残響の足りない部屋:HP百合機械別館

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黄昏のブッシャリオンのこと(第0回、物理書籍発売直前&レビューの為の用意)

※この紹介文は基本、ニンジャヘッズ的教養を修得が前提です

 

黄昏のブッシャリオン」とは、碌星らせん氏による、今、全浄土(アマネク・ニルヴァーナ)を震撼させているオリジナル・徳パンク・WEB小説です。浄土って物理的広がりがあったのか。

なんと、明日(2017/9/8)、物理書籍化します。めでたや。

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kadokawabooks.jp


 いつかブッシャリオンについて語らねばなーと思っていたわたくし(自分でもweb小説とかtwitter小説をやってる)でありました。今まで #徳パンク 実況はしてなかった自分ですが、読んでいたんですよ。

 ときに今日、発売を祝してブッシャリオン運営側で、イベンツが行われるとかいうので、これ幸いとレビューを投稿する体(テイ)で、日ごろのブッシャリオンに対する感想とか思いをぶちまけようというものです。その場のノリを大事にするイージー・ゴーイングなガンジー的ノリで。

 ブッシャリオン書籍レビューに関してですが、明日アマゾンから物理書籍がたぶん届くと思われますので、到着前&読書前のこの記事では下準備というか、だいたいわたくしはブッシャリオンのどのへんを楽しんでるか、っていうのを紹介したいと思います。

●ニンジャスレイヤーのフォロワー?

twitter小説ということで、ニンジャスレイヤー(忍殺)のフォロワー?というふうに目されてる部分があるかもしれません。
というより、多くのtwitter小説って忍殺のフォロワー的な部分……そこまでいかなくてもあるいは忍殺を「研究している」部分があるかと思います。自分のだって一時期まで、結構意識してました。まあ、そういうTwitter小説のなかでも、例外があるとしたらあれだ、FFS(ファイナルファンタジーS)

で、ブッシャリオンが「フォロワー」なのかどうか、という点ですが、「内容面においてはかなり違うのだけど、更新運営面においては忍殺ほんやくチームをかなり意識している」ことは確かかなぁと。

告知における胡乱な言葉遣い。本編と本編の間に挟まれる与太。告知システム……ブッシャリオンは原作者・碌星氏のほかに「運営チーム」というのがいて、その運営チームが、碌星氏を焚きつけて原稿を書かせ、受け取った原稿をtwitter連載してるようなので。
もっともこの「運営チームって結局碌星氏なのではないか?」というボンモー実在疑惑にも似た謎さでありますが、まあそこのところは黙って「あ、お疲れさまです運営チーム」と見てあげるのがtwitter小説の優しみかなぁと。

忍殺への意識はやむを得ないと思う。あの「あなたがtwitterで小説を発表するうえで重要と思われること」通称忍殺メソッドは、かなりのインターネット・テキスト表現者に影響を及ぼしている。
で、「自分もtwitter小説をやってみよう」と思うひともいた。わたしもその一群であります。
ただ、twitter小説ってかなり体力(実際的リアル体力)がいるのです。スタミナ(リアルスタミナ)がいる。毎日更新ってかなりキツい。

そのあたり、碌星氏&運営チームは、先行をかなり研究して、無理のない運営方法を定めていると思う。ブッシャリオンがこれほど大部の長編になり、連載が続いてるのがその証拠であります。

しかし、器(連載運営方法)が確立しても、内容がフォロワーだったら「やっぱりフォロワー」になる、という点ですが、……ブッシャリオンって、忍殺とだいぶ「読み心地」が違うのですね。

 

●1 溢れる仏教×サイバーパンク!すなわち徳パンク!(設定が多い)

 たしか芥川だったか。あるいは村上春樹河合隼雄の対談だったかで、「かつての仏教美術は、想像力の産物だった」「ある種のSFというかファンタジーであって、当時の人々のイマジナリーが爆発した結果、あの色彩感覚が生まれた」みたいなことを言ってたかと思うのですが。

 ブッシャリオンの設定は多いです。得度兵器、仏舎利、徳エネルギー……というかtwitter連載や、カクヨムの更新の毎度のラストで、TIPSというものがupされるのですが、この「設定資料」が多い。以前自分は、twitter小説論をちょっと開陳したときに、ブッシャリオンのそれを「設定エントロピー」と呼んだのですが、とかく多い。

ただ、それもなんかずーっと読んでると、二郎系ラーメンの「食っても食ってもまだ出てくるぜ」的な、もっともっと感になっていって、逆快感になったりする不思議。

 今にして思えば、忍殺っていうのはパワーワードと設定を組み合わせることはしても、「パワーワードに基づく設定を、暗記するレベルで理解しなくてもいいですよ」という無言の折り込みはあったと思うのです。

