残響の足りない部屋:HP百合機械別館

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じん(自然の敵P)「メカクシティデイズ」

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公式ページ

メカクシ団作戦本部|じん(自然の敵P)「カゲロウプロジェクト」公式サイト

 

アニメやってますね。いま、ティーンズに超人気ですね、カゲロウプロジェクト(以下カゲプロ)
実際、わたしも「流行ものかよ」と、最初は食わず嫌いをしてたフシがあります。
ところが、ある日たまたま聞いてみて……メロの出来がいい。アレンジもいい(ドラムとベースの音の鳴りよ、ギターのテレキャス全快っぷりよ)。
気がつけば、アニメ視てないのに、いつしかカゲプロの音が脳内に鳴り響き、こりゃあCD買うしかないわ、ってんで買ったら、いつの間にか超ヘビロテ

アニメはたまにぽつぽつ視てますが、それよりも(残響は基本的にアニメみないひとです)、曲がいいから、カゲプロは見逃せない作品群だ! と、今更ながら把握した次第です。

というわけで、楽曲分析レビュー開始します。
ふたことでいえば

「アジアン・カンフー・ジェネレーション(アジカン)/ナンバーガールナンバガ)の直系遺伝子」

「演奏/アレンジ超良い」

 

1。ロスタイムプロローグ

語り。特に音楽的でもない。物語的には重要なのでしょうが。

 

2。カゲロウデイズ


【じん】カゲロウデイズ【MV】 - YouTube

いかにもテレキャスフェンダーテレキャスター・ギター)、なゴリゴリ高音イントロから入ります。

しばらくメロ(Aメロ)は淡々。あんまりキャッチーではないですが、Bメロになって少し叙情的になります。

そこから一気に爆走! 色々な感情を……どこか固定したような感情をぶちまけるような!

ブリッジの間奏……この音源、バンドサウンドが非常に、異常にナマっぽいです。
クレジットを見たら、コンポーザー(じん)がギターを弾き、そこにベースとドラム、時折のデジタルサウンドの処理はまたコンポーザーが、といった感じです。
これがいいのですよ!
場数を踏んだ百戦錬磨のバンドサウンドが、腰を据えて爆走するときの手慣れたるサウンド! ドラムのヒシヒシしたビートと、ダイナミックなふれ幅を聞きましょう! 超ぶっといベースが、楽曲をストレートにゴリゴリっと推進していく勢いを聞きましょう!

そしてじんのギター! なんの留保もなく、当代一のテレキャス使いと断言する! ゴリっと、かつ高音の疾走感は、凛として時雨のTKとはまた違ったエモさを全面に押し出して。

プップカプーでピコピコピーなSEが鳴ります。デジタルサウンド。これが愛嬌を振りまくより、どこか冷徹な感じを与えます。

ボカロの調教は、このカゲプロ第二作にして、ほぼ堂に入ったものです。先ほどキャッチーじゃないといったAメロの時点で、「とまどい」を表現して、そこから飛翔する様……起こってしまった事件を白々しく描写するその様は、ナンバーガールアジカン的冷凍都市/青い春的サウンドを全面に繰り出して、むしろ我々ゼロ年代初期にこの手のサウンドを聞きまくった人間は刺さる刺さる刺さる!


Asian Kung-Fu Generation - Flashback + Mirai No Kakera Live - YouTube


Number Girl: ナンバーガール - 鉄風_鋭くなって「PV」 - YouTube

3。ヘッドフォンアクター


【じん】ヘッドフォンアクター【MV】 - YouTube

これも淡々としたイントロに、やたらと「都会的、セカイ系な物語音楽」ふうのSE。
そこからバンドサウンド疾走!爆走! ピコ音がちょっと中華風だぜ!

どっちかといったら、メロには前曲ほどのオーラはないのですが、それでもサビメロの最後のトレモロ風のメロ、これが絶品!
焦燥を全面に押し出したボカロの歌が、非常にツボです。むしろ責めたいぞ、この焦燥感を、ワンコーラスで終わらせるのですから!

二回繰り返すのがこのメロにはふさわしいだろう! やっとラストのサビでそれはかなえられるのですが、もっとやってくれい!

しかしテレキャスの高音が響きますなぁ。コードストロークに張りがある。

 

4。空想フォレスト

ピアノを全面にフィーチャーしたミドルテンポっぽくも、実は結構BPM早し。バックに耳を澄ませれば、結構早いっすよ。ドラムワークがいい。

サビからのピースフルな展開……広がっていって、ふわ、っと白い光が広がっていくような清涼感。
はじめ、カゲプロのセルフイメージだった「冷凍都市で少年少女たちがサツバツな……」テン年代ふうナンバガ/向井的世界観全面押しかと思っていたのに、実は合ってなかった曲だったから、どうも評価に困った曲でしたが、しかしこうして虚心坦懐に耳を澄ませると、非常に良質なポップスです。

これもバンドサウンドですが、ピアノとストリングスのアレンジが非常に秀逸。
そこに、タテノリのドラムがビシビシとアタックかましてくるのが、「まったり」になりきらなくて、勢いがあります。

よくある90sポップスになりそうで、ならない。これはこの作曲者のエバーグリーンな「うたごころ」の発露ですな。

 

5。エネの電脳紀行

ギターをフィーチャーした(結構加工してるけど)ドラムンベース

カゲプロって、バンドサウンド基本だって思いこみがあったので、このかなり本格的なボカロムンベ(ドラムンベース)、ボカロテクノサウンドに、意外な感じがしました。

また、メロディも、そんなに味わいがあるわけでもないです。
早口サウンドが……そこに「うた」があるというよりは、むしろこのピコ音詰め込み&ボーカル詰め込み、が、アタリ・ティーンエイジ・ライオットあたりのデジタル・ハードコアを思い出してやみません。

じゃあ悪いかっていうと、そうではなく。むしろハードコアテクノ視点からしたら、バキバキ感はかなりのものですし。

だから仮説として、じん(自然の敵P)のメロは、

1。ナンバガ/アジカン的東洋青春メロディー
2。ハードコア的バキバキ

のだいたい二通りがあると思います。
実際、この盤では、アレンジが「バンドサウンド」か「テクノアレンジ」に……とりわけシリアス曲では、そのふたつに振り切れますし。

 

で、この曲。
さんざんメロが「あんま……」と書きましたが、それはほかのメロ重視の曲のメロの良さが図抜けているから……だいたい偏見かもですが、ボカロって、似たようなメロになりがち(あるいは、音形が似る)なんですが、このコンポーザーの場合、シグネチャーがありますから。
サビ部分の高音張り上げ&カスレ具合を、どこか中華っぽいメロに乗せるとこなんか、センスですし。
ただわたしは、ナンバガ/アジカンの遺伝子直系のメロのほうをより好む……という。
あるいは「より中華になったブンブンサテライツ」と、この曲を表したらいいですかね。

 

6。デッドアンドシーク

静かなんだかあわただしいのかよくわからんアレンジから入り、そこにかなり不穏なギター、デジタルビートでもって入ります。

で、ピコ音疾走!(笑)
超安っぽいファミコンサウンドなのですが、不思議です、このクリエイターのピコ音は笑えない……世界を演出している……

ボカロvoは、どこかラップぽいです。それでも一抹の東洋っぽいメロの味わいを見せます。なのでメロ重視のひとでも聞けます。

あるいはこれもハードコアテクノ、ドラムンベースの領域で語るべきなのでしょうが。
それにしても、音楽偏差値の高すぎるサウンドです。
あらゆる音楽遺伝子が次から次へと、整理されないままぶちこまれます。そして疾走!
ある意味でベックっぽいですかね。もちろんこのご時世においてベック的編集感覚は珍しくはありませんが、それを高度に結実さすことはムズいでしょう。
そこがじんの才能でしょうか。

 

7。人造エネミー

さんざんここまで、マスターピースに比べてメロが地味めの曲が続くって書きますが、あくまでそれはマスターピースに比して、ってことですから。

ただこの曲、これまでの曲に比べて、さすがに処女作だけあって、なんかこれまでのボカロ曲だったり、それまでのポップス的な「既視感」があるのは否めないです。
とはいっても、爆走チップチューンドラムンベースのアレンジ構築力はこの時期から既にできあがっています。
……しかし、聞き込めば。
そしてその後のメロディメーカーとしての充実発展ぶりを知っているだけに、やはりこの曲も点が辛くなってしまいます。
アレンジはすでに一級だけに……末恐ろしいですが。
だって、その後の曲のさまざまなメロディーは、「誰かの影響をまるパクり」の領域じゃないもんなぁ……この曲はまだ「消化しきってない」って感じがあります。

 

8。透明アンサー

なんとも夏っぽいポップス。
しかし、メロが……サツバツ感(これまでの曲の大半を占めてた)から遙か遠く、AOR感が溢れる、都会的ポップス、ver.夏。
80s~90sって感じ。ナイアガラ系?
それでも「まったり」になりきることもない清涼感を保証するのは、ギターワーク(余裕のあるプレイ!)と、ボカロvoの清涼感メロがとてもよいから。
好みを超越した、普遍的なメロです。

 

9。如月アテンション

アイドルポップだーーーーっ!(笑)
明らかに媚びを感じさせるvo……とはいいつつも、「どうしたらいいんだろう……」なとまどいを全面に出すので、何ともかわいらしい。
そしてメロの強度がすごいので、「シリアスじゃなきゃ許さん!」なリスナーでなければ、純粋にポップスとして楽しめる感じです。
まあこの曲、アイドルが主人公ですから、しょうがないんですけど。
でもバックのエレピが、ぱっぱらぱーでありながら、でもスマートさを感じさせるので、アレンジも聞きものです。

 

「奪っちゃうよ! 奪っちゃうよ!」
……はっ、いかん、俺はppphをやるようなキャラじゃねえだろが!
ていうかラストメロのあたりで、もうppph(パンパパンヒュー)が鳴り響いてるアレンジ!露骨!
なのに、なのに、ノッてしまう、悔しいっビクンビクン。
違う違う、俺はカゲプロのサツバツ感とギターに惹かれてるリスナーだというに……ああっ!

 

10。メカクシコード

 

デジタルハードコアとバンドサウンドの中間……つまりプロディジー的サウンド、そう、わたしの好みってことだ!


The Prodigy - Invaders Must Die [HQ] High Quality Sound - YouTube


そこに日本人好みの東洋・中華的メロを早口で歌わせる!(ボカロに)
どっかすっとぼけになりがちなんですが、それをテンション張りつめ&煽る煽る感じでGOGOなのがカッコいい!
ベースとギターが同期して、分厚いディストーションサウンドで疾走します。そこに「なにを考えているかわからないvoのアジテーション」が合わさって……ああ、機械音声版プロディジー! すまーく、まい、びっちょー!(意味不明)
テンションあがりますなあ!

 

11。コノハの世界事情


【じん】コノハの世界事情【MV】 - YouTube

久々のナンバガ/アジカンふうバンドサウンド!やっぱこれ好きじゃあ!
カゲロウデイズやチルドレンレコードみたいな曲と似たようなアレンジなので、これらの曲が刺さる人はこれも刺さる!
「この世界はどうやら少しヤバいらしい」
これよ、この時代感覚よ!
ゼロ年代を越えて、我々が抱いている感覚よ!
もはやこの感覚のまえでは、立ち止まってはいられないんだ! この曲のように走るしかない……カゲプロファンは痛いとか語られがちですが、この「立ち上がるんだ!」の音の前にあっては、自然と「俺たちがやるぞ!」という気概が生まれてくるってもんでしょう!

 

12。シニガミコード

どこか童謡っぽいピアノとVOのバラード。そこにリバーブ(響き)のきいたアレンジ。
夕焼けの情景を想起させます。
非常によくわからない歌詞なのですが、この夕焼け感でもって歌われると、なんだか胸を締め付けますね。
ずんどこに落ち込む曲でも、シリアスタッチでもないのですが、なんか虚無感がたゆたっている曲です。
夏の夕焼け、血のように。

 

13。カイエンパンザマスト

よく6時あたり……夕焼け小焼けが鳴りましたよね。
ていうかあの曲そのものをサンプリングして、鳴らすトラックです。そこにボイス。
これはそっくりそのまま次回作「メカクシティレコーズ」に続きます。ほとんどそのためだけのトラックというか。
なので単体での曲評価は不定。
ただ「場違い」ではないです。

 

●まとめ

今の日本のロックのビビッドな部分が出ています!
もちろんアニメとかマンガとかでプッシュされているようなキャラクター性や物語音楽性もあるのですが、

何よりも曲と演奏のよさ!

それはとにかくじん(自然の敵P)の才能です!
とにかくアジカンとかナンバガとか好きなひとは聞くように!
それから何気に、プロディジーとかケミカルブラザーズとかブンブンサテライツとかの、いわゆる往年の「ビッグ・ビート」が好きで、ハードコアでロッキンでバキバキな音が好きなひともいけます、カゲプロは!(曲によるけど)

メロの出来はどれも水準を越えてますし、上のようにわたしは評価しましたが、どれもキラーになりうるポテンシャルを秘めています(SEトラックはのぞく)

カゲプロブームだから、とかそんなくだらねー理由でほめるのではないです。
曲がいいからほめるのです。実際ここまでわたし、曲名以外で一度もキャラ名出さなかったしな!!(それもそれでどうかと思う)