残響の足りない部屋

もっと多く!かつ細やかに!世界にジョークを見出すのだ

修道院は眠らない

闇の中で呼吸し、闇の中で手を伸ばす。そういうことが、もはや当たり前になってしまった。前よりもずっと夜目がきく。闇のほうが、我々よりもずっと体積が大きい。闇に包まれている。
我々は救われるに値するであろうか。そう、何度この闇に問われたであろう。もはや時に、闇の中に神すら幻視してしまう。それは錯覚だ、神はそのような所にはいない。しかし、その声の存在感は重い。
光を見ても、救いとは思えなくなってきている。期待外れが多い。それをやがて来る福音の前兆と思ってはいけない。それは違う。散歩の途中で見つけた不思議な何かがただの枯葉だった時のように。
何度、神を疑ったか。何度、信じ直したか。それを何度繰り返したか。傷を受け、傷を治し、それを延々と続けていくのに似ている。
待ち続ける。我々は待ち続けることを選んだ。そして、選んだのならば、終わりは早々には来ない。朝が来ようとも、夜が来ようとも、終わらない。我々は待ち続ける。回廊の中で。

(続く)