(これはtwitter実況のログです)
大阪ポストロック/マスロック/フュージョンバンド(こうカテゴライズして大丈夫かしら)FaRangeのギタリスト、びわこ氏による、アンビエント・ソロプロジェクト「瑠璃色の森」
氏の作品で、前にレビューできなかったものを、さらに実況レビューしてみます
(前のレビュー(感想その1)というのはこれです。去年書きました。)
音源はこちらです
↓↓
https://soundcloud.com/biwakoooo
また、瑠璃色の森の公式アカウント(twitter)はこちらです。
瑠璃色の森 (Lapis_Forest) on Twitter
「風の憧憬(簡単ver)」
アコギで、あのクロノ・トリガーの名曲(たしか中世フィールド)を、静かに、静かに演奏します。
弱いタッチで、繊細に、心のひだに染みいる「静けさ」です。
途中からアレンジ…いや、ソロが入ってきますが、どこまでも押さえ感がきいていて、ひたすら心が静かに。
原曲はこちら
「Lake.Christmas」
非常にリバーブがきいたプロダクトに、荘厳なギターの下降フレーズがひたひたと染みいってきます。
ただただ、何かを追悼するかのように。祈るように。クリスマスの祝祭よりも、原義的クリスマスの「静かなる祈り」に近いような。
バッキングの降りていくようなリバーブ感に、ウワモノが切ないソロを奏でます。それらが絡み合って(時に非ギター的奏法を使って)、音を重ねていきます。
まさにループ/アンビプロジェクト。しかし……これは、非常に「祈り」感が強いです。
ラストの胸を締め付けるフレーズが、絶品です。同じリフを続けるのですが、その一音一音のフレーズが、ひたすらに祈りと嘆きを。
「midmorning.wav」
ふわっとした雲を掴むような感じからはじまります。けだるいような、煙幕に包まれているような。
しかしこのトンネルをくぐり抜けているかのようなアトモスフェリックな音像は心安らぎますね。
そこに、単音の繊細なクリーントーンが入ってきます。この絡み合い!
まるで風を掴んでいるかのようです。フォークトロニカ的な感じも受けるのですが、これは非常にオーガニックな感じです。
優しい。そしてエゴがない。
「空気」というものは、他のジャンルでは描けないのですが、びわこ氏にとっては、空気を描くことは、こうも出来てしまうのですね……
「Lake deepnight」
どう考えてもギターの音色じゃないドローン系の音からはじまります。まさに空間、洞窟感!この不穏さはたまりませんね、煙幕的な闇。
まさに夜。ですが何かが襲いかかるかのような不吉さではなく、夜の風景というか情景が広がっていく感じ
そこから、まるでオルガンが差し込むかのように、光が差し込むかのように、そんな感じの音が聞こえてきます。
……光? いやこれは、雅楽における笙とか、バッハの曲における(コラールとか)オルガンめいた、「天井からの音」を想起したのであって、ことさらに「明るさ」ではないのでしょう
バッハのオルガン曲『目覚めよ、と呼ぶ声が聴こえ』 - YouTube
その、暗がりの中のヴェールめいた音響(アトモスフェリック)から、5:30ころから繊細な単音フレーズが聞こえてきます。
すごい弱々しい音なのですが、聞き逃せない音です。ギターの生音っぽい感じ。形にならない音形なのですが、これが非常に繊細で、夢の中の風景みたいです
そう……甘美な夢。一抹の不安感があるのが、まさに夢の感じ。
ディレイ多用(たぶん)の浮遊感でもって、夜の暗がりから、夢の感じまで描いていきます。ほとんど画家ですねびわこ氏は。
その夢めいたフレーズ(そこまで定型じゃないですが)、さらに虚空な感じ(こおおおお、みたいな)音響が響いてきます。最初のとはまた違った洞窟感。
そこからさらに感じが変わってきます。折れそうな繊細フレーズ、バックは「ほわほわ」と「とどろき」が合わさったような、中へ中へと吸い込まれそうな感覚。
それはメインのフレーズも。詩情たっぷりのギターが、覚めそうで覚めない夢を見せます。
夢は覚めることなく。夜は朝に到達することもなく、静かに過ぎていきます。
そんな曲のように受け取りました。