残響の足りない部屋:HP百合機械別館

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2016/4/29 APOLLO MUSIC AREAライヴレポート

鉄は熱いうちに打て、兵は神速を尊ぶ……ということで、今日行われたライヴレポートを書きます。

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参加アーティストは、

霜降り猫

土曜日と人鳥とコーヒー

ミズタアイコ

という、関西・神戸勢の遠征ライヴでございます。

 

●そもそもなんでこのライヴ聞こうと思ったの?

 

自分は、以前、大阪のポストロック/シューゲイザーシーンにとても興味をもったことがありまして。

それはこのブログでも何度か書いております(一部記事が、今ネット上にありませんが、追ってまたサルベージします)

modernclothes24music.hatenablog.com

 

また、このシーンのライヴにも、大阪まで参戦しにいって、見てきたこともあって。

(ライヴレポはこちら)

modernclothes24music.hatenablog.com

 

で、このライヴで、実は土曜日と人鳥とコーヒーのベーシスト、氏家(うじけ)氏とお知あいになれて。そこから、土曜日と人鳥とコーヒーを聞き込んで、こういうレビュー書いたり

で、去年も、土曜日と人鳥とコーヒー(どよぺん)は、島根に来ているのですね。霜降り猫と一緒に。霜降り猫のバンドメンバー氏の出身地ということで、凱旋ライヴを、松江カノーバでやりまして。それも見に行きました。どよぺんと霜降り猫は、シューゲイザーと、轟音オルタナ、というふうに、またジャンルや音世界がかなり違うながら、仲良く、しばしば対バンしているそうです。このときのライヴも、両者鬼気せまるものがありました。

そこから一年。今回も、この関西のポストロックの雄は、島根にきてくれました。っていうかねぇ……こういうのはすごくありがたい話しで、だいたい島根って、アーティストのライヴがスルーされる地域なので。鳥取のほうがバリやりますよ。

それだけ、このバンドたちは、地続きの、手渡しのライヴを大切にしている……現場感覚のミュージシャンだということなんですな。

 

●ライヴレポのまえに

 

今回、久々に音楽について書きますが、まあちょっとしたことがあって、このところ1年ばかり、音楽について語ることをやめてきました。封印っちゅうか、筆を折ったというか。もう「作り手」になったこともありますし、過去のミスっちゅうか過ちっちゅうか出すぎた真似というか、そういうあれこれが、ぼくの心のなかでいろんな形をとって、ぐちゃぐちゃしていて、音楽を素直に語ることができなくなっていました。

 

でも……先日のM3でも、今回のライヴでも、やはり良き音楽は良き音楽。そういうものを、素直に言語化することが、自分にとっての、またひとつの喜びでもあった、と今再確認している状態です。

というわけで、素直に書こうと思います。筆を、今一度。

 

●ミズタアイコ

Discography

↑音源はこちら

 

このアコースティック弾き語りの女性シンガーは、今回始めて聞くひとでした。どうくるのか、という期待というか、疑問がありました。この面子とくるんだから、変則チューニング&ループシステムを使った、フアナ・モリーナ/アルゼンチン音響派的なのでも驚かないし、テクニカルタッピングを駆使した技巧派でも驚かない。

しかして、今回ミズタ氏のスタイルは、ストレートに歌を響かせる、至って王道のシンガーソングライター弾き語りスタイル。余計な仕掛けなしに、ギターと歌だけ。

で、実際聞いたときも、特殊奏法とかもなく、普通の弾き語り歌唱スタイルなわけです。しかし、退屈はせず、どんどん聞き込んでいきました。

理由としては、まずギター・ストロークの強靭さ。いやぁ、ホネがありますね。流麗、というよりも、ゴツンゴツン、ガシッガシッと響かせるギター奏法。そのダイナミックさにパワーを感じます。

と思いきや、歌唱も基本ストレートなのですが、「歌詞の主人公のキャラ」を忠実に再現する歌唱であります。どういうことかというと、裏切られて、弱弱しく嘆くキャラの場合は、その通りに、「うた」としての強度を捨てても、本当に嘆いて泣きそうな感じに歌うのです。このヴォイシングは達者だなぁ、と思いました。

しかしそれも、すべてはギターや歌を通して、歌の「世界」を表現するため。メッセージ込みの世界観を表現、っていったほうがいいかな。一つの短編を読んでいるかのような感じすらありました。そういうことでいえば、アレンジも達者なのですよ。ギターの低音弦をでベースラインをぐいぐいやってくとことか、「うーんこういうの好き」って素直に思えます。

3曲めから5曲めからのたたみかけは、ロッキンでありながらストレートアヘッド、閉塞感はないけれど、しっかりシリアスでダイナミック。とくにラストの曲の「一歩も後に引かんぞ」の勢いは、心に残りました。やはり弾き語りは音楽の基本にして完成形よ! そこに物語性ものれば……!

 

●土曜日と人鳥とコーヒー

 

音が……揺れる……幻想の光……。

昔、ぼくはこのバンドのことを、「轟音版the cure」って言ったのですが、それはどよぺん側にもウケてくれたようでw そのような、独特の白昼夢めいた耽美性をもったシューゲイザーバンドです。

そしてやはり自分は2曲め、「ニーナ」で泣く

youtu.be

この郷愁を深く琴線をゆさぶるメロディ、コーラス、ギター。「もう取り戻せないんだけど」という白昼夢の幻影!

音がたゆたっている、yuki氏の高音voと氏家氏のコーラスがあいまって。ていうかイントロからして泣くねん。「うわぁもう泣くぞこれ」っていう。

そこから轟音

ビリビリと服が振動する!(大マジ)

今回、前回のライヴを踏まえて、身体にちょっと楽をさせるために耳栓を持ってきました。これが役に立った……。ずいぶん身体が楽でした。まあときどき、マゾヒズム心が首をもたげて、耳栓外してみましたが、耳がビリビリ!

音楽の風圧である……。しかし、今回、ドラムが交替、ということになりましたどよぺん。前任者であったミヤモト氏のドラムが、どよぺんのリズムと世界観を、アンカーのように固定するものであったら、今回のイサノ氏のドラムは、全体を保ち構築しつつ、前へ移動さすような、そんな感じの変化がありました。

そこがより顕著だったのは、三曲め、「mahāparinirvāṇa」で、この曲はどよぺんのなかでも、長尺ノイズインプロがある曲。でも一瞬たりとてダレなかったのは、リズム隊がかなり動くからなのかなぁ、と思ったり。今回のノイズパートは、いつもに比べかなり長かったですが、変幻自在の妖しさはそのままに。

んで、最後。4曲目……

あの、ライヴ始まるまえに、ぼく幸いにも、どよぺんメンバーとお話しする機会があったのですね。そこで、氏家さんが「Boris聞きましてね」って話をされて。「Borisの轟音のあとには、今までの轟音の大きさじゃ満足できない」って氏家さん、語っておられました。こ、これ以上音でかくなるんかい……とおののきましたが。

そして4曲目で、……リフ?ロッキンなリフ? そして疾走!轟音!

た、たゆたってない、音が!轟音は轟音でも、直線的に突き進む轟音だ!ぶっちゃけ俺いつ「キルミスター!」って叫ぼうかと思った(やらんかったけど)w

どよぺんの新機軸であります……しかし、やはり轟音の申し子よ、このストレートアヘッドな轟音もモノにして、鬼気迫る。今までの幻想たゆたいこそないものの、この勢いは良しっ!モグワイだって疾走もあればたゆたいもあるでしょうっ!

そして、感極まったのか、なんと最後に、暴れるギターとベースが、そのままの勢いで、ガシャーン!とそれぞれの楽器をぶつけ合う! おいおい、どよぺんってそういうキャラだったかいな!wダイジョブかおい。

とまあ、最後、狂乱するどよぺんでありました。こいつら獣を心のなかに飼ってるぜ……。

 

霜降り猫

 

このバンドは、

www.youtube.com

オルタナらしいキレキレのギターに、柔軟なリズム隊、というオルタナギターロックの王道ながら、メロディには歌謡センスを堂々と取りいれる(節回しが歌謡クサいんじゃなく、歌謡のウェットな音の質感を取り入れる、って感じ)、激情を主とするスリーピースであります。

このバンドも音がでかい。やはり俺は耳栓をする。が、テレキャスターとベースの絡みが、よいのよこのバンドは。変拍子キメをやっても安定感がすごくて「イェア!」って感じだし、ドラムは常に安定しているし。

また、ベースがバキバキに動いたり、それでいて結構歪んでいたりして、素直にかっこいい。そこから、テレキャスターが暴れる!怒涛のノイズギターインプロをかましたり、バキバキのカッティングをかましたり!

途中、「静かな曲やります」っていいましたが、静かじゃねえw しかし、激情一本なパンクではなく、叙情をこの曲ではしっかりと描いてくれました。上にあげたスタジオ音源では、線細いのかな?と懸念するかもですが、ライヴでは音域全方位にぶっとい音をかましてくれます。っていうか、スリーピースとは思えん音の厚みだ……。

なんといっても、絶対に後には引かん、的なサムライの意気込みがすごい。トリということもあるのでしょうが。会場もノっておりました。ステージングも、モニタースピーカに足かけて動きまわるので、派手。

ミズタ氏とは違った形での王道でストレートですが、やはりこういうバンドはヘタにテクニカルでごちゃごちゃやるよりも(実際は結構テクニックかましてますが、基本精神として、ね)衝動と激情と不退転でGO!って感じでストレートにやるのが一番ですなぁ。ロッキンですなぁ。

 

●久々のライブでよかった

 

三者三様……!

まさにその言葉が似つかわしく、それぞれのキャラがまるで違いますが、どれも音楽性がシリアスでストレートでロックしてるので、こちらも「聞くぜっ!」と思わせるライヴでした。

やっぱり、こういうふうに音楽聞くといいですね。そんで、自分はやっぱりポストロックが好きなんだな、と思わせてくれるライヴでした。よし、自分も自作曲をがんばろう、創作がんばろう。そういうふうに、健全な力を与えてくれました。

あとは……やっぱ、ぼく30歳なんですけど、やっぱこれからライヴいくときは耳栓もっていこうw(こんなオチ