残響の足りない部屋

この世界を逆向きに歩く

こんな音楽を聞いてきました その1:アメリカ大陸、ヨーロッパ大陸(世界音楽履歴書2020年現在)

この記事は、いわば備忘録ですね。現在、このブログの管理人は35歳なのですが、「全世界全時代全ジャンルの音楽を聞こう」と、学生時代に心に決め、以来いろんなレコードや生演奏を聴いてまいりました。
なぜそんなことを決心したか、実は今となってはよく覚えておりませんが、ともあれその全世界音楽旅行を始めてから15年は経っていました。

今回はそんなわけで、これまで「耳で訪ねた」音楽地域をざっと駆け足で記してみます。

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世界地図です

●北米:アメリカ、カナダ

主に「ジャズ」と「ロック」の2つの軸で。

ジャズは戦前からのジャズを中心にしたビ・バップ~ハードバップを中心に、モードジャズも聞いております。いわゆる「モダン・ジャズ」。フリー・ジャズも一応聞いてはおりますが、ここまでくると、オルタナ系の連中が「ノイズ/即興」系譜で聞く文脈の方が近しいかも。トラディショナルジャズ~中間派に至る系譜も、もちろん愛好しております。半面、そういう古典に親しみまくっていたので、クラブ・ジャズ以降の現代的な展開に慣れるまで時間がかかりました。

ロックは70年代ニューヨーク・パンクと90年代オルタナティヴロックを中心に。
ジャズとロックを聞くということで、戦前ミシシッピからデルタなど、ブルース~ブルース・ロックを、遡る形で聞くことにもなりました。

フォーク、カントリーの方は、この7、8年でようやく少しずつ遡っていっている状態です。何しろそこらへんのアメリカフォーク音楽のガイドにしているのがジャック・ホワイトやデレク・トラックス、そして近年のエリック・クラプトンだというのだから始末に負えない。

むしろブルーグラスヒルビリーみたいな、ケルト要素のある民謡めいたカントリー音楽は大好物でした。

 

ロック中心だったので、ヒップホップを聞くのはかなり出遅れましたが、最近Lo-Fiヒップホップに大変お熱です。このあたりの音像と現代のジャズも合わせて聞いております。

ブライアン・ウィルソンライ・クーダーのような、アメリカ音楽を総合的に、比較音楽(学際)的に捉えるアプローチにやがて辿り着くんだろうな、って思ってはいます。

 

中南米:メキシコ、キューバ、ジャマイカ

お察しのようにライ・クーダーの「ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブ」がキューバ音楽の入り口でした。後述しますが、ぶっちゃけ自分のワールド・ミュージックのネタもとはライ・クーダージョー・ストラマーの影響が強いです。

メキシコに関してはこちらもやっぱりサンタナから入りましたね。あと地理的に近いテキサス・エルパソ出身のマーズ・ヴォルタを聞くと、なんかこのあたりの音楽文化の匂いってものに想いを馳せてしまいます。そういう意味だと、マリアッチを多少聞いてはいたものの、やっぱりアメリカのチカーノ・コミュニティの文脈からメキシコ音楽は聴いていたかもしれません。これ書いていて気づきましたが。

ジャマイカはこれはもう、70年代ロンドンパンク~ニューウェイブから入りましたね。ようはレゲエやダブを、パンク勢とくにクラッシュが導入しまくったので、その文脈で聞きました。そうですサンディニスタですよ。


The Clash ~ One More Time / One More Dub


ただ、結構レゲエから、スカに遡って聞いていくうちに、自分はカリプソのビートがやたら好きだってことに気づきました。結構カリプソは好んで聞きましたね。カリプソを演っているだけで自然と点が甘くなる傾向にあります。あと、ダブに関しては近年再入門しております。何しろ深い世界なので……

 

●南米:ブラジル、アルゼンチン

深いといったら南米も大層深いです。まず、戦前のサンバから戦後のMPBやブラジル風のEDMを概観する形でブラジル音楽史を総合的に聞いていってるのが、軸としてひとつめ。こちらを現在頑張っております。

もうひとつは、ボサノヴァですね。これはジャズにおける「オルタナ」というか、やっぱりジャズ史観から見ると、相当このボサノヴァってやつは発見が多いのですよ。で、そのうち、ジャズのサブジャンルとして聞くだけではなく、ボサノヴァを水のようにごくごく摂取するようにもなりました。ある種の人々は恋するかのようにボサノヴァを聞き込みますが、気持ちわかりますね。

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アルゼンチンですが、カルロス・アギーレの音楽や、「Bar Buenos Aires」コンピレーションを軸に、この地のフォークを聞いております。また、フアナ・モリーナなどのいわゆるアルゼンチン音響派と呼ばれた音楽家も同じく。そういう意味では「静」のアルゼンチン音楽はよく聞いておりますが、反面「動」の方はまだまだともいえるかも。

うむ、やはり中南米、南米はわたくしまだまだ浅いところにとどまっておりますな……!

