかけがなされます。この物語で誰が正しかったのか、そもそもこの物語は正しかったのか。ていうかこれを聞いてるおまいはどうなのか。すべてはぬばたまの暗闇のなか、判然としない。
そのあたり、極めてKrik/Krakのくらやみ劇場を思わせますね。Krik/Krakは先日、作曲者・鳥島氏が活動休止のアナウンスをしていました。霧夜氏がそれを非常に惜しむツイートをしておられました。この次の記事でのIdeadoll「待雪葬」での記事でも書きますが、今回の霧夜氏の表現に、どこかKrik/Krakが影響していたのではないか?と思わせる音、雰囲気があります。あくまで自分の想像ですが、これは。ただ、自分もKrik/Krakを聞いてきて、あの二人の創作における「手触り」っていうのを、肌で感じてきたわけです。それだけに、体で感じ取ってしまう、今回の霧夜氏の表現に対する「なにか」でした。

「子供部屋の共犯者」、しかしこの作品、CDで買ってよかったです。歌詞カードのめくり方でわかるシンメトリー的対比のデザイン、各キャラを表しているデザイン、視線のからみ「あわなさ」、そしてCD盤面のラストネタバレはちょっとドギツすぎないですか?!と思いましたが、いやむしろここまでブチまけろ!というのが同人音楽であります。

あまりにシリアス、あまりに原作愛と原作解釈がすごく、そして4人に対するキャラ愛が、サークル側にあふれているからこその「解釈」であります。あなたはこの四人の誰が推しですか。ちなみにこの文章の筆者はエリザベートです。どうしようもない女王ですが、明らかに王族のオーラを放っているカリスマじゃないですか。不安定なツンデレヤンデレで絶対的権力者じゃないですか。それで、ベッドで寝てるポールになんか気弱になったりするじゃないですか。アーーーーッ!(語彙力

なんでしょうね、こういう本気の「文芸音楽」をする人たちがこの世にいる、っていうのが、すごい嬉しいですね。ここに「文化」があり、文化を「楽しんでいる」人たちがいる。この作品を聞いて、歌詞カードを見ていて、なんとも「表現しなきゃダメだ!」っていう切迫感は感じず、ただこのコクトォ世界を霧夜メロで展開していくぞ!うわー楽しすぎる!っていう「充実感」をそのまま感じます。
充実感。あるいは創作同人の充実。自分がこの作品を聞いていて、どうしようもなくシリアスなんですが、聞いていて「うわぁ暗くなる……」よりも「良い美であった……!」と満足感が強いのは、多分、サークル・At the Garretの充実感のおすそ分けを頂いたから、っていうのが、個人的に納得のいっているところです。

 

次回2020年春M3作品感想(2) Ideadoll「待雪葬」

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(ヘッダーinfo)

ゆかいな箱庭ジオラマテキストサイト
管理人の旅行記、創作妄想箱庭「レッズ・エララ神話体系」

 

 

更新履歴&技術情報 2020/02/29

※「レッズ・エララ神話体系」や「ホームページオブ百合機械」「残響の足りない部屋」からいらっしゃった方々へ

2020年02/29から、「アナログホームページ」とサイト名&場所をを変えて、更新していきます。
このwebサイトの内容(残響のネット活動)は大きく分けて
「箱庭オリジナル創作、BGM作成」

旅行記、オフ会&イベントレポート」
の2つです。

 

旅行記

 

更新:2020/02/29

2020春M3と、関東・甲信越旅行と題して、静岡、山梨(2nd)を旅しようと思っていましたが、
かのコロナウィルスの一連の猛威により、今回の旅行をすべて「中止」しました。
正直、とてもヘコんでいます。ホムペ最初の更新がこれってどうなの(苦笑

 

●仙境ヤマナシ旅行記
2018春&2020初春にむけて NEW!
 
●ごうつホビー祭り関連

・第1回オフレポ

・第3回ごうつホ ビー祭りファンサイト(非公式)
……第2回のレポートも若干ここに収めてあります

第3回オフレポ

 

レッズ・エララ神話体系

●最近の更新

・レッズ・エララ神話体系TRPG システム作りました。

はてなブログ使用「レッズ・エララ神話体系エピソード蒐集タグブログ」にて、各設定を断片的に公開しています。

 

redselrla.hatenadiary.jp


 ある程度記事量がかさんできたら、このHP上でドキュメントとしてまとめます。

・最新話
 「微分抜刀斎」(2020/2/15 更新)


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(フッター)
Copyright(C) 2020 zk

 

メイン更新サイト移転しました

このブログサイト「残響の足りない部屋」ですが、これまで静的HTMLサイト「レッズ・エララ神話体系」の別館日記として置いておりました。

で、このところで、メイン更新していくwebサイトを作っておりまして、それが一応、最低限の形にはなったので、こちらからもリンクを貼る所存です。

 

アナログホームページ

 

redselrla.com

 

