(ごめんひきにくさんっていったらやっぱこの悪食アバターアイコンなんだ……)
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ひきにくさんのサマリー ErogameScape-エロゲー批評空間-
【傾向】
”今”の肯定
どうもエロゲ業界、「過去の名作」をもてはやす傾向が多くて。ああ、今日も木霊する……「今年は不作」「今年は不作」「コトシハフサク……」。あたかもそれ言うとけばすむんじゃね、的な文言。
というか、彼らのそもそものアティチュードは「今のエロゲが気に食わない」ってとこなんじゃないでしょうか。彼らが青春期に過ごしてきた、いわゆる「エロゲ黄金期」こそが至上、という。
わたしがひきにくさんとお付き合いだして(去年からですね)、最初に印象深かった言葉があります。
最近の萌えゲー派です
— ひきにく (@korogariniku) 2014, 9月 29
過去の名作、でなく、今の自分が思う、自分の名作、を言祝ぐ。ああ、これこそ「今を生きるエロゲーマー」の態度だな、と感じいったものでした。
ひきにくさん。非常に陽性の方。いつもtwitter上でガガガーとアクティヴな活動をされています。ていうかいつ寝ておられるんだ、と思っていたら、どうやら「エロゲしながらtwitterしながらのマルチタスクプレイ」をされているとか。納得。
こういっちゃ何ですが、ある意味で、「お祭りマン」みたいなとこはあるでしょうか。いい意味でね。前にも述べたディスじゅる/飲尿党界隈とも熱く研鑽を積んでいれば(研鑽の内容はあえて語るまい)、古参歴戦のエロゲーマーにも「肉さんはキレてるぜ」的に一目も二目も重点して扱われている印象があります。自然にコミュ力が高いといいますか。
それはこの方の「布教」ぶり……いろんなひとに、そのひとに合ったエロゲをまんまと買わせてしまう、エロゲ伝道者(エロゲ営業者)としてのアレコレ活動に見受けられます。俺も買ってしまったよ「ユリキラー」! この正統派イチャラブ百合者たる俺がっ!
そう、highcampusさんとは違った意味で、ひきにくさんは、このエロゲ言説空間を「賑やかす」お方であります。いい意味でね。元気な意味でね。さーワッショイワッショイ、的な。だから、ひきにくさんが言説空間/TLにいなかったら、やっぱりこの言説空間/TLは、相当異なっていたことは予測がつく。
……と、いいつつも、ひきにくさんが書かれるレビューは、とても丁寧なものです。その心は、
点数が高いから買う、点数が低いから買わないではなく
「求めているユーザーの元に求めているエロゲが届くように」包み隠さず語って、その上でユーザーが自分の好みで判断してくれれば良いというスタイルです
得てしてオタクのいやらしさとは、「強制」、になってしまうことです。オタク(エロゲーマー)たるものこうあるべし、オタクはこれをやるべし、やってない奴は一人前じゃない、だから口をつぐめ……。
それを続けてきたコミュニティが、どれだけ閉鎖的になって、どれだけ風通しが悪くなって、静かに腐ってきたか……一応、自分もオタクとして10年以上やってきて、そういうことは目にしてきました。
ひきにくさんが、そういう「強制」から離れたところにある……こうやって「賑やかし」してくれるおかげで、TLはいつも元気なものになっている印象があります。なかなかこういうポジティヴさは、「いわゆるオタクの知的態度」ひとつだけでは、得られないものであります。皆、そういう元気さが、必要だってわかっていても、なかなか「やれない」のです。それをナチュラルにしているひきにくさん……ご本人の資質かしらね。
(もしくは、わたしと同じように、コミュが腐っていったことを過去に見てきているかもしれない……そのような屈託を抱えたオタク過去を抱いているかもしれない、とふと思うこともありますが、それは突っ込むべき話じゃないでしょう。人に過去あり)
エロゲの善性を信じる……と書くと、胡乱な書き方になってしまいますが、少なくともひきにくさんは、今のエロゲも、今のエロゲ言説空間も、楽しんでおられる。それは、わたしにとって、ひとつ救いに似た「ああ、いいなぁ」的感慨だったりします。誰も楽しんでなくて、過去の権威にだけすがっている作品群や、コミュが「いいもの」なわけがない。実際に、楽しんで、楽しんでおられる方が、全身でその楽しさをこちらに見せてくれること。
それが”今”の肯定、ということです。エロゲ文化もそろそろ成熟し、オッサンの語りが多くなってきました。それが悪くはないのですが、知らず知らず、過去作品をめぐる権威主義がまとわりついてきているのも、事実。エロゲの今のシーンを、まず肯定して楽しまれるひきにくさん……彼がこの後、どういう道を辿るのかはわかりません。ひきにくさんは「今」を肯定されますが、「この先」を肯定する保証はありません。でも……でも、ひきにくさんは、よくありがちな「あの頃はよかった」形式の物言いだけは、しないだろう、という思いが、勝手に残響は抱いているのですよ。
(記事取り下げ、事実誤認などありましたら残響まで!)