 対し、ブッシャリオンはかなり読み手に「設定を理解してね」というのを迫る……少なくとも自分は迫られた。

 たとえば、得度兵器に代表されるブッシャリオン・メカなのだけど、ビジュアルはふつうに仏像とか、サイバーパンクのそれ、ということでOKなのだけど、そのエネルギー機関の仕組みとかが理解するのに手間どった。さらには、当たり前のように出てくるSFワードと組み合わせて説明されるため(衛星エレベータとか)、「うわっ設定、うわっ設定!」と設定説明の連続パンチを受けてるような状態。

……しかしさっきも言いましたが、それに逆快感を覚えるようになったら、たぶんブッシャリオンをじわじわ楽しんでいってる人間になってるのだと思います。

 

このあたりのかなりヘヴィに胃もたれしそうな設定連続パンチの読み応え、っていうのが、「忍殺と違う読み心地」のひとつめ

●2 物語のベクトル

 2つ目は、物語の進行ごとに、群像劇めいて登場人物が変わる、ということ。その上で「どこからでも読んでOKな連作短編な感じが薄く、ひとつの巨大なベクトルの上での物語感がする(個人の感想」。

 大河長編ではありますし、各部でメインキャラもいます。が、連作短編感は薄い、というか。「どこからでも読んでOK」な感じは、自分としてはあまり感じなかった。

 たとえば第一部「強制成仏」のカラッと乾いた荒野ディストピア・徳パンク・バディ物珍道中を経て、やはり第二部「得度戦争」の薄ら寒くもずいぶんとトリッキーな構造が飲み込めてくる、っていう感じにわたくしは受け取りました。第二部を最初から見せられても、物語の完成度とは別に、「のっけから意味不明でうーん」という感じにはなると思う。それくらいガラっと変わりつつも、設定自体は第1部から引き続いてるので。

 所々でガラっと変わる(視点も)長編でありながら。しかしやはり大河長編らしく「一本筋が通っていて」、総合小説らしく「語られざる/いずれ語られる、さまざまの物語」の集合体、という感じがある。

 

 同時に、上で書いた様々の設定、というものに、が宿ってる、ということがこのあたり(第三部あたり)まで読んでったらわかるようになる、っていうのが、もう戻れないブッシャリオンの魅力だと思います。
「うお設定、うお設定!」っていうふうに次々設定が出てきますが、その逆快感に、物語的に正当なる「人々の妄念の果てにその設定があるのだ」という物語を持ち込まれたら、「うおーっ!」っていうふうになりますよね。

 

 アフター徳カリプス、という設定。ディストピア/ポストアポカリプスものであるブッシャリオン。そんなでありますから、人は滅びかけ、大地は荒れ果て……かならずしも不毛の大地というわけではない、からおもしろいものです。
 自分が好きなブッシャリオンの設定。

荒野に赤い蓮の花が降る。黄砂の混じった、桃色の大きな結晶の雪。それを誰かが蓮の花と呼び始めたのは、一流の自虐なのだろう。
 徳カリプスの影響によって上層大気が変質し、今では時折この雪が、季節を問わず降り注ぐ。 カクヨム連載版「黄昏のブッシャリオン」第23話「声が聞こえる」

「徳」というものが何なのか。人の喜ばしいものではなかったのか。「強制された歓喜」という言葉もありますが、徳というものが強制されて、もはや物質になってしまって。それでも徳というもの(善性)を捨てきれない主人公ガンジー、そして相棒クーカイ……

 

●3 世界観と人物

 ガンジークーカイのバディものとしての魅力は良いですね。結構最初から男くさい物語というか、カラッカラに乾いた荒野ディストピアでの、愉快なバディもの。

どうもこのあたり、Nightow先生のトライガンを連想してやまない。あ、このくだり、発売イベンツで質問コーナがあるというので、作者&運営チームに聞いてみよう。

いろんな舞台が出ますが、結構極地めいてる舞台設定だったりしますが、そのどれもに徳パンク(仏陀的東洋サイバーパンク)が混ざっているメカ未来ですが、なんか「自然の美」が結構残ってるんですよね。それもひっそり、ではなく、結構荒々しくもワイルドに、脳内に浮かんできます。

そのあたりの文章・物語の徳というか……あ、って使っちまった!w

 

 単純に「ネタ一発の物語」っていうだけでない、世界の拡がりがあるのがブッシャリオンのよいところです。第二部で極北の大地から「アレ」に移るところとか、第三部入りたてのところでパーン!と海の描写になるところとか。徳が無くなっても命は芽吹くんだなぁ、みたいに思ったり。そのあたりの皮肉交じりながらもプリミティヴなところが、ブッシャリオンの得難い魅力かなぁと。だって、登場人物、結局はみんなプリミティヴというか、まっすぐだもんなぁ。

 

そんなブッシャリオン、明日、物理書籍発売です。まだこのブロゴでいろいろ書いていく所存です。

 

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