残響の足りない部屋

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2022年のわたしの音の暮らしはこう M3秋、Lo-Fi、ノスタルジア

前回記事 ↓

modernclothes24music.hatenablog.com

2022年秋M3を終えてのお気に入り音源コーナー……はい、「秋2」を書くつもりが、見事にになってしまいましたね(現在12月7日)。
漫画を描き始めるとダメですね。作画にばかりかまけてしまって音楽日記ブログが放置ですよ。すいません。

そんなわけでM3購入のなかでも特にお気に入りだった音源とともに、もう年末なので、今年の私個人の音楽状況を振り返ることとします。
( )の中は筆者が勝手に考えたジャンルカテゴライズです。

●Circle S&G(チップチューン、レトロ音源、ゲーム音楽

sandg.booth.pm

sandg.booth.pm今回の秋M3で一番の収穫サークルさんでした。レトロな音源やドラムマシンを使って、主にシューティングゲーム的音楽、RPGのバトル曲的な音楽を作りまくっているベテランです。
チップチューンには実機勢と言える派がございますが、