残響の足りない部屋

「ホームページオブ百合機械」の別館日記ブログ。毎日更新。今日も世界と逆向きに。

初恋タイムカプセルプレイ日記(1)

しとろんソフトとわたし


下のmixi日記の引用の通り、わたしはしとろんソフトが好きだったのですよ。前身ブランドでの『どこでもすきして いつでもすきして』榎穂ルートに惚れ込み、『みここ』の華蓮&小夜ルートに惚れ込み。もっと正確に言えば、海原楓太氏の書くものが好きだったのです。その過程において雛祭桃子氏の絵も「味がある」って感じで好きになり、作品、というかブランドカラーから溢れ出るB級感に引き寄せられ……まあそんな感じで、時流に乗らないこと甚だしかったですが、ひっそりとしとろんソフトを応援してきたのです。
ですが今作は……発表以来、ロクにアナウンスがされないという時点で妙だとは思っていたのですが、その後発表される事柄全てが不安要素を煽るものばかり。とどめは体験版。下でも書いた「妙な感じ」がすごーい嫌な予感をもたらします。
ぶっちゃけ、プレイ感想を書くなら、しとろんソフトの同ライター陣による、めろめろキュート『魔法少女の大切なこと。』について書く方がよっぽど自分にとって意義深いと言えるのです。最近プレイしたのですが、いやそれはもう、死ぬほど面白かった。一般的には黙殺されている作品ですが、話題にも上らない作品ですが、海原氏らしさでいったら、この作品はとことん「海原氏らしい」のです。それゆえにウケなかったとも言えますし、わたしと世間との笑いのツボというか、エロゲに対する趣味というか、そういうものの相違が明らかになったとも言えます。ですが極個人的にはこの作品が大好きです。
なのになぜ『初恋タイムカプセル』のプレイ日記を書くかというと、やっぱり、「しとろんソフト」という名前に対する義理かな、って感じです。あるいは、けじめをつけるという意味。……販促展開からして、そして作品の出来からして、これがしとろんの見納めかな、って気がするのです。十中八九そうでしょう。
mixi日記でも書いたように、「最後まで付き合う」という思いです。……正直、この作品買うのも躊躇いました。これよりも、ブランドの系列的に、そして作風的に近いonomatope『めちゃ婚!』を買った方がずっと楽しめるのではないかとも。はっきり言って、こんな不安要素ばっかりの買い物をするのは楽しくありません。いくらB級エロゲが好きだからといって、駄作臭が異様に漂っているものに手を出すほどゲテモノ趣味ではないつもりです。
……ま、ほんと、義理ですね、義理。あとそれから、これが「しとろん作品として駄作」なれば、そこから「しとろんの美点」を逆にあぶり出して考察出来るのではないか、って考えもあります。それは海原氏の特性の考察であり、雛祭氏の絵の考察であります。その行為においては、確かに意義はあるのです。
純粋に作品として楽しめればいいんですけどね……。


美桜ルートに入りました。


とりあえず美桜ルートからはじめることにします。
どういうわけかわたしはエロゲを攻略するとき、よっぽどツボなキャラだと事前に踏んでいない限り、まずツンデレから攻略する傾向があります。
別にツンデレ属性持ちではないのです。嫌いじゃありませんが。何故なのだろう……と考えてみて、恐らく、ここでわたしは作品の、ライターさんの筆致というか、世界観みたいなものを探っているのだろうな、ってことをしているのでしょう。経験則的に。
ツンデレとは前半と後半の、ツンとデレとの落差によって魅せるものです。その「お約束」のギミック性をいかに調理するか。わかりやすい、王道かつテンプレ甚だしい属性だけに、ライターの個性・腕・世界観が浮き彫りになる……と一応自分の中では理屈をつけています。
ただしとろん作品の場合……ここのツンデレは本当に良いのですよ。してしての榎穂、みここの華蓮・小夜(華蓮は……ツンデレを名目にしたバカだからなぁ)、妹スマイルの夏希、皆素晴らしいキャラでした。兎角ここはツンデレを描くのが上手い。それも、一見テンプレ設定なのが、描写が独特かつ上手いので、親しみを持てる、という。少なくとも「勘違い暴力女」という悪しき類型に堕してなんかいません。


……で、美桜。入りたてなんですが、なるほどこの残念さ、頭の悪さ、妙なテンションは確かに華蓮直系だわ、と思いました。
が、妙に胸に迫って来ない。有体に言えば、ネタの切れ味が悪い。「頭が残念なヘナチョコツンデレ」ってことは分かります。海原氏らしいキャラ造形です。
ただそれならやはりどうしたって華蓮と比較してしまうのです。そうするとやっぱり「下品ネタはもっと下品だろう」「パロネタももっとどうしようもないだろう」って思ってしまうのです。このあたり「魔法少女〜」をやったからこそ余計に思うのです。あの作品の口の悪さと下品さは大概だった(褒めているのです)。
このインプレッションは全体を通しての世界観、というか作品の雰囲気についても同様です。共通が……どーにもキレが悪い。そして、展開が雑。描写が雑。海原・鯉川コンビというライター陣は、こんな煮え切らない世界観は作らなかったはず。もっとアクの強いものに仕上がったはず。
ただ、プロットというか、設定。要素。そのあたりに「しとろんテイスト」が窺えるだけ、余計にこっちのもにょり感が……まだはじめのうちですが、これが海原・鯉川コンビによるものでないことは感じられます。筆致で。突き抜け感がない。「それはないわ」とこっちが呆れかえるほどのパロネタ・メタネタもイマイチ。少なくとも海原氏が直々に書いて調整を施したものとは思えません。ただ要素自体は両氏が設定したものでしょう。それ(草稿)を他のライターさんが引き継いで……って感じがします。
プレイしていて何度も、「これが海原・鯉川両氏によるテキストだったら……」と思いました。あんまりそのあたりのもにょり感が酷いので、途中でついみここを起動させてしまいました。そしたらこれが面白ぇでやんの(笑)。
このままこの齟齬感が続くんだったら嫌だなぁ……好感の持てるツンデレは、何と言っても海原氏の、しとろんの代名詞だったのですから。「残念なネタ」の切れ味もですが、心情描写、ストーリー展開のこの悪さ。それだけに、榎穂・華蓮のルートが、どれだけ丁寧で、説得力のあるものだったのか、が思い知らされます。


(続く)

●本日のBGM:なし