残響の足りない部屋

音楽旅行と模型人生と愚にもつかないジョーク

スピッツ田村のベースに耳を空けられてから

思えば自分が「ロック音楽」をちゃんと聴くようになったはじめのきっかけは、スピッツなのでした。でも、スピッツを聞き出したころは、歌……メインメロディと歌詞しか聞いていない、よくある学生リスナーでした。

そこから一歩踏み出して「バンド・アンサンブル」を意識するようになったのは、5thアルバム「空の飛び方」収録の「ラズベリー」という楽曲での、田村明浩のベースラインがきっかけです。

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「このボンボンいってる低音、なんだか楽し気で良いですな」と思うようになったのが、田村のベースでした。バンド・アンサンブル……各パート楽器のフレーズを良く聞きこみ、高音と低音とドラムスがどう絡み合っているかを意識することで、音楽というものの成り立ちを、より詳しく知ることが出来ます。

なにせ、それまでギターが何弦でベースが何弦だ、っていうことすら意識しなかった者です。それが今では、自作曲同人アルバムの次回作のドラムのMIXどうしようか、って考えるようになったのですから、なんともはや。

そんなわけで、スピッツのベースギター・田村には大変恩があります。グルーヴィーにベースラインが上下に動く楽曲は、今に至るまでツボです。田村のベースを聞きこんでいくと、「なんでこんなに縦横無尽に動くんだ、メロディ以上だぞ」「でもこのベースが無くなると(イコライザを弄った)、一気に楽曲の世界観が【無くなる】な……」と発見しきりです。

そういう風に、田村のベースに耳を空けられてから、各楽器の音というものを良く聞くようになりました。ロックからジャズに移るとき、「アンサンブル耳」はとても役立ちました。クラシック(特に室内楽)や、ワールド音楽でもそれは同じく。ミックスの大事さを知ったのは、同人アルバム作るようになってからですが。でも、周囲に音楽仲間がいない状況でも、わりと若いころから「アンサンブル耳」で聞くことがが出来たのは、やっぱり田村のベースのおかげなんですね。

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そんな90年代を遠く彼方に、2022年の今、スピッツ最新曲「大好物」を聞きますると、「なんでこんなベースライン動くんだ」と相変わらず思うわけです。しかし今は「このベースがあるからこそ、楽曲の世界観が遠くまで広がっていくのだ」としっかり思えます。思えますが、自作曲においていざ自分自身が「ここまでベースラインを動かせるか?」と自問したら、相当難しいものがあります。

それは他のメンバーも同じで、崎ちゃんのドラムの引き出しの余りの多さは、自分でドラムマシンのプログラミングをするようになって分かるようになりましたし(ごく最近やないかw)、テツヤのアルペジオのフレージングがどれだけの輝きを放っている宝石だ、っていうのも。マサムネの作詞作曲・歌唱・ギターについては言うまでもないですね。

そういう風に「後からズルズル引っ張り出てくる感じで異形さが分かってくる」ロックバンドを愛好しているというのは、素晴らしいことであり、恐ろしくもあり。でもやっぱり、最終的には「楽曲を聞いて、幻視できた世界観」が全てですよ。それは間違いない。