残響の足りない部屋

もっと多く!かつ細やかに!世界にジョークを見出すのだ

思考記述の意志の低下・並びにこれからのブログの更新について

小説の状況

今二つの小説を同時進行で書いているのですが、それは、
(1)ローテンションな現代ファンタジー
(2)「第二文芸同好会」を小説内小説とした現代もの
といったところです。(1)に関しては、前にも述べた「くたびれたオッサンオタクに向けた内容」という後ろ向き(笑)なもので、ガジェットはライトですが、思想はくたびれています。
で、(2)ですが、これはどういうものかというと、「第二〜」の一員である糸杉浩太の十数年後の話です。作家になった浩太が、過去を振り返る意味で、「同好会」の様子を描写する雑談小説を書く、というものです。時代設定は未来ですが、視点は絶えず過去を振り返っています。
う〜ん、なんか根は同じところから出てきているかもしれん、この二つの小説。双生児とまでは言わないまでも。
しかし同時進行しているわけですが、やっていてやっぱり少々の無理が生じてきていますね(笑)。単純な物理的量の多さでもそうですが、やっぱり自分は複数の企画を同時進行することには向いていない様子。まいった。つまり、切り替えが下手なのですな。
というか……半年で長編二つ、というのがそもそも無理あるんじゃないの、今までのペースから言って、ってな感じです。書きはじめてわかったというか、今更なことですが。
とりあえず進みがいいのは(2)の方です。……先にこっちを片づけた方がいいのではなかろうか? 今必要なのは、ともかくも結果を出すことなのですから。


●借り暮らしの登場人物たち

最近、エッセイやコラムを書く気が無くなってきています。前回書きましたが。何故かというと、やっぱり、小説を書いているから、としか言いようがありません。……今までは、わりに言いたいことがあって、それを散文の形にしていたのですが、小説をいざ書きだしてみると、その「言いたいこと」が、全部小説の中にぶち込めることに気付いたというか、ぶち込みたくなったというか。
……いや、違うな。わたしは、小説を通して、自分の言いたいことを主張したいわけではないのです。正直、自分の小説にはメッセージ性というのは希薄だと思っています。そしてわたしはそのことをさして疑問に思っていません――むしろわたしは、登場人物の思考と、情景とが一体となった、イラストポエムのようなものを、小説の中で描きたいと思っています。
むしろ、小説の登場人物たちが、自分たちの言いたいことのために、わたしの思考したことから、いろいろなものを借りていく(持っていく)、といった感じを受けます。わたしが言いたいのではなく、登場人物たちが言いたいのです。登場人物がわたしの小説の素材なのではなくて、わたしが登場人物にとっての素材なのです。……不思議な感覚ですが、小説を深く書けば書くほど、このように思えてきます。わたしはそれを、「借り暮らしの登場人物たち」と呼びました。
ですので、最近、思ったことをエッセイ・コラムの形にすることをしたくなくなってきました。小説(の登場人物)のために取っておきたい、溜めておきたい、と思うように。
これはあくまでわたし個人が思っていることで、小説を書く人間すべからくこうあるべしなんて言うつもりはありません。ただ「わたしは」、自分の思考を流布するよりも、留めておきたい。そしてそれを小説という入れ物の中に入れたい。そう思っているのです。
……というわけで、これからこのブログの更新頻度が下がると思います。とりあえずは、小説が完成するまでは。それもひとえに、思考をエッセイとして書きとめることの意味が現段階で半ば失われているからです、自分の中で。
このブログが自分の中で無意味だったと言うわけではありません。この一年、このブログを通して、文章を書くということについてずいぶんと学ぶことが出来ました。ただ今は、自分のすべてを小説に注ぎ込みたい……まあ、気分が変わって、唐突にコラムなんかを書いたりするかもしれませんが。
というわけで、更新頻度が低下するかと思いますが、御容赦のほどを。
一応、ちゃんと、「第二〜」本ブログ掲載分は完結させますから。それはちゃんとやっておかないと気分が悪いっす。ええ。

本日のBGM:上海アリス幻樂団『幺樂団の歴史3 Akyu's Untouched Score vol.3』(ゲーム音楽は良い。それにしても、ああ、サンプラーシーケンサー欲しいなぁ……)