残響の足りない部屋

もっと多く!かつ細やかに!世界にジョークを見出すのだ

陽光の魚群幻想

この詩に関しては8月21日分の更新をご覧ください。

○陽光の魚群幻想

鳥が翼を返すように方向を変え、
きらめく陽光の中にあぶくが浮いていく
水は水として流れているだけで
すでに悪魔(デーモン)の要素を含んでいる
この何百もの魚による魚群は
ある単一の意志でもって動いている
逃れるように
ああ「死にたくない」「死にたくない」「死にたくない」
カジキマグロに咀嚼される夕暮れの陰惨さはどうだ
我々は生身を「解体」されることが何より恐ろしい

だが魚群は逃げるばかりではない
動きの中に、
呪いを込めている
何もできない者たちが強者をとり殺す夢
確実に殺すことのできる毒だから
こうあってほしい世界を叶える毒だから

歌を歌え
押し潰される者たちの夢の歌を
そして舞台は海中に沈んだ
あのローマの円柱の遺跡へと