残響の足りない部屋

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続々・BOYAKI about Music '09(日記)

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mixiはじめました。「近代衣服の残響」で出ると思います。携帯規制ではねられてから、今まで、長かったです……。
あっちの日記ではよけいに好き勝手なことを書こうと思います。
ここでは書くのがはばかられるような。

で、今回アップした詩ですが、パソコンの中を漁っていたら見つけたので、
白日のもとにさらしてみることにしました。
……暗いですね〜、なんか病んでますね……
大学生(学部生)時代の詩なので、情念を叩きつけるような感じの書き方をしています。
――今となっては、まあ、こういう書き方はしなくなりましたね。
一応は、対象と距離をとることを念頭において作品を書くようにしています。
まだなかなか出来ていないところが多分にありますが。

出来としては……う〜ん、一個一個のフレーズ的には「いいかな?」と思えるようなものがあっても、
総体的には積極的に「これはいいぞ」と思えるほどでは……。
何といいますか、テキストの内的緊張の面、構築性の面でかなり甘いところがあるので。
まあ……過渡期の作品、ということで。
もしご感想いただけたら、泣いて喜びます。

●BOYAKI about Music '09(3)

<<6.>>
100sを聞く。そして中村一義の歌唱法を思う。
彼の「日本語英語」によって、日本語の、「うた」の可能性は拡張された。
しかし人によってはそれを日本語に対する冒涜、破壊行為と見なすかもしれない。
だがわたしは弁護する。
彼のその言語発音表現によってのみ表現されるものがあるからだ。
日本人だからといって日本人らしく歌わねばならない義務などない。
我々は芸術的理想実現のためには手段を選ばなくてよい。
たとえ日本語として奇妙であっても、結果素晴らしいものになれば、芸術というものは、それで万事よいのだ。

<<7.>>

『ロッキング・オン・ジャパン』周辺のあれこれ(ミュージシャンや読者層)にどーにも慣れないものを感じていたが、理由の一端がようやくわかった気がする。
ようするに、「ロキノン系」を論じる人々は、ロックにおいて、サウンドプロダクツよりも歌詞のメッセージ性を重視しているのだ。
そのミュージシャンがどのようなことを言っているか。
そのミュージシャンが時代の何を体現しているか。
そして、それらにいかに感情移入することができるか。

う〜ん、わたしがそれに慣れないのは、わたしがただ単に「音」を重点的に聴いているからだと思う。
もちろん歌詞も読む。だが歌詞が全てだとは思っていない。
「音」と歌詞が有機的に絡み合ったところ、混ざり合ったところに音楽というものはある。
それと同時に、音だけの快楽というのもある……と思ったりもするのだ。
そして音楽とは、音の快楽を第一義とするものではないか、と思う。
ただ言いたいだけなら音を鳴らさなくていいのだから。
言い換えれば、そのミュージシャンがどういうことを言っているかを、一度切り離して音だけを感じる、ということができないものか、ということだ。

……この音楽の楽しみ方は異端だろうか? 
まあ確かに一般的ではないかもしれない。マニアの聞き方かもしれない。
しかしね……音楽家を思想家のように扱って神格化するのはどーかと思うのだ。
『ロッキング・オン』周辺って、「僕らの音楽」「僕らのカリスマ」と、「僕ら」に近いものだけを称揚する傾向にある気がする。
なんかそれがうざったくなってきて、買うの数年前にやめた。
わたしは「僕らの代弁者」を全面で標榜するようなミュージシャンなど求めていないから。
ギリギリに尖った音、自由な音、味わい深い音が好きだから。
ま、これはあくまでわたし個人の勝手な思い。普遍できるとは到底思っていない。

<<8.>>

ロキノン系補足。
あの手の批評を読んでいて「嫌だなぁ」と思うのは、口では音や歌詞に関して「自由を」「もっと自由を」と言っているのに、
その裏では「やっぱりこの日本的抒情性がいい」とか言っているところ。
真に自由であるということは、そういう風に安易に「日本的なるもの」に流れ落ちることではあるまい。
それを、常に相対化して、「それでもあえて」と選ぶのが、まっとうなミュージシャンの矜持ではあるまいか。
だからわたしは言う。「自由を、もっと自由を!」
アバンギャルドなまでに。アナーキズムに至るまでに。
詩人・ボードレールは「地球の外へ!」と言った。
もし表現者として真に「オルタナ」であろうと望むなら、いやが上にも音楽上の最左翼に臨まねばならない。
それも、己がポップ・センスを削らないまま。
日本的抒情を抱いていたいなら、それをピュアな形で残していかねばならない。
これはやはり、大事業には変わりあるまい。

(次回最終回)

本日のBGM:ソニック・ユース『ダーティ』(この音、ビート、このハウリング・ノイズ、きりきりに歪んだアバンギャルド性、これこそロックだ……と思うのですが、普通の人のロック観と違うのは認めましょう。)