残響の足りない部屋

「ホームページオブ百合機械」の別館日記ブログ。毎日更新。今日も世界と逆向きに。

エロゲレビューという受け継がれるもの、あるいは我らはどうしてレビューなんぞを書くのか

シコは孤独だ。孤独はシコだ。

エロゲ不文律である。本来、エロゲをただプレイして、人と人はそんな結ばれない。萌えてシコ、あるいは鬱ってシコ。今日もごはんがおいしい。そして寝る。その孤独な営為こそがエロゲーマーである。

当たり前の話で、エロゲはボードゲームや、オンラインゲームのような対人ソォサル要素を持ち合わせていず、ただ画面に向かって今日もクリックかちかちかち。難しい言葉でいえば「スタンドアロンなゲームプレイ」だといえる。

ただプレイして、よかったとこがあれば、幸せで(その理由を時たま考えたり)。

悪かったところがあれば、ひとしきりムカついて(その理由を時たま考えたり)。それでいい、それだけでいい。

……だのに、なんでか語りたい。そこから、エロゲソーシャル言説空間が生まれてくる。

(だから、論壇プロレスしたいからエロゲやる、っていうゼロ年代前半の批評界隈でのエロゲプレイ哲学ってそもそもストレンジを孕んでいるわけ)

 

俺のシコとお前のシコは違う。

いや具体的な絵を想像して比較検討しろ、っていうことじゃなくてね。あくまで、前提としての話さベイブ。

冷静に考えれば「ああシコの(萌えの)対象、趣味がこうも違うからこそ、エロゲの文化は豊潤なのだな」と思えるのだけど。まあ戦争の話をしたってしょうがないや。

ともかく、俺のシコとお前のシコは違う。

そこから、エロゲレビュー/語り、が生まれてくる。

 

●ある初心者のはなし

 

俺のシコって何だ? 

そう強く思う、あるエロゲ初心者がいたとする。

他人のシコを糾弾する前に、自分のシコをとりあえず見つめてみる。そうすると、案外シコ言語化、というのがムズいことがわかる。それでも、俺は意地になって、それでも、俺は意地になって、求め続ける、求め続ける(@向井秀徳)、己というものの言語化を求め続ける。そうしたら、俺のシコ、俺の萌え、ってものが、なんか今までの人生のカオスとみょうちくりんに結びついてることがわかってくる。思い出したくないあの脳内フラッシュバック現象、初恋に捧ぐ懺悔の物語、少年の憧憬、あるいは夢の敗北としての最果て。

でもま、ある程度、とりあえず、言語化してみる。数フレーズ、数センテンス、でも、それでもそれは俺なのだ。

そこで、他の人はどう思っているのか。俺のエロゲを、俺の萌えを。まぁ俺のシコと同じシコを抱いている者はいやしまいが……

 

ところが、案外同じシコをしている人間がいるのである。

そいつは、どういうわけだか、溢れる文才を、ただ「己のシコ」を叙述するために、呆れる時間を費やしているらしい。次々にエロゲをやっては、次々レビューをうpしている。

そんな奴に、たまたま出会ったとき、二つの考えがわく。

(1)お前の言ってることわかるよ!

(2)やられた、お前に語られちまったよ!

この二者の割合は、初期段階では(1):(2)=8:2くらいかな。そんなわけで、「お気に」のレビュアーができる。結構な好意と、わずかな嫉妬、という緊張感をはらみつつ。

 

そいつのシコレポートがうpされている場所には、コメント機能があったり、あるいはtwitterや個人ブログへのリンクが張ってあったりする。

望むならば、君はそいつとコンタクトをとることができる。

レスポン(@ファイナルファンタジーS)を望まないレビュアーなどいるものか。レビュアーは塔に篭ったヘンリー・ダーガーではないんだ。

……だっちゅーのに、俺はレスポンでアプローチするのを、ためらってしまう。

俺は、こいつと同等ではないよな、と。俺以上に、俺のシコを充分以上に記述している、論じているこいつ。嫉妬があって、リスペクトがある。そう、勝手に篭ってしまうのは、俺だったりする。

だから、すぐにはレスポンをしなかった。まず、自分のシコレポートを書こうとした。そいつに近づきたかったから、というのがある。動機としては不純だろう。

でも、「書く」という行為はフシギシチュエーションである。

なんでか、俺の中から、いつもと違った言葉が出てきてくるのだ。

俺は知っていた、そいつのことばの影響を受けている、と。この時点で、結構ショッキンだったりする。俺はそいつの奴隷かよ、と。

でも当座の俺はそういうふうにしか書けないのだから、書いてみる。書いてみる。脳がサァーっとするまで書いてみる。

薄闇に包まれて、もやもやしているのを、とにかく脳内酸欠状態になってでも、サァーっとしながらでも書いてみる。ロクな文章じゃねえ。それでも書くんだ。

で、書いた俺のレビュー。俺のシコレポート。

 

所詮俺の貧相なシコレポートを、どう思うかな、あいつは。

ちょっとだけ勇気がでた俺は、あのレビュアーにレスポンしてみる。

 

……したら、なんか、異様に熱の入ったレスポンが返ってきた、あのレビュアーから。嬉しいなんてもんじゃないさ。

そうして、俺はエロゲソーシャル空間に入っていった。

 

 

●問い

さて、明らかにこの「俺」は、エロゲレビューという営為を先人から受け継いだのですが、受け継いだ明確なタイミングは、どのタイミングでしょうか? ゆっくりお考えください。