●西欧:フランス

フレンチ・ポップから入りました。それこそフランス・ギャルとか。ブリジット・フォンテーヌまで聞いてた。これは90年代渋谷系……ネオアコやジャズやR&Bや映画音楽の再発掘ムーヴメントの文脈で聞きました。ようするに小西康陽の美学は相当大きい。学生時代、この分野に強いジャンゴレコードという奈良のレコ屋に通い詰めていましたからね。

その一方で、ダフト・パンクが大好きだったりします。おーい70年代フレンチプログレすっ飛ばしていないか?と思いますが、うん、はい、申し訳ない。今後の宿題です。ともかく、ダフト・パンクが大好きです。こいつらはフランス文脈で語っていいのか?と思いますが、しかしUSやUKのクラブシーンの史観からしたら、やっぱりこいつらは傍流というか。王道になり切れない(いつもそのオルタナでいたい)というそのアティチュードに妙にフランスを見出していたりします。屈折やなぁ!

あと、ドビュッシーの音楽はどこまでいってもフランスです。初めて聞いた時からその洗練された和音のファンタジーに魅了されています。そこからフランスのクラシックを遡った……というよりも、もうちょっと後年のエリック・サティとかフランシス・プーランクを聞いていました。

そんで、自分がヨーロッパ・ジャズを聴くとなったら、まずフランスに目を向けているかなぁ、と。どことなくユーロっぽいフレージングを耳にすると「ああ、やっぱりヨーロッパ・ジャズだなぁ」と思います。ジャンゴ・ラインハルトステファン・グラッペリの昔から……というかあの連中がそもそも輝きすぎてるんだな、うん。

 

●西欧:ドイツ、ベルギー

ジャーマンプログレクラウトロック)と、ジャーマンメタルと、アヴァンギャルド。それからテクノと、やっぱりドイツ系クラシック音楽を遡りました。ジャズは手をつけられず……。

ジャーマンプログレはCANを聞いて、「そうか、ループ的にトランス音楽をカマしていけばいいのか!」と変な悟りを開きました。だからやっぱりタンジェリン・ドリームには親近性をすぐに抱きました。その後のテクノ・ハウスへの影響という意味でも。
あと、管理人の自作の曲の感想を頂くとき、実は結構多いのが、「ジャーマンプログレっぽい」って言われることがあるのです。名指しでアモン・デュールって言われたことがあった。実はそこまでジャーマンプログレ聞きこんでいるわけでないので恐縮でしたが正直w

結局メタルはアメリカのよりも、ヨーロッパのいわゆる美メロというかクサメロみたいなのが好みなんだな、と。聞こえてくるじゃありませんかハロウィンのイーグルフライフリーが……。

クラシックに関しては、いわゆるドイツ系……バッハ、モーツァルトベートーヴェンから、ロマン派、そしてワーグナーとかシェーンベルクに至るまで、一応聞いております。ドイツ系クラシックで一番自分が好きだって思えたのがハイドンだった、というのは未だに「うーん、そうなのか……」っていう感じ。むしろ最近はシュトックハウゼン電子音楽を、ニカ(エレクトロニカ)やアンビエント、ノイズの文脈で聞くことが多いかも。

ベルギーのシンク・オブ・ワンに関してはアフリカ:モロッコ音楽のところで……

 

南欧イベリア半島

ケルト文脈でスパニッシュ音楽を聞いてるっていうのが変な入り口というか。MIDIバグパイプのエヴィアとか、カルロル・ヌニェスとか。そんなにケルト音楽・ユーロ民謡好きか。大好きです!

フラメンコを少々聞いたくらいで、やはりスペインやポルトガルの方面は「入って」いっていません。むしろロドリーゴやファリャのようなクラシックと民族音楽の融合アプローチの方をよく聞いているかも。あ、国籍フランスですが、南フランス郊外でスパニッシュの影響色濃いっていう意味で、マノ・ネグラ好きです!あ、しまったマヌー・チャオのこと南米のとこでいうの忘れてた! ライ・クーダーとストラマーの次くらいに、国際ミクスチャーロック文脈ではマヌー・チャオ意識してはいますハイ。


Manu Chao - Me Gustas Tu

 

●西欧:イギリス

UKロックはそりゃあ遡りました。キンクスビートルズに始まり、ツェッペリン、クリーム、パープル、ユーライア・ヒープ、ブラックサバス……。でもやっぱりメタルはあんまり行かなかったです自分。2012年くらいになってようやく各地のメタルを聞き始めたくらいですから。そのタイミングでアイアン・メイデン聞いてるくらいですしね。

