残響の足りない部屋

もっと多く!かつ細やかに!世界にジョークを見出すのだ

最近わたしの音の暮らしはこう 2022年夏

日々のお気に入りの音楽音響fav(お気に入り)シリーズ。なんと半年ぶり。音楽ブログ、サボりぎみ。喝ッ!

↓ 前回(2022/4/27の記事 ミスってたので修正)

modernclothes24music.hatenablog.com

 

●Aiobahn feat. KOTOKO「INTERNET OVERDOSE


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このままではまずい。今のところ、今年一番リスニング回数を重ねているのがこの曲です。ヘビーローテーションじゃないか。

V(バーチャル)な世相を反映した、インターネットと承認欲求の闇をドット絵と顔の良い女で描くゲーム「NEEDY GIRL OVERDOSE」のテーマ曲です。

whysoserious.jp

この20年ばかりのサブカル打ち込みサウンドの総決算といいますか。ユーロビート、アニソン、電波ソングを闇鍋的にごちゃまぜにしたサウンド。そこに乗るは韜晦に満ちたダメな歌詞。譜割りをほぼブッチぎりながら勢いとキャッチーさで強引に押し通すラップなんだか電波曲なんだかわからん、オンリーワンのKOTOKOの歌唱。

そう、なんだかんだでキャッチーまみれなんですこの曲。どこからどう見てもふざけているんですが、作詞作曲歌唱全部が「超一流のスキルでふざけきっている」凄み。

と、レベルの高さを解っているものの、それでもこの曲を年間ベストにするのには大変躊躇を覚える気持ちを分かって頂けるでしょうか。日ごろ音楽に関しては「シリアスに刺さるオルタナ精神うんぬん……」なんていうのを意識していますが、そんなこと言えた義理かい。

それでも、それでも、この曲は時代とインターネット怨念でもって殴りかかってきます。異様に耳に残るんですよ……。歌詞と歌唱なんて譜割りがめちゃくちゃなのに、不協和音&リズム混乱に足を突っ込んでるのに、実際聞くと脳をわしづかみにしてグラングラン揺さぶってくるキャッチーの暴力。そしてヘビーローテーション

 

●Маяк「Выше Звезд」


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ソヴィエトウェイブ(SovietWave)の代表格。このジャンルはざっくり言えば、旧ソ連世界観のノスタルジックシンセポップ、といったものです。冷えたシンセサイザー、一定のリズム(リズムボックス、ドラムマシン)。異国の声とノイズ。それらが旧ソ連(共産圏)世界観のノスタルジーを意識して、音を鳴らしています。

このEPはウクライナのМаякによる2014年作品で、今このミュージシャンの過去作を漁っていますが、今はシンセが孤独な宇宙感でもって鳴っているこれが一番好みかな。といっても、どの作品も素晴らしいのですが。

 

●Russian Doomer MusicのMIX動画


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凄く説明が難しいのですが、「鬱々とした世界観を意図したロシア語ポストパンクのMIX」です。

ダルいエフェクトをかけたロシア語圏のポストパンクの曲が全部です。でも鬱々と落ち込むというよりは、結構キャッチーなんですよね。音は冷え冷えとしていますが。

曲とセットとなっているビジュアルは、寒々しい旧ソ連的日常風景の写真。出ている男キャラは日本で言うところの氷河期・ロスジェネ世代の鬱屈の象徴らしいです。そんな世代が夜中散歩するのにちょうど良いBGM…という意味合いが持たされているそうな。ひどいですね。INTERNET OVERDOSEとどっこいどっこいな地獄具合です。

 

↓ 参照記事

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手放しで礼賛出来る代物なMIXではない、とはいえ、この北国の冷え冷えとして、でも甘くノスタルジックな音というのが、どうも自分は非常に好みらしくて。旧ソ連のことをろくすっぽ知らないのに、なんだか妙な郷愁を覚えてしまう。例えばイギリスのepic45や、epic45メンバーのソロプロジェクトを聞くと、国風こそ違うものの、ノスタルジック風景という意味では同じベクトルを感じます。どうも自分はこういう甘いノスタルジーに弱いらしいです。路上観察とかpanpanya先生とかフィラー映像とか言ってて今さら何を、って感じかもしれませんが。

 

●Windows96


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ハイペースで作品を作り続ける現代ヴェイパーウェイヴの旗手。またノスタルジーか、というツッコミはさておき(ごめんよ……)、この人はネタが尽きないなぁ、と。シンセサイザーでノスタルジーを表現するのが、本当に好きなのでしょう。それから、ビジュアルコンセプトも素敵です。何より「Windows96」っていうお名前です。ヴェイパーウェイヴの中のヴェイパーウェイヴ……というか、ヴェイパーウェイヴを「意識的に行っている」と言えますか。わかりやすくノスタルジーをシンセとビジュアルで何発も表現していく、という。ではそのモチベって何なのだ……と思ったら、ちょっとそれはよくわからないところなんですが。