このホームページは、CMSを一切使っていないのです。ディクレ「Sitehina」を使って、HTML&CSSファイルをデザイン・作成・管理して、FTPアップロードで更新しています。自分に一番合った方法でやっていきたく、Sitehinaを見つけるまでずいぶんかかりましたが、しかし、これが一番良いやり方です。

ブログではあかんの?というご質問ですが、ブログの「毎回1記事ごとに連載的更新」っていう形式が、どうも自分は切迫されるみたいでして。記事数にこだわらず、こつこつwebサイトを、気の向くまま「箱庭的にいじってる」方が、精神安定上良いのですね。

ただ、ひとつ難点があるのは、このSitehina、一応レスポンシブ対応のHTML(5)を吐き出してくれるみたいなんですが、それでもスマホ閲覧で、ちょっと見づらいところもあるのも事実。

なので、このブログ「残響の足りない部屋」に、「アナログホームページ」毎回の更新分を張り付けてしまおう、と考えています。レスポンシブ・パワープレイです。

そういうわけなので、見やすい方でご覧ください。

M3-2020春サークルチェック(終了) 03/05(木)更新

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最終更新:03/05(木)

・2020M3春で発表され、通販が開始された作品の感想文を書き始めましたよー(3/5)

2020春M3作品感想(1)退廃耽美デカダンスの悲劇なる物語音楽はバチクソ充実しているーーAt the Garret「子供部屋の共犯者」 - 残響の足りない部屋

 

・Ideadoll試聴音源感想 追記(02/29)

コロナウイルスの件で、今回の自分のM3上京・関東甲信越旅行の一連を、すべて中止しました(決断・決定)。悔しい、へこみが激しい。しかし、その後の通販に対応する意味合いも含め、サークルチェック更新、情報追加は継続します。

 

ーーー

はいっ、えーそういうわけで音系・メディアミックス同人即売会のM3なんですけどもね、昨年秋の2019M3秋にはわたくし行けなかったものなんですよ仕事でねッ。臥薪嘗胆というか復讐するは我にありというか、ともかくも半年前からヒコーキ予約して、スケジュールをガッツリ空けて、2020春M3に臨むわけなんですがね、まさかね、

M3-2020春についてご案内 | M3 - 音系・メディアミックス同人即売会

もうこうなったらスペースコブラのように「ヒューッ!」と言うしかないですね、いや本当のところは、2/20時点で開催「される」方向性とはいえ、いまだ予断を許さない緊張状態ですよ。

※2/29(土、イベント)時点でも、M3はイベント開催「決行」です。詳しくは上記リンク参照

今回の新型コロナウィルス関連では、わがシマーネ農業王国は「本格的」なリアルバトルフィールドではございません。なので、申しわけないながら都心のリアル環境感覚ってものを、肌身レベルで存じ上げません。しかし常に余裕をもって(ヒューッ!)臨機応変に対応したいと思います。

というわけで、僻地より上京して、M3に一般参加します。→しません。(2/28更新、決定済)

今回はサークル・8TR戦線行進曲としての活動はございません。しかし考えてみれば、2015年の秋に8TR戦線行進曲をはじめてから、一般参加っていうのはだいぶ久方ぶりになっていまして。サークルとして音源を作成して発表できるというのは無類の喜びですが、しかしなかなか「新しくサークルを観て回る、じっくり試聴さしてもらう」っていうのが、難しくなっていたのも事実。そりゃサークルスペースを長く離れるわけにはいきませんからね。(いつも売り子してくださる定時退者・Mirinさんや、合体サークルのときのCrimdoll・KANATAさんありがとうございます)

音楽趣味とは、やはり新しい音楽をdigるのが愉悦です。そんなわけで、今回のM3は、サークルチェックを入念に行います。このブログ記事は、自分が仕入れた情報を逐一手前のために書き込んで更新していきます。それでは順不同でGO!

Ideadoll

 

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ideadoll.web.fc2.com

 

twitter.com

そういうわけでさっそく初参加新規サークルのチェキからはじめたいわけなんですが、こちらはAt the Garretのシンガー・桃羽こと氏と鹿伽あかり氏が立ち上げたサークル。コンポーザー(作曲)陣が完全な俺得で危険。At the Garret=霧夜純氏に、Ariabl'eyeS=リゼ氏。霧夜氏に関してはド納得ですし、リゼ氏に関しても、最新作「絶凍のラビリンス」で桃羽氏が参加されているので、こちらも納得。そして個人的にバチクソ最高に良い傾向として、鹿伽氏も作曲されている、という。
こないだUNISON SQUARE GARDENの斎藤宏介さんが、満を持して別バンド・プロジェクトXIIX(テン・トゥエンティ)で非常にメロウな自作曲ソングライティングを開始したじゃないですか。わたくし、メインコンポーザー以外のメンバー、とりわけシンガーが、「作曲をしていく」っていう展開がめちゃくちゃ好きなんです!この世に新しいメロディメーカーがまた産まれた、っていうのが喜ばしくて仕方がない。リスナーとしては自分は「プレイヤー」視点でもなく、「音質」視点でもなく、完全に「楽曲」志向の人間です。そういう立場からすると、メロディメーカーっていうのはこの世に一人でも多くいた方がいいのです。まして、近くであまりにも強力なメロディを生み出し続ける霧夜氏に影響を受けながら、鹿伽氏が作曲していき、Ideadollで独自の世界を作りながら、At the Garretの歌もよりパワフルに歌っていく。なんてったって鹿伽氏も桃羽氏も、At the Garretの初期から歌ってらっしゃるので、「あとぎゃれ失速?」のことになるはずがない。去年の春に傑作「パピエ・コレ」で攻勢をガンガンにかけまくっているタイミングでの、このIdeadoll始動。同人創作活動に脂が乗っているたぁこのことですが、しかし女性にこの表現ってどーなの。ということで、メロディに関してはこれほど心配ないってこともあるまいよ状況です。

 

※2/29(土) 追記更新

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さて、その後、試聴音源が出ましたので、あとぎゃれお茶会配信(ツイキャス)でも聞き、youtubeでもリピートし、と聞いております。

なんというんでしょうね、音楽家はメロディで殴るわけですが、初登場デビューのおでましで幕を開ける場合、「必殺技・得意技」でいきなり殴りつける、っていうのが非常に正しすぎるド正論であるのはいまさら言うこともないと思うんですが、しかし強力ですね、三者三葉のメロディが。

トラック1の霧夜氏の民族音楽的な旋律が、楽器編成も女性ヴォーカルも、そして編み上げられたコーラスも絶品。トラック2の(超期待)鹿伽氏作曲は、桃羽氏voでスキップするかのようなリズムに、エモーショナルさを隠さない歌い上げ。悲し気な妖精の陽性、という旨いところをくすぐってくるメルヒェンです。そしてトラック3のリゼ氏の得意技なバンドサウンド&ゴシック&シンフォニックサウンドが豪速球でカマしてきたら、もうダイヤモンドダストの吹雪の耽美に身を任せるばかりじゃないですか。

三者三葉のメロディ、アレンジ。北国の小さな幻想を表現しています。やはり期待です。

 

At the Garret 

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atthegarret.web.fc2.com

www.youtube.com

ジャン・コクトォの「恐るべき子供たち」(Les enfants terribles 英:アンファンテリブル、仏:リ・ザンファンテリボゥ)を題材にした新作を発表とのこと。
やまいりましたね。ベッドに伏せった病弱な弟(美少年)と生まれながらの女王な姉(美少女)と隷属の親友(美少年)と悪魔のような天使のあいつに似た新入り(美少女)が織りなす、耽美、デカダンス、モンマルトルのアパルトメントの一室で、Blanc et Noir(白と黒)の雪の舞い散る幻視の阿片が破滅への道程をいざなう、すべては美へ隷属せよ、な、フランス文学の傑作を、物語音楽にするたぁ参るね。ほら、あとぎゃれ失速とかって誰がいったんですかそんな世迷言!ほれみろ都会の退廃幻想を黄金のメロでブン殴ってきてるじゃないですか! 
しかしまぁ、Les enfants terriblesって、関西弁で意訳すると「(餓鬼どもの年若いくせに趣のある才気煥発な発言に対し)んなことばっか云いやがって、こんのこまっしゃくれた餓鬼ども、たいがいにせぇよワレ」っていうニュアンスが入ってるんですよね。天才的な少年少女たちの才気を美と思いつつも、「つきあってらんねぇ」という嘆息と。もう完全にコクトォなんですが、そんな耽美を音と歌唱に期待しつつ、どーしてわたくしは耽美を関西弁で説明しようとしたのか、釈明を求めたいとこですねほんと(この話題だったらいつまででも語ってられるなぁ)

 

※2/28 通販予約済

3/5 通販到着 感想文を書きました

modernclothes24music.hatenablog.com

Ariabl'eyeS

今回、新譜はないそうなんですが、どうしてもわたくしはいかねばならない。

ariableyes.com

ドチクショゥ!旧譜復刻(片翼のロマンシア&月蝕アルカディア)デモテープ・カセットだとぉ!少部数は覚悟のうえよ、これはいかねばならない、カセットテープ愛好家として!可能なら東京行ったときにワルツ(中目黒のカセットテープ専門店)にもまた寄りたいんだ!

とくに月蝕アルカディアなんですが、前にシングルCD聞きましたが、ここに収められてる月蝕オラトリオは、ツインvoの掛け合いがない初期バージョンなんで、サウンドも荒い感じであるのですが、そこがめちゃくちゃ良い!とくにギターソロが良い!最後やけっぱちにも近づいて轟!と放つ熱量がすごい!

買えるか、買えるかーーー?これは欲しい、すごくほしい。

 

(このページの更新は終了しました。以後、別記事での作品感想に移ります)