残響の足りない部屋

もっと多く!かつ細やかに!世界にジョークを見出すのだ

過去に作った詩

この詩に関しては7月31日分の更新をご覧下さい。

○もし私が世界を描けるのなら


世界中、大地の上が一年間凍結したら……
マッチ棒の群れのようなビル群も
人々が頭の上の方に思い描くさまざまな不気味な空想も、
コールタールにも似たもろもろの廃棄物も
全部氷漬けになったら……

そのとき世界のあれこれに色を塗りたくることができたら
今とは違う色にしてみせるよ
鈍色に包まれ回転している世界に気づかない人々が
一生かかってやっと網膜に映し出せるくらい
淡くて鮮やかな色に


凍結したつり橋の上を歩いていこう
凍結した川の上に私は居る
凍結した山の中に私は居て
思い出した嫌いな物に水彩絵の具で斜線を引いた
思い描く、私の思うがままに
十回は見捨てられた物に色を塗ろう
私は一人で
しかしそのことを全然気にとめなかった
狂ったように、静かに、色を塗っていく
線の混乱は樹海のように
自然美とは異なった形で、加速してゆく