残響の足りない部屋

もっと多く!かつ細やかに!世界にジョークを見出すのだ

とうめい都市・ファーストインプレッション


 深海600mのキーボーディスト、村岡氏が、新しいバンドを組んだということで、音源を聞いてみました。
(筆者、まえに深海600mについてはこういう文章を書いたことがあります)

なんとトリプルシンセサイザー!+ドラム

シンセは村岡氏、eriot氏、yura氏
ドラムはFaRangeのワタナベ氏です。

え、低音部がないの? と、編成みて一瞬思いましたが、音源きいて、ちゃんとベースラインはあります。

当然ですよね……シンセにどれだけプリセットベース入ってるってはなしです。
あとそれから、鍵盤の左のほうとか……

また、yura氏のバンド、Alice kitelaを調べてみたら、氏はシンセ兼コーラス兼ギター、ということで、ギターを弾いておられるのですね。

で、この編成、どこまでがギター(ギターシンセ音)で、シンセ(鍵盤)だかわからない面がありまして……まあ、もっとも、そのような繰り言をいっていても仕方ないですね。
どのような見地からみても、これはシンセサイザーミュージック……EDMというよりは、実験音楽というか、ある種のミュージック・コンクレートというか。

それはギターをフィーチャーしていない、という意味ですし、ギターロックではどう転んでもない、ということでもあります。

じゃあ……単なる実験か?
そうとも言いきれない、というか、この音源(まだひとつだけですが)には、明確な世界観があるのです。

それは、殺伐とした都会の音響

わたし(筆者)は、この音源を、先日聞きました。
一聴して、ひどく感じいったので、以下、そのときのファーストインプレッションのツイートをまとめます。



未確認飛行物体、というのは、村岡氏の前に組んでいたバンドです。

(ちなみに、未確認飛行物体について、筆者、前に文章を書いたことがあります。解散後ですが……)


わたしがくどいくらい「サツバツ都会」と書いたのは、この音源には、「そのような感じ、空気、響き」が、すごくするからです。
それを比較検討したくて、さまざまなミュージシャンを援用しました。

で、先日、FaRangeのレビュー第二弾を書きましたが、あのレビュー、というかFaRangeの特色が「都会の洒脱」だと思ったのですが、とうめい都市のそれは、「都会の殺伐」だと、勝手にわたし、思っております。


じゃあ都会の殺伐とは何か?
あるいは、都会のサツバツを描く音楽とはなにか?

それを、いま、HPのほうで(こちらです)、ひとつの論にしようと思って、万年筆を走らせています(最近、残響は万年筆と紙で原稿を書いているのです)
NYパンクから、ノー・ウェイブから、ザゼン・ボーイズまで、みたいな感じで。
もちろんとうめい都市の個性について書くことが第一ですが。書きますよー。

今回のこの記事は、まずはファースト・インプレッションとして、アップさせていただきました。

まだとうめい都市の音源……とくにレイヤーの重ね方について、考えが至ってなく、また、殺伐の系譜についても考えがまとまってないので、今回はここで。

それにしても……この、ザラついて、硬質で、美しいけど、モノクロの世界で、機械的で、しかしやはり音楽として良い、このとうめい都市というプロジェクト/バンド、個人的にはまだまだ続けていってほしいですね……

FaRangeの都会感覚とは違う、冷酷さと硬質さの都会。
そう、それも都会。
誰も助けてくれない都会。
自分のなかでは、都会、という軸をして、対になってる感すらするのです。



追記:村岡氏がこの一連の感想ツイート読んでくださっていて、わたしが「村岡氏のパートはエフェクター使っているのかしら」的なことをいったところに、
「いや、使ってないのですよ」と、事実誤認を訂正してくださいました。
あのエレピは、プリセットのエレピだそうです。失礼しました。そして村岡さん、ありがとうございます。