ノイズとは何か?
雑音である。「雑」多なるエモーションの綴れ織りを描く「音」である。
ポストロックとは何か? シューゲイザーとは何か?
既存の「いわゆるポップス方程式」に、「それだけじゃないぞ!」と、エフェクター反響煙幕ギター(等)ノイズの狼煙と、誇り高きこころの旗を掲げる音楽である!
それらは、何かと戦う音楽である。譲れない何かのために、何か(それは、外敵ですらないかもしれない)と切り結ぶ音楽である。そして……なにかを鎮魂してやまない、美しい音楽である……。
詩的表現はここまでとして。(どうせ当日のほうが、よっぽど詩的なのだ)
関西に、大阪・奈良に住む、若きこころよ!
熱き激情を、この社会の中で飼いならしつつも、それでも「彼方の美」を求めてやまない、若き求道者たちよ!祭りである!ライヴである!
大阪心斎橋FANJ、ポストロック・シューゲイザー合同ライヴである! そして……この合同ライヴは、深海600m初ライヴ! しかも、迎え撃つは、盟友・僕を殺す世界へ!
当日の参加バンドは以下の面々!フライヤーを転載します。
開催会場:大阪心斎橋・FANJ
●深海600m
えと、去年から残響さん(筆者)、関西のポストロック系インディーズシーンに非常に注目しています。
そのきっかけとなったのが、「轟音サミット」です。
轟音サミットVol.3@神崎川スタジオアングル - Togetterまとめ
ざっくり説明すると、関西の若手インディーズミュージシャンが集まって、エフェクターを持ちより、轟音の探究をするという求道的集まりだったのですが……まあようするに「スタジオにエフェクターを尋常でない数持ちこんで、音響実験」といいう、度肝を抜く催しで。
一枚だけ写真を紹介するなら、こんな感じ。
轟音サミットvol.3、6人で278台集結!!!! pic.twitter.com/wGuYDdOUeQ
— paradogs (@paradoogs) September 15, 2013
もう駄目だこいつら!
オットット!暴言を失礼しました。
さて、ポストロックとは、シューゲイザーとはどないな音楽ですか? という質問に対しては、
「バンド・アンサンブルが美しいロック」「ノイズが美しいロック」とざっくりっ答えます。
深海600mについては、以前記事を書きました。
まだ、音源はひとつだけしか公開してないですが、その「美」たるや、圧倒的!
それもそうです、このバンドは、様々なジャンルのミュージシャンたちが集まっていて(はじめて組まれたバンドじゃない、ということ)、各々のミュージシャンシップを存分に発揮しながら、ひとつの「美」を求めるグループだからです。
美……「世界」と表現したほうがいいかもですが、まあそこは、言葉にはあまり拘らずにいきましょう。感覚的に読みとってください。
深海600mの現メンバーは以下の通りで、(現状公開されている音源では)インストバンドです。
村岡龍之介(key)
五十嵐文太(gt)
スーやん(Dr)
サポートメンバー:中神寛恵(少女Aの考察、)
各オリジナルメンバーのバンド経歴の紹介。
Key・村岡龍之介
村岡 龍之介 (azuki_600m) on Twitter
轟音サミット主催。使いこまれたRorandのJUNOに、エフェクターを大量に接続、独特の怜悧な単音サウンドと、圧倒的なシンフォニックなシンセサウンドは、もはやシグネチャーといってよい。
以前、「未確認飛行物体」というバンドを組んでいて、そこではスペーシーな空間表現を行っていた。SF的な世界観。そのあたりについては、過去にこうした考察記事を書きました。
キーボーディスト村岡龍之介の宇宙(音源レビュー) - 残響の足りない部屋
UFO追跡から、深海探索という、世界観のフェイズシフト。……いわば、画家にして、探索者。
Gt・五十嵐文太
五十嵐文太 (garacuta_bunta) on Twitter
孤独なる心情を、ジャズマスターの調べに乗せて、時に優しく、時にノイジィに、ヒリヒリするくらいに鮮烈に。
というか。このひとの、空間系エフェクターを使った浮遊感と、ザクッとしたギター音同居感が好きなのですよわたし。その「感じ」は、深海600mのFine後半でのエモーショナルなギターノイズで。
以前、「ナレノハテ_」というオルタナバンドを組んでいて、ぐいぐいとドライヴするバンドサウンドに、エフェクティヴかつ、ザクッとゴリっとした、聞きごたえのあるギターサウンドが、エモいメロと共に響くバンドです。その「まっすぐに伝わってくる感」よ。
また、五十嵐氏は、各ミュージシャンの音源をコピーしてみる系の動画もやってらして、先ほど書いた「ザクっとしたギター」の醍醐味は、ここでも聞けます。
Dr・スーやん
とにかくシンバルワークの「波」感が、このバンドには欠かせない! 詩情豊かなドラムワークです。
それくらい、繊細なる響きを知っているドラマーですが、それが「ドラマーのダイナミックさの欠如」に繋がる、と早計に判断する輩は、まだ甘い!
