残響の足りない部屋

もっと多く!かつ細やかに!世界にジョークを見出すのだ

修道院は眠らない

二人は福音を待ち続ける。回廊の中で、その先にある何かを。
進み続ける時の連続の中、二人は祈り続ける。
ぼんやりとした光は、祭壇の周りしか照らすことはなく、それより先はただの夜の暗い闇であった。時に明かりに照らされ、時に影に飲み込まれ、あるいは光と影を共にまとい、二人は祈り続ける。一晩中祈り続ける。日は地表の遥か下に、忘却するほどどこか遠くへ。残された大地にあるものたちは、闇の色に染まり、何も告げなくなっていく。水が氷になるように、落葉が枯葉になるように、闇はその深さを増していく。
二人は聖典に書かれている言葉をゆっくりと詠唱する。蜂のように早く唱えるのではなく、道を歩くかのように、ゆっくりと。
空が白み始め、森の木々の頂の彼方に光らしきものが出たら、そこで二人の祈りは終わる。半ば、闇という混沌の一部となりながら祈り続ける時間は終わる。しかし、二人の祈りは終わらない。まだ決して、終わらない。
微動だにせず、二人は言葉を紡いでいく。表情一つ変えず、まるでそこに二匹の静かな鳥がいるかのように。二つの声が重なる。重なった音は、水面の波紋のように広がっていく。それを何回も、何十回も。広がる闇に細い細い線を刻みつけようとするかのように。
鈍い光が二人を照らす。燭台の赤い炎がかすかに揺らめく。そして部屋の光がわずかに揺らめいた。とても小さい炎であった。

(続く)