 

Fela Kuti&Africa 70


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アフロビート、即ち社会派アフリカン・ファンク、多人数構成呪術的ジャズ……最近改めてちゃんとフェラ・クティの音楽を聴こう、と思っています。

それにしてもyoutube万歳ですね。フェラ・クティのライヴをこうしてフルで見ることが出来るとは。これをレコ屋でやろうと思ったら大変なんだ……。いや、自分は今でもレコ屋で音楽を漁りたく思っていますが、しかしインターネットを使うのも大事です。

ライヴをこうして「視て」音楽を把握すると、改めて解ることがあります。フェラはビッグバンドで音楽を繰り出すにおいて、「場」を作り出そうとしているのだ、と。シーケンスフレーズを何度も繰り返すのは「呪術っぽさ」の表現というよりは、もっと物理的にステージ、場を温めているのだ、という事実です。じわじわと、音楽が顕現する「場」を作っていく。そうして「場」を温めていくことで、いろいろな音楽的可能性が湧き出てくる。

そして場を支配するフェラがヴォーカルでアジテートしたり、サックスを吹く。やがて、ブラスとコーラスが一斉に咆哮!そうなるともうこのバンド……フェラ・クティのアフロビートの独壇場(文字通り)になるわけで。

この人らの音楽は、そういうライヴで発生する類の音楽なのだ、と改めて基本から聞いているこのごろです。

 

Jefre Cantu-Ledesma

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天国的なシューゲイザーノイズ、アンビエントドローンです。何層にもレイヤーが重なった美しさの音です。ビートはなく、ただこの音に浸っていたい、と感じさせる轟音ノイズです。なんというか、物語の終盤、ドラマティックなエンディングを迎えているかのような天国性があります。

 

●ヨルシカ(一連の文学モチーフのデジタルシングル)

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DVDライヴ映像作品「月光」、エモみの塊そのものって感じでとても良かったです。ライヴ演目ラストの「だから僕は音楽を辞めた」のsuis氏の絶叫を聞けて、良かったです。(こう書くと私が酷い外道のように見えますねw)

最近はこのデジタルシングル「又三郎」が好きですね。聞いてると勇気が湧いてきます。別にn-buna氏もsuis氏も、この曲でもってリスナーに対して、直接的な応援はしていないですが、「吹き飛ばせ」という歌の姿勢の良さに、「そうだ、そうだよ」と、人として正しい在り方を教えられるかのように思わされます。あれだけ自分の吐き出す言葉を疑ったヨルシカが「言葉があなたの風だ」と歌うことに、静かに感動を覚えます。

 

上海アリス幻樂団「バレットフィリア達の闇市場」BGM

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さぁ、来たぜ!東方projectコミケ新作!これを抜かすような音楽人生など送りたくないね、何のために自分がこの20年間音楽を聴き続けてきたというのだっ! ということで聞き込み開始です~。2022年、令和の今になってもZUN氏の新曲、新作STGを楽しむことが出来るという幸せを噛みしめましょう。メロディが良いのは当然、さぁ今回の曲で、どれだけの幻視が出来るか。どれだけの情景を視ることが出来るか。自分にとって東方の曲とは、つまりそういう「幻視」体験なのです。その美しさに魅せられ、あっという間に約20年ッ。

 

……ところで、上記のfav音源、あんま「夏ッ」って感じの音楽、ないですね……ええっ、いや……ああ、ほんとだ。ないわ「夏ッ」って感じの。ちょっとは聞きなさいよ。

 

お気に入り音源シリーズ バックナンバー

最近お気に入りの音楽(2018/11月あたり) - 残響の足りない部屋

 

音楽の旅の路上にて ーー最近聞いている音楽、カナリヤさんへのお返事その2 - 残響の足りない部屋

↑ 2020年3月中盤

 

最近わたしの音の暮らしはこう - 残響の足りない部屋

↑ 2020年9月

 

2020年に良く聞いていた音楽 - 残響の足りない部屋

 

最近わたしの音の暮らしはこう2(おるたな) - 残響の足りない部屋

↑ 2021年3月末

 

最近わたしの音の暮らしはこう 2021/08~09 - 残響の足りない部屋

 

2021年に良く聞いていた音楽 - 残響の足りない部屋

 

最近わたしの音の暮らしはこう 2022厳冬 - 残響の足りない部屋

↑ 2022年2月