以前、「パレット」というポップバンドを組んでいて、初期スピッツなどの切なさとバンドアンサンブルを同居させるスタイルにおいて、スーやん氏のダイナミックかつ、ぐいぐいと前へ前へと進む煽り感は、バンドに、ボトム方面での鮮やかさとフレッシュさを与えていました。
……そう、まさに手慣れたるメンバー。それだけに、このケミストリーの音源が少ないことが、個人的に惜しまれてた(残響内……いや、他のひともそうでしょう)のですが、しかし、4/20、初ライブ!
村岡氏の話では、深海600mはライヴにこそ拘っていきたい、というバンド。それは「深海表現」の世界観を、現実に描くこと……であると、予想しています。音で、深海という世界を描く。
個人的には音源もほしいなー、と思っているわけなんですが(レベル、これほどですしね)、しかし、その「場」におけるスポンティニアス(臨機応変たる音響ライヴ・パフォーマンス)こそ第一という考えは、まさにわたしの愛するジャズと同じところに在ります!(そう、ポストロックは、ロックのなかでも、ジャズと極めて親近性が高い)
また、今回サポートBaで、中神寛恵氏が参加します。バンド「少女Aの考察、」で高音域のウワモノ(vo、gt、dr)の時に暴れ狂い、時に沈鬱になるのを、低~中音域でしっかりと支えるベース。
世界観を構築するにおいて、そのディープ感は第一義的に貢献していると言っていいほど。プレイに世界観がある。gtより歌う、というより、サイドボーカル的に歌うような感じというか(意味伝わるかな……)。
ライヴ参戦者は、この四人のバンド・ケミストリー、アンサンブルを楽しんでほしいものです。わたし(残響)も、遠きシマーネ農業王国から参戦しますよ!(本当)。ライヴ会場でわたしと握手! ……って、するひといるわけがないですが、まあこれはお約束お約束w
●僕を殺す世界へ
君聞くや、その激情を。君聞くや、その静謐を。
葬式音楽……3ピースバンドにて轟音と静寂でもって、我がこころの傷を……壊死しそうな感情を、慟哭でもって葬る音楽。
佐藤善太郎氏率いる、ポストロック/ノイズバンド「僕を殺す世界へ」である。
Sato Zentaro (obliterate6) on Twitter
※過去に書いた記事はこちらになります。
轟音サミット界隈、関西ディープシーン総括(twitter転載) - 残響の足りない部屋
佐藤氏の公式文言が素敵であります。
過去、現在、未来、生きていく中で置いてきた些細な感情 許せない自分の姿 それら全ての存在を許し、認め、丁重に葬る。そしてまた生きていく。
その音は、こういう感じです。いっさいの甘えなく……!
僕を殺す世界へ - 同じ月を見ている(2013.09.16 京都GATTACA) - YouTube
このエモーション溢れる歌唱はどうだ!
このエモーション溢れるギターはどうだ!
それを支えるベース、暴れるドラム……!
しかし、今回ベースの長井太志氏が、このライヴで脱退するとの知らせが先日入り。それにより、しばらくバンド「僕を殺す世界へ」は「ライヴ活動休止」、佐藤氏はソロプロジェクト「煉獄」でもって活動するご様子。しばらくは。
そう、このライヴは、この体制では、一期一会。もうこれっきり(かもしれない)の音の響き。
吟遊詩人――わたしがこれまで(ネット・リアル)問わず、大なり小なり知り合えたかたの中で、一番「吟遊詩人」の言葉がふさわしいかたでした。佐藤氏は。
どこかで(凛として時雨のTKのように)ソロ活動をするかもなー、とは思っていましたが、しかしバンド形式に並々ならぬ思いを抱いておられたことは、前々からよく知っていました。
その、(現体制では)ラストライヴ。
括目して見よ、としか言えません。わたしもそうして見ます。
佐藤氏も、轟音サミット参加者です。ものっすごい轟音になると思います。耳栓はどうなのだろうか? ダイナソーJR並みなのだろうと予測される、轟音!(耳栓、わたしはしない予定ですが)。轟音で人を殺すということ普通に仰いますしねこのかた(笑)
しかし、本当に殺されるのは、音量ではなく、エモーションでもって殺される、と確信しております。
彼を殺そうとする世界へ向けての、彼の鎮魂歌は。新曲もたんまりあるみたいで、まさに鎮魂……さまざまなる音と響きの連なりは、ニューオーリンズジャズが鎮魂歌であったように、モーツァルトの傑作がレクイエムであったように。彼の赦しを、聞きましょう。
●バンド予習
しかしこの2バンド以外の予習も忘れない残響さんであります。
3ピースバンド・tsubuの、クラムボン的な音響&ポップ感覚。
tsubu39hkf's sounds on SoundCloud - Hear the world’s sounds
Rat in A Cageは残念ながら音源見つかりませんでしたが、このハードタッチのHPから想定するに、甘い音は演らんだろう!
※失礼しました! 後日、音源見つかりました! 爽やかなリードギターとvoのエモさと、ゴリっとしたバンドサウンドの疾走感がまさに若きこころ、直球オルタナです。
rat in a cage's sounds on SoundCloud - Hear the world’s sounds
sorsekiは5ピース(らしい)の音の様々なる重なりでもって、初期レディオヘッドにも通じるようなポップ感覚と疾走感!(しかし音の粒立ちが素敵ですね)
非常に、「ポストロック」という枠ではありますが、様々の「世界観」を幻視出来そうなライヴです。
さて、残響さん、ほんとに参戦してきます。この4/20のFANJライヴ。いろいろあって、一週間ばかりシマーネ農業王国を離れて、大阪(このライヴ)と、東京(M3)に行くのです。つまり音楽巡礼の旅。
そんなわけで、「美しい世界観」「轟音」「静寂」にご興味のある方(というか、このブログのポスロク方面の読者さんがこの手の音楽を嫌いになるはずない)、この週末は、ぜひ大阪心斎橋・FANJで、轟音&静寂に浸りきりましょう!
また、このブログのエロゲクラスタでも、「透明な世界観」「透明な感情」というものに、ヴィヴィッドな反応を示す層で、大阪在住の方は、行ってもいいんじゃないかな? とか。音楽の世界が広がりますぜ!
そんなわけで、残響は、深海600mと僕を殺す世界へを応援しています。待て、日曜!
※ちなみに、残響さん、「自分で行く」ライヴってのが、今回ほとんどはじめてなので(ジャズならまだあっても)、この手のライヴの作法とか、一切聞かないように! マジで! ここまで紹介記事書いておきながら、最後がこれかよ!