残響の足りない部屋

もっと多く!かつ細やかに!世界にジョークを見出すのだ

読書感想文

何かを尊く思うこと −−熊代亨『「推し」で心はみたされる?』感想

私は熊代亨氏(シロクマ氏)の文章を長く愛読していて、新刊が出たら無条件に読むことにしています。そんなわけなので新刊を読みました。 p-shirokuma.hatenadiary.com 昔の話をさせてください。私が年若い学生の頃の話です。この本を読んで思い出しまして…。…

SFなどを読む日々 赤いオーロラの街で、アシモフ、数学ガール、レオナ・ロイヤル・ロード

昨年、このような記事を書きました。 modernclothes24music.hatenablog.com 内容は、「科学技術(テック)&社会派コラム、という観点からSF小説を読んでいきたい」というものです。 この記事を公開してから、記事中でご紹介している書評ブログ「止まり木に…

SF小説を読みたい

SF(サイエンス・フィクション)小説を、いま読みたく思っています。 私はここ数年、物語、とくに小説というものに苦手意識を持っていました。主な理由は、文章を読むことで脳内でビジュアル展開をするのがめんどくさい、というものです。それから人間ドラマ…

漫画「メダリスト」感想(2) 勝ちと負けと成長と和解

前回のつづきです。つるまいかだ氏作の漫画「メダリスト」について。 前回 ↓ modernclothes24music.hatenablog.com 前回の「メダリスト」感想記事を読んでくださった友人からメールでコメントを頂きました。ありがとうございます。そのやりとりで、前回の私…

漫画「メダリスト」 呪詛を念じて勝利する復讐精神への「NO」

つるまいかだ「メダリスト」ってフィギュアスケート漫画があるんですよ。今、アフタヌーンで連載されています。 「自分が何も出来ない」コンプレックスを抱えるフィギュアスケート初心者少女(以下いのりさん)を、アイスダンス競技者として「折れた」青年(…

日記0716 多忙感、少し痩せた、「腹を空かせた勇者ども」

多忙感続き 今も、毎日の雑事で忙しく感じています。前の日記で書いた「多忙感」状況はなんだかんだ未だに続いてしまっている。 日記06/18 多忙感と体力不足 - 残響の足りない部屋 だんだんこの多忙感に慣れていってるけれど、これ慣れちゃいけない類なんじ…

道草パレット「北海道コミティア遠征レポ」感想

旅行記漫画同人サークル「道草パレット」さんの新刊を通販で買いました。今回の記事はその感想文です。 新刊「北海道コミティア遠征レポ」 www.pixiv.net これまで購入した作品(1) これまで購入した作品(2) 道草パレットさんは、サークル主宰のみどり氏…

本屋・レコード屋通いというギャンブル

自分はどうにもギャンブルに向いていない人間のようです。博打(ギャンブル)=ギャンブル性ゲーム+お金を賭ける事、なんですが、どうにも賭け事の一連の流れで、楽しむことが出来ないのですね。落ち着かない。 というか、ほとんど「ギャンブル性」というも…

「何者かになりたい」とか、天啓とか、ルサンチマンとか人生とか

「お前は何者だーっ!?」と問われたら、「永遠に遊び人で、テキストサイト管理人だーっ!」って答えたいんです。 ●熊代亨氏の新刊(既刊全部読んでる) p-shirokuma.hatenadiary.com 熊代亨氏(シロクマ先生)の新刊「何者かになりたい」を読みました。何で…

panpanya先生の世界が30代の自分の世界をごそっと変えていっちまった件について

自分がpanpnaya先生を知ったのは、2019年の夏でした。きっかけは、わたくしのAmazonKindle電子書籍の「おすすめ」通知が、やたらとpanpanya先生の単行本を、何か月にも渡って執拗に推し続けてきたからです。 通常の自分は、いくらAmazonの「おすすめ」通知=…

清潔を巡る問答ーー熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』感想その3

その1 熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』一読目の感想 - 残響の足りない部屋 その2 『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』感想その2 - 残響の足りない部屋 この本の第5章は「秩序としての清潔」で…

『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』感想その2

熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』一読目の感想 - 残響の足りない部屋 ↑感想その1 著者さんのブログ 自分はもともと埼玉県の南東部某所、関東の国道沿いタウンのあたりに住んでいました。東武線を数駅くらいで東京都足立区…

熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』一読目の感想

p-shirokuma.hatenadiary.com 「うわキッつ、うわぁ、重きっつい」 サクサク読めません。身近なトピックばかりが並ぶのに、物理書籍のページを2,3枚たぐって「ホフ」とため息。そして自分の人生を思って、胸元あたりの臓腑がぢんわり重くなり、そこでページ…

職業倫理としてのゴブリンスレイヤー

ゴブリンスレイヤーは辺境都市社会に必要な人材である。だが求められる形は、勇者でもなければ、英雄でもない。王でもなければ、騎士でもない。求められる形、それは実のところは冒険者ですら、ない。この場合の冒険者、とは「富と名声、そして浪漫(ロマン…

「ノラと皇女と野良猫ハート」(ノラとと)の感想です

エロゲー批評空間に投げた「ノラと皇女と野良猫ハート」の感想文を、せっかくですのでこのブログにも置いておきます。他のレビューもちょくちょく置いていってみようと思います。しかし、 今まで書いた感想文はこれくらいあって、 最近書き始めたエロゲソン…

ひづき夜宵「つい×つい~Twins×Twins~」第一話感想と、八卦電影城の特質考察

つい先日ですが、ひづき夜宵氏が、新しいweb漫画サイト「とわコミ!」にて新連載をはじめました。 tridentworks.co.jp 個人的にひづき氏の「オリジナル新作漫画」は非常に待望していたのでうれしいのです。というわけで、この際だから自分のひづき夜宵=サー…

