●近況報告&読書日記
一週間ぶりの更新になってしまいました。
えー、奈良に帰ってまいりました。
何だかんだでやることが多く、文章を書く余裕がなかったもので……。
や、そのようなカツカツな状態こそが、今のわたしには悪いことだとはわかってはいるんですけどね……。
まわりの人からも、もっと抑えなさい、と言われているのですが……。
しかしやっておきたいこと、片付けておきたいことが多く……。
う〜ん、やっぱりわかってないのかな?(わかってないに3000点)
ブログのデザインにちょっと手を加えてみました。
一見さんがわかりやすいように、と。
とりあえず空いた時間でギターやキーボードを弾いています。
や、実家にはほとんど楽器がなかったので……。
久しぶりに曲が書けます……。
コードを奏でられる楽器がないとロクに曲が作れないということに最近気づかされました。
エフェクター欲しいなぁ。
今年の夏は、村上春樹と榛名まおとライトノベルでした。
なんだこの取り合わせは。
でも正確に記述するとなるとこうなるんです。
榛名まお氏についてはこの日記では書いていませんでしたが、ちょっと前から商業単行本を集めていました。
『ぐーぱん!』はすごく好きですし、『めげない! ひよっこ精霊士』もなかなかです。
『ぱわまゆ』も手に入れましたよ。発行部数が少ないからちょっと苦労しました。
それから、そろそろ『めげひよ』の二巻が出るそうで。
篠原重工の同人誌も一冊ちゃっかり手に入れたのは内緒。
「任意」の頃から氏のことは知っていましたが、相変わらず安定感のある画風ですよね。
線のまとめ方が好きです。
しかしこういう絵が好き(ツボ)というのもアレですよね、人から見れば真性ロ(略)。
ま否定はしませんけど〜。(しないの?)
それはともかく読書日記。
○松野秋鳴『えむえむっ!』
前回予告したように今回の読書日記は最近読んだライトノベルです。
この作品はマゾな主人公のラブコメですが、正直申しますと表紙買いでした。いいですよねQP:FLAPPERのお二方。
でも結構楽しめました。おしおきをくらったときの悲鳴とか、主人公をめぐる三角関係とか溺愛すぎな家族関係とか。
ただ気になったのは、「M体質」の描写で、この作品では徹底して「ギャグ」という観点で描かれているのですよね。
それを見て、確かに面白かったのですが、反面マゾヒズムの「官能性」は描かれていなかったなぁ、と。
マゾヒズムは人からみれば、そのようなある意味での喜劇的要素をも持っていますが、しかしやはり背徳性・淫靡さというのが第一義です。
主人公がマゾヒズムに喜ぶ部分の描写を読んでいて、そこに、読んでいてゾクゾクするようなエロティシズムを感じたか、といえば、「NO」でした。それはあくまで「ギャグ」でした。
でも、まあ、それでいいんですよね。
この小説はあくまでラブコメであり、官能小説ではないのですから。
本物のマゾヒズムを作中で披露したらそれこそラノベターゲット層の中高生は引いてしまいます。
しかし「M体質」の描写に少々でも官能性を混ぜたら、何か独特の深みのある作品になったかなー、と思うのですが、駄目か、みんな引くか。美緒さまにののしられるくらいでちょうどいいのですね。
○井上堅二『バカとテストと召喚獣』
先の『えむえむっ!』にしろこれにしろ、どちらもゆかいなギャグ小説なので、さくさく読めていいですね。一方で『罪と罰』を読んでいますが、こちらは思考や口上が延々と続くのが良く、読書の喜びは一通りではない、ということですね。
テストの珍回答もさることながら、個人的には主人公のテンポのよいツッコミがよかったです。それと、さりげなく暴走気味なことを言っているところも(特に秀吉関連)。
キャラも立っていますし。キャラの設定は王道にしても(例のアレは除く)、造形力が確かなのでしょうな、生き生きと動いています。
「余計な」と思わせるキャラがいない、というのがその証左です。
それと意外にも、「試召戦争」における戦略性が豊かだったというのと、ふたを開けてみれば実は良質のラブコメだったというこの二点が、この作品に奥行きを与えています。
さすがに話題作というだけはありますね。
最後に作者本人に関して。
えーと、「美少女」? それに関してはノーコメント。ま、どーせなら行くところまで行っちまえ、ってな感じです。
●緊急特集:「ジャンゴについて」
ジャンゴがやばいです。
店長さんについ最近お聞きしたところによると、本当に閉店の危機だそうです。
そんな……と腰が抜けるような思いでした。
店長さんが「どうにもならないかもしれない」とおっしゃっていました。
いつもあれだけ頑張っていらした店長さんが。
少し解説しましょう。
「ジャンゴ」というのは、この下のリンク集にもあるように、奈良の小さなレコード屋さんです。
扱っているジャンルはロック(ソフトロック・ポストロック)、映画のサントラ、ジャズ、などです。
