ガールズ&パンツァー最終章・第3話のムビチケ特典が、カセットテープだそうですね。なるほどです。それから、ネットニュースで、カセットテープが取り上げられているそうです。
それはともかくとして、この数年間わたくしにとって、一番熱い音楽メディアは、まぎれもなくカセットテープでした。それも現在進行形……!
今日も新しいラジカセ(ラジオカセットレコーダー)と、空の10分テープを8本ほど購入しました。昨日は昨日で、通販でインディーポップバンドの新作カセットテープを4本購入しております。
なんでそんなにカセットテープが好きなのか?
まず何よりカセットテープという「モノの形が可愛らしい」というのがありますね。カセットテープはカセットテープの形として、完成しております。磁気テープを守るプラスティックの御姿。ラジカセに「ガシャッ」と入れたらくるくる回るテープ。カセットを購入したり、オリジナルテープを作成したり(後述)して、テープを自分のものとして、直に触る。撫でる。ちょっと匂いをかぐ。そして触る。磁気テープがたるんでいたら鉛筆入れてちょっと直す(クルクル)。「モノ」として扱っていて楽しい。
この点、こう言ってしまっては何ですが、レコード盤よりももっと雑に扱えるところが、モノとしての「可愛さ」に拍車が掛かっている、とみなすのがカセットマニアでございます。どうしようもないな。この「可愛さ」というのは、「おもちゃっぽい」とほぼ同じ意味です。そして、この文章の筆者は、「おもちゃっぽい」モノの形を、とにかく愛好しています。でなきゃ何度も模型やおもちゃの話をこのブログでするものですか。
次に、「カセットの音」が好き、というのがあります。音楽メディア(媒体)である以上、音質の良し悪しの話は避けられないものであります。一般的に、カセットの音は悪い……というのが言われています。
しかし、わたくしが「求めている音の形」というのは、カセットテープの音なのです。
カセットの音は、ハイファイではございません。音圧も薄い。基本、モノラルで再生されるため、ステレオという観点から見たら、レコードやCDに劣ります。
ですが、カセットの音というのは、上記の欠点がそのまま良点に変わるのですね(マニアには)。モノラルで中域がぐーっと押し出されて、まっすぐに、半径1メートルで届く(完結する)親密な音、とわたくしは良点をとらえております。
それから、カセット特有のノイズ、と言う向き(批判)もあるんですが、これってほとんど、ユーザがラジカセ内蔵マイクで録音した音のことを言ってるんだと思います。実際にカセットで新譜を買って聞いてみれば、ぱっと流して聞いて、イライラするノイズって基本ありませんよ。いや、もちろんユーザが録音したカセットに乗るノイズっていうものも、マニア視点からみたらまた乙なものでして……(どうしようもない)
もとからわたくしは、ハイファイを志向するオーディオマニアではないのです。むしろ、「カセットの音」の半径1メートルの親密さ、というのを求めているのです。窓辺の机に座って、正面にラジカセを置いて、そこから流れてくる音。どこぞの世界から、未知の音楽が流れてくる。それを求めている。今も。
令和時代の、今のカセットを取り巻く状況ですが、新譜カセットに「MP3デジタルデータ音源のダウンロードコード」が付くのが、当たり前になりましたね。ユーザがMP3プレイヤやスマホに音源を入れる際、ユーザにアナログ→デジタルのリッピングを求めるようなハードコアは、時代とマッチしていないだろう……という認識のようです。ミュージシャンやレーベル側も。
それから、カセットテープの美点として、「自分で作れる(DIY)」というのがあります。なんてったって、録音メディアなのですから。
例えば、SANSUIのこのラジカセなのですが(上記写真の左の青いの)、これは、USBメモリやSDカードに入っているMP3音源を、再生はもちろんのこと、カセットテープに録音も出来る、得難い代物なのです。
この逆はよくあるんですけどね。カセットテープの音源(アナログ)をMP3音源(デジタルデータ)にする、というコンバータ付ラジカセ。でも、SANSUIのこの機種のように、「わざわざMP3データを使ってカセットテープを作る」というのは少ない。もちろん、外部ライン入力が付いている高級カセットデッキがあれば済む話なんですけどね。TEACがこのご時世、ほぼ単独で出していますし。いずれ買います(決意)。
それはともかく、自前でMP3音源を用意すれば、あくまで私的にですが(売ってはだめよ)、これまでCDや配信音源でしかなかったアルバム作品を、私的にカセット化して、私的に楽しむことが出来るのです。カセット化して何をするのかって?聞いて、カセットを愛でるんですよ……!(当然すぎる)
自宅から、もう誰も聞かなくなった想い出のカセットを発掘する楽しみもあります。さすが磁気テープ、傷がついていなければ、音が「持って」います(ダメなものもありました)
ラジカセから流れてくる「当時の音」や、過去の自分が演奏・歌唱していた音が流れてくる。無性にタイムスリップ。時間の流れ方がぐにゃっと歪んで素敵な午後の時間を過ごすことが出来ます。ときたま「ああ、こういう音楽もあったなぁ……」と思い、「じゃあ今はどうなってるんだろう」と、youtubeで調べてみるのも一興です。アナログとデジタルは、もはや敵とばかりは言えませぬ。双方の良いところを使っていきましょう。何よりすべきは、「音楽を聞く事」ですから。
令和3年(2021年)の今、カセットテープで新譜を出すミュージシャンが、すこ~しは存在しています。主にインディーポップ、エレクトロニカ、Vaporwaveの領域です。あるいはアナログ世代のベテランミュージシャンが出したりしています。
とりわけわたくしは、インディーポップ/カセットテープレーベルのGalaxy Trainを贔屓にしております。自分がカセットにこれだけハマったのも、Galaxy Trainの作品群を買いあさるのと、2019年の穏やかな光さす小春日和、東京・中目黒のアナログ/カセットテープ専門店・Waltzでカセットテープを買いあさったからです。
galaxy train (@GalaxyTrainTape) | Twitter
waltz | カセットテープ & レコード from 中目黒
自分なんぞ、先達のカセットマニアからしたらまだまだ新参です。ですがそれ以上に、カセットに対する申し訳なさが一抹ございますというか……これまで、家の片隅でホコリをかぶらせていた、申し訳なさがあります。すまない。すまない……。モノの価値がわかっていなかった無知なわたくしでありました。その分、これから可愛がっていきたいと思います。
出来るものなら、ラジカセのヘッドの調整など、ラジカセにトラブルがあった時でも、手前で対処できるようになっていたい、と考えています。