UKはパンク、ニューウェイブを中心に、そこからマイブラに至るシューゲイザーにまで連なる感じで。でもオアシスをまず聞いていないという変な人です。

前述したように、クラッシュ、とくにジョー・ストラマーの世界音楽探訪精神に極めて感化されているもので、クラッシュと言うパンクから、ダブ、レゲエ、初期ヒップホップ、トラッド、初期ロックンロール、ワールド……とやたらめったら手を出すようになってしまいました。ようはクラッシュのせいで、今この文章を書いているようなもんです。責任をとってもらいたい。

ネオアコザ・スミスといった80年代の展開もそれなりに聞きつつ(80年代に関してえば、アメリカよりもイギリスをよく聞いてるかも)、でも心は常に70年代というか、ツェッペリンだのクラッシュだの。古いですね。大好きです。

音楽を聞き始めた一番最初、自分はトランスやユーロビートを聞いていましたが、やはりUKダンスヒットチャートは意識していました。今では全然見ていませんが……。

あと、イギリス民謡とか、オルタナティヴフォークとか、フェアポートコンベンションみたいな電化トラッド、めちゃくちゃ好きです。それからepic45みたいな郷愁ポストロックも大好きですし、まだまだ掘りが足りていないですねイギリス。

 

●西欧:アイルランドアイスランド

U2を愛好してるんですが、それ以上にとにかくこのアイルランドの地のトラッド(トラディショナル・ミュージック、要するにケルト系)を愛してやまない。その現代的展開のポーグスも好きです。アイルランドに行ったらアルタンの切手を買うんだ……。アイルランドの民謡はもう全部好きです。古典も現代も。

それからアイスランドは、個人的にはエレクトロニカ/フォークトロニカの国です。シガー・ロスムームはもちろんのこと、Lo-Fiおばあちゃんことシグリズル・ニールスドッティルのようなインディー魂が脈々と受け継がれている素晴らしい音楽文化というか。


Múm - Green Grass Of Tunnel

 

南欧:イタリア、ギリシャ

カンツォーネを聞きこんでいました(どちらかというとユーロジャズや映画音楽の文脈)が、その一方でラプソディ・オブ・ファイアのようなシンフォニックメタルの国っていう聞き方もしています。とくに自分の聞いていた(クサ)メタルのバンドは、こぞってラプソディを愛好していましたからな……。ぶっちゃけそれはSound Horizonにまで至る。

ギリシャは民謡くらいしか聞いてはいませんが、その変拍子っぷりに度肝を抜かれたものでした。なんだこの変拍子の嵐は、と。まだまだ聞き込みが足りません。

 

●北欧:ノルウェースウェーデンフィンランド

ユーロ民謡・トラッドの流れで、この地の民謡も聞きまくりました。とくにヴェーセンは大変すばらしく、今もニッケルハルパ(楽器)の音色が耳に響いています。ラップランドサーミの民族歌唱ヨイクの大地的な響きもまた。

そして(クサ)メタルではアーク・エネミーやチルドレン・オブ・ボドムというデスメタルを聞いたり。目下の宿題は、アーク・エネミーの中心人物・マイケル・アモットの別動隊である70年代ハードロックバンドのスピリチュアル・ベガーズを聞きこまないといかんな、というのがあります。人間椅子文脈で。


Väsen: IPA-Gubben (Official Video)


Solveig Andersson Jojk "Bjiejjie"

●東欧:ハンガリーブルガリアルーマニア

こちらもユーロ民謡・トラッドの流れで、ムジカーシュやその流れの民族音楽を。大学に居る時に民族音楽ライブラリーを使ったりもしましたな。乾いたような湿っているような、泣いているような静かに恨んでいるような、独特の哀愁が非常によろしく。
ギリシャ変拍子もすごかったですが、ブルガリアのジプシー系クラリネット奏者イヴォ・パバゾフのもすごかった。なんだ7/8拍子って。それからファンファーレ・チォカーリァやタラフ・ドゥ・ハイドゥークスなど、「バルカン・ビート」文脈でも紹介された音楽はもちろん押さえております。


Ivo Papasov on Nightmusic


Fanfare Ciocarlia - Manea Cu Voca

それからユーゴスラヴィア圏の民謡やフォークも聞きましたが、ここまでくるとむしろロシア的なフレージングというか、スラヴ的とでもいうんでしょうか。そういう影響を感じることが多くなりましたね。

 

なんかやたらと長くなってきたので(5500字)、今日はここまで!ヨーロッパが一区切りついたのでキリがいいですし。次回は下記について書きます。

 

次回の分 
その2:アフリカ大陸、ユーラシア大陸、アジア

北アフリカ:モロッコ、マリ

南アフリカ

●中東:トルコ、サウジアラビアアラブ諸国

●インド、バングラデシュ

●東アジア:中国、朝鮮半島

●東アジア:日本、アイヌ、沖縄

●東南アジア(ASEAN諸国):シンガポールインドネシア