なかなかマニアックな品揃えです。壁の棚には、ニック・ドレイクがあり、フランス・ギャルがあり、ロックの名盤があり、とんでもない掘り出し物のジャズのCDがあったり、そうかと思えば何食わぬ顔で隣にアヴァンギャルドなブツが置いてあったり、と。さりげなく中古でサリフ・ケイタまであったときは驚きましたね。
通信販売も行っていて、注文すればあらゆるジャンルのCDを取り寄せてくれます。
そしてこれは声を大にして言いたいのですが、今どきこんなまっとうな商売をしている店はありません。
音楽への愛がこのお店には溢れています。
それは店長さんがCD一枚一枚に付けているお手製のコメントカードからも伺えます。
ただ利益を上げればいいという大手店とは違うのです。
音楽の素晴らしさを一人でも多くの人と分かち合いたい、そのような思いから成り立っているお店なのです。
わたしもこのジャンゴというお店にはずいぶんとお世話になりました。
この店に来るようになってはじめて知った音楽もたくさんあります。フレンチ・ポップスなんか、ここで教えてもらいましたからね。
また、わたしのジャズやオルタナ志向・ワールド・ミュージック志向もこの店でさらに研ぎ澄まされました。ほんと、いくつCDを買ったでしょう。どれだけの名盤・迷盤を掘り当てたことでしょう。それらのものがなければ、今の自分はなかった、と確実に言えるものばかりです。
それらのものや、店長さんとの音楽をめぐる会話は、わたしの人生において、たくさんの大事なものを与えてもらったのです
そういったご恩があるのです。本当に。
そんなジャンゴが今閉店の危機にあります。
ここでご恩を返さなくてはわたしじゃない、ジャンゴ常連じゃない、と思い、「将来買おうと思っているCDリスト」の中から前倒しでピックアップして注文しました。
ジャンゴを応援していらっしゃるブログ「さすらいのDJANGO」のkaos78さんのように、「ジャンゴに行こう!」と、わたしも今こそ声をあげたいと思います。
このようなお店は存在していなくてはならないのです。それが「文化」というものです。
ジャンゴがなくなったら……それこそわたしは悲しいです。
そしてそれと同時に、この奈良の地において、「音楽を伝える人(場所)」がひとつ……大切なひとつが失われ、この地の音楽をめぐる精神性・文化度が貧しくなってしまうことになる、というのが悲しいです。
わたしが「文化」というのはそういう意味合いにおいてです。ジャンゴがなくなってしまったら、おそらくそうなってしまうでしょう。
「伝える人」がいなくなれば、それで文化は途絶えてしまうのです。表面上はなんともなくても、中身はひどく貧しいことになってしまっている、まるで、中を食い荒らされた果実のように。
誰が食い荒らしているのでしょうね?
それともうひとつ。レコード屋さんは今厳しい状況に立たされています。
それの引き金になっているのが「CD不要論」です。
ダウンロードで済ませればいい、みたいな。
時代の流れでしょうか。
しかしわたしは思うのです。「物」を大切にし、それを愛するという文化もある、ということを。
「宝物」という概念があります。
宝物への愛は、中のコンテンツだけではなく、それを伝える「物」に対しても注がれるのです。
「物」に自分の思いを託す、「物」に触れることによって過去の思い出に触れる。
「物」にはそういった側面があるのです。
だからわたしは「CD不要論」にはいささか「そればかりではないだろう」と思ってしまいます。
そしてそういった大切な「物」の価値を正しく理解するのがジャンゴのようなお店なのです。
問題なのは、こういった文化(人の思いのあり方)が途絶えてしまうことです。
「年寄りの繰り言」と呼ばれてしまう世の中……いや、もうそうなってしまっているのかもしれません。
しかし、確かにこういった思いを抱く人たちはいるのです。こういった思いのあり方を必要とする人たちが。
だからジャンゴは必要なのです。
というわけで、これをご覧になっている人のなかで奈良県在住の方がどれだけいらっしゃるか、それはまさにわたしの想像力の埒外にあるわけですが、もしいらっしゃったら、ぜひ一度ジャンゴに立ち寄ってみてください。
きっと素敵な出会いがあるはずです。
あ、もう一度言いますが、ジャンゴは通販もやっていますので、県外の方はそちらもぜひ。
店長さんがどういう趣味嗜好でお店をやっているかについては、下のリンク集からジャンゴのブログへどうぞ。
●おわりに
今日はまた長くなってしまいました。
でも書かなければならないことでしたから。
短くする挑戦は次回から。
次回もやっぱり読書日記かな?
きゆづきさとこ氏の『GA』の新刊や藤枝雅氏の新刊とか。
では今日はこんなところで。
それではまた。
●本日のBGM:スパークス『恋の自己顕示』(ジャンゴで、店長さんのおすすめということで試聴してみて、一発でハマった作品。この頭のネジが外れた陽性のねじれたポップ感覚は唯一無二です。始終あかんべーをしているかのような感覚?)