残響の足りない部屋

もっと多く!かつ細やかに!世界にジョークを見出すのだ

修道院は眠らない

二人は祈り続けている。時の流れも忘れ、一心に、神に祈りを捧げている。荒地に立ちそびえる木のように、親鳥のえさを待つ小鳥のように。
夜は青白くなり、タールのようにどんよりとした暗さが晴れ、闇が消えていく。光は、ろうそくのものだけでなく、部屋中にひっそりと拡散していく。遠い空にかすかに明かりがともったようだ。この時をもって、二人の礼拝は終わる。二人は、周りの色彩が変わっていくのを確認して、礼拝の終わりの言葉を紡いでいく。そして聖典を閉じ、傍らに置く。両手を重ね、胸の前に持ってきて、最後の祈りをする。それが終わったら、二人は自らの寝所へと行く。出口へとつながる一本の道の両隣には、礼拝用の大きな木の椅子が、林のように、あるいは遺跡のように、青白い朝の中、並んでいた。生白い青さが夜明けをまとう。輝く光はまだなく、闇がどんどん消えていくだけ。
礼拝堂の出口の扉をあけると、廊下に出て、室内よりもわずかに明るい。白い壁に囲まれた木枠の窓の外には、夜の暗さが遠くなっていく森の姿があった。二人は、寝所に向かって淀みなく歩いていく。いつもと同じように、変わることなく。修道院の中はどこも同じような作りで、重い木の扉と、白い壁と、木枠の窓。寝所に着いた二人は、細々とした食事をとり、そして静かに眠る。

(続く)