残響の足りない部屋

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2023年に良く聞いていた音楽(1)

こんにちは。この日記ブログ「残響の足りない部屋」は、私・残響が模型やおもちゃや書物、外国語でいろいろ遊んだりする日々と、お気に入りの音楽を記録している日記です。

「残響の足りない部屋」では例年、年が明けたら「去年良く聞いていた音楽」を列記しています。
今年も選考基準は例年の通りで、

発売年度を考慮せず、【自分が去年よく聞いていた】という縛り

です。

 

2022年に良く聞いていた音楽 - 残響の足りない部屋

2021年に良く聞いていた音楽 - 残響の足りない部屋

2020年に良く聞いていた音楽 - 残響の足りない部屋

 

改めまして、上記の選考基準を設けた理由を書きます。私は個人的に「その年に発表された作品」だけでベストを組むのが苦手なのです。去年(2023年)私が聞いていた音楽は、2023年のものもあれば、1930年代のものもありますし(その間ほぼ100年あるのだな)、ジャンルも滅茶苦茶です。「今」と「昔」と「世界」「ジャンル」がぐちゃぐちゃになっている。

そういう音の聞き方しか出来ないし、そういう音のカオスを愛している。だから「2023年に発表された作品」という切り取り方が、自分に凄く馴染まないのです。どうにも「今」だけを切り取るのが苦手だ。

なので「2023年に発売された作品」を列記することで、現在進行系の音楽シーンを語る、というのを、「私は」あまりやる気にならないのです(他の方がなさっているのを見るのは楽しい)。それよりも私が去年何を聞いて何を思ったのか(心象風景)、というものに自分で興味があります。自分が聞いたさまざまな音楽がカオティックに在ることと、音から見えた心象風景にのみ興味がある。ひとり語り極まれリですね。でもこれはしょうがない。

※この日記ブログで定期的にやっているお気に入り音源シリーズ「最近わたしの音の暮らしはこう」も、「最近のシーン」は語っていなく、結局「今自分が気に入っている音源の列挙」なだけですし。

 

ランキング順位を決めるのも苦手なので、順位もつけていないです。数学は好ましく思っていますが、計算は得意でないのです。

さてそれでは。

 

稲葉曇「電気予報」


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去年2023年は私にとって「稲葉曇氏を発見し沼った」一年でした。惚れました。

リフやベースラインやドラムアレンジなど、柔軟にリズムセクションを練り上げる音楽性。電子音や、フェイザー系、ロータリー系のエフェクトがかかった電気ギターなど、特徴的なサウンド

そういう音から、ぢりぢりと体温が下がっていくかのような「諦念」ある独特の世界観を紡ぎ出します。どこか寂しい。余白の空間がある。なんだかどうしようもなく虚無を内包している世界を、軽快なサウンドで展開します。聞き心地は良いのに、なんだか考えさせられる。曲の登場人物が抱える虚無を、私達リスナーも感じ取ることが出来る。

そんな作曲家・稲葉曇氏に沼って、まず2ndアルバムを買い、当たり前のように1stアルバムを買いました。今、一番新作アルバムを楽しみにしている作曲家です。アートワークを担当している、ぬくぬくにぎりめし氏の絵&デザインも素晴らしい。独特の虚無・諦念のあるミニマルな世界観は、ループ演出を多用した動画(MV)でも表現されていて、この動画も稲葉氏とぬくにぎ氏が編集しています。世界観を二人三脚でしっかり作っている。その誠実さもうれしい。

この稲葉曇氏という作曲家の作品は、「この人ならでは」というシグネチャーの個性があります。ここで貼った「電気予報」はゲーム「ポケットモンスターポケモン)」とのコラボ曲ですが、ポケモンネタのみならず、ゲーム作中でのBGMや効果音、を盛り込みまくった職人的な一作です。そんなギミックたっぷりな曲なのに、聞き通すと「実に良い曲だッ」と、まるでしっかりした食事を食べたような心の満足感があります。赤と緑とカードゲームとおもちゃと金しかポケモンやっていない私でもそのように思えるのですから、ポケモンファンも音楽ファンも皆納得するレベルの曲です。そして稲葉曇という作曲家が現時点で残している名曲は他にも数多く、さらには稲葉氏はまだ若い。これからがあまりに楽しみすぎます。