誰かに楽しさを教わった者は、それを誰かに伝えるべきだ!――『ガンダムビルドファイターズA』二巻読解

●今日の買い物 ●本part ・大日本絵画「月刊モデルグラフィックス」2014年九月号(いわずと知れた、主にメカ系模型雑誌。ちなみにどうでもいいが残響の定期購読雑誌) ・「月刊アーマーモデリング」2014年八月号(ミリタリー系模型雑誌) ・「ネイビーヤード…

オミットと親切さ――物語作法の最大効率と倫理

辿町さんからのtwitterでのレスに御答しようとして、ずいぶん時間がたってしまいました。 辿町うたげ氏のブログ 転々し、酩酊 辿町さんのレスっていうのは、自分がエロスケ(エロゲー批評空間)に書いた、同人エロゲサークル「夜のひつじ」の傑作「幼馴染と…

この戦争には勝てっこないってことを知る――艦隊これくしょん―艦これ―「いつか静かな海で」読解

ああ、眠ったんだ。そして、ずーっと昔のことを夢に見たんだ。 空に舞う、叛逆の軍を見るんだよ。 眠り、夢を見る。 俺はキャンプファイアーを見て、炎の中から、戦いの歌が出てくるのを見たんだよ。 叛逆者たちは、空でワルツを踊り続けてた。 the Clash「…

何のためにブログを書くか、2014年上半期、物語読解編

●前回、エロゲを「なんでそこまで読みとかなければならないのか?」という論点で〆ました 何のためにブログを書くか、2014年上半期、音楽編 - 残響の足りない部屋 何のためにブログを書くか、2014年上半期、エロゲ編 - 残響の足りない部屋 所詮我々は、消費…

「「若作りうつ」社会」の感想と個人的重い思い

※今回の記事はブログ「シロクマの屑籠」と熊代亨「「若作りうつ」社会」の読者前提で書いてる感じです。 「若作りうつ」社会 (講談社現代新書) 作者: 熊代亨 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2014/02/19 メディア: 新書 この商品を含むブログ (5件) を見る …

VRMMO転生俺TUEEE小説という「お約束形式」が「芸術表現の土壌」になった現在

web小説に関しては素人の残響です。そこはご了承ください。ですが、猛烈に書きたくなってこの記事書きます。 ――いまやVRMMOは、単なるSS、単なるジャンル小説を越境した、「これからの物語」をはぐくむ「土壌」になりつつある、と考えるのがわたしの立場です…

フミツキマサヒト「清楚な妹は兄が変態的にお好き!?」感想

サークル公式ブログ 文月堂。の隠れ家 公式通販 文月堂。 「レビューアップします!」とよく口にするものの、本当にアップするのは数ヶ月遅れで、ぬけぬけとアップして「アップした」ということにしている系男子の残響です。ほんと死なねえかな自分……。(各…

滝川幸司「天皇と文壇」における<公宴>と、平安ヒエラルキーのマクロ構造

前回記事 滝川幸司「天皇と文壇」の宮廷詩宴考察から見る、平安期政治力学のダイナミクス - 実験秋雨前線青本(書評ブログ) 天皇と文壇―平安前期の公的文学 (研究叢書) 作者: 滝川幸司 出版社/メーカー: 和泉書院 発売日: 2007/03 メディア: 単行本 この商…

滝川幸司「天皇と文壇」の宮廷詩宴考察から見る、平安期政治力学のダイナミクス

天皇と文壇―平安前期の公的文学 (研究叢書) 作者: 滝川幸司 出版社/メーカー: 和泉書院 発売日: 2007/03 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (2件) を見る 滝川幸司先生はわたしの恩師であり、大学・大学院時代の文学研究の師匠であられるのですが、その…

鬱ブックガイド

桜玉吉「幽玄漫玉日記」(1~6) このシリーズは、「防衛漫玉日記」「御緩〃」もあるのですが、まず「鬱の作法」を学ぶには、これ、とわたしは思うのです。(「防衛」は鬱度皆無ですし、「御緩」は末期の錯乱がすごい……逆に、末期の錯乱にいま瀕しているひと…

「なろう」とかのweb小説(異世界転生チーレム系)を自分の人生に生かすための読み方

自称書評家残響です。 こんかいのお話は「教訓的な物語」と「物語の教訓的な読み方」です。言葉遊びじゃないよ。 ●序 まおゆう以降 そこまで熱心にweb小説--とくになろう系の異世界チーレム系(平凡な人生を現世で送っている俺が、ふとしたことで異世界に…

フミツキマサヒト「双子のイトコはおもちゃがお好き!?」レビュー

公式ページ 文月堂。の隠れ家 「レビュー書きますよ! 待っててください!」 と言っておきながら、実際にレビューを上げる(形にする)までに相当時間がかかる系レビュアーなので、「あいつ狼少年の嘘つき詐欺師だろ」と白眼視されてる系男子の残響です。わ…

情景描写小説は、すげえ小説だが、すげえ読みにくい

エセ批評家・残響(ペンネーム)です。 今回は「小説を読むのがめっちゃ遅い!」というおはなしです。 ●序 なんでオレサマはこんなに小説が読みにくいのか どうも自分はフィクション(小説)が、すげい読むのが遅い。 長い間それがめっちゃ疑問だったし、【…

自殺のこと

末井昭「自殺」に、次のような文言がかかれていました。「自殺まで考えている人は書くことがいっぱいあるはずです。自殺することを決意するまでの経過や、考えている自殺の方法や、死ぬことの恐怖や、自分の頭の中にあるものをすべてさらけだしてみることで…