 

もちうつね「おくすり飲んで寝よう」「風呂入るプロファイル」


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もうすでに「こころが病んでます」という世界観をふわふわkawaiiサウンドで送る作曲家(ボカロP)です。それも、今心が病んで辛い、というより、もう前から心が病んで疲れて、そんな日々も当たり前になって麻痺して…というものです。言葉にしたらひどいな。でもそんな日々の気持ちに対し、私は「共感」というだけでは足りない…私はまさに「静かな共鳴」とすらいえるものを感じます。

別に今、誰をも攻撃していない。自分自身に嫌になっているのは確実だけど、そういう自己否定となんとか付き合っていこうとしている(うまくいけば)。そういうユーモアはギリギリのユーモアだけど、それでもなんとか世界と戦っていこうとしているんだと。

ただ、もちうつね氏のふわふわkawaiiサウンドボーカロイドのウィスパーボイス調教には、「皮肉っぽさ」はないんですよね。むしろ音自体は凄く純朴な電子音ポップスといえるかもしれない。だから、聞いていて「うへぇ…」という疲れる感情は持たないのです。そこは凄く良いですね。

King Gizzard and the Lizard Wizard


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オーストラリアの多人数ロックバンド。延々とリフでガーッと長時間どこまでもいっちまう系の音楽を演ります。ジャム・バンドっぽさというよりも、とにかく「リフで延々と爆走する」という感じ。そこに変なギターアドリブや改造ギターのピーピー音を入れたり。なんかアラビック・中近東っぽいフレーズも入ったりする。とにかくそんな感じで突き抜けていくバンドです。

そこが良い。私は全然退屈しなかったです。バンド演奏のイキも良いですし、リフやメロディ自体はキャッチーですし。

 

【NEEDY GIRL OVERDOSE×東方風アレンジ】「東方雨超天 ~ After Happy End World」「依存性幻想ヌクモリティ ~ Internet Yamero」


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力作! 病んだ令和のVtuber配信の世相の闇をテーマにしたゲーム「NEEDY GIRL OVERDOSE」を東方projectパロディというか、東方世界=幻想郷の中に無理やり入れ込んじゃうクロスオーバー二次創作作品です。

「NEEDY GIRL OVERDOSE」のメロディを東方風にアレンジし、MVも東方原作のシューティングゲーム画面を再現。ネタ・遊び心、そして双方のゲームに対する愛たっぷりの二次創作です。ドット絵のシューティング画面ひとつとっても、「ほんとにどっちも好きなんだなぁ」と思わされます。ネタとして思いついても、ここまでの莫大な作業量を現実のものにするといったら。

何より、アレンジ曲自体が、曲として良いんです。たしかに「ここはZUN氏だったらしないメロ展開だな」というのはありますが、そもそもニディガの曲=Aiobahn氏のメロディですからそこは当然。むしろここは「双方の良い所が溶け合っている」と言いましょう。BOSS曲のメインフレーズ(INTERNET OVERDOSEのアレンジ)の展開なんて燃えますし。

 

 

長くなったので一回切ります。次回以降の音源ラインナップですが、

スピッツ「ひみつスタジオ」

・Mammal Hands「Gift from the Trees」

・休日、趣味人同士で。「ベノム」

・MORE MORE JUMP!「モア!ジャンプ!モア!」

・ヨルシカ「幻燈」

人間椅子「色即是空

アメリカ民謡研究会「戻れ戻れもどれもどれも」

・東方獣王園BGM「タイニーシャングリラ」

・MONO「FENDER SESSIONS」のライヴ演奏

UNISON SQUARE GARDEN「Ninth Peel」

・Где Фантом?「Это так архаично」

ZAZEN BOYS「永遠少女」(これは2023年というより、今年2024年発売のアルバム「らんど」に向けて)

 

といった感じです。よろしくお願いします。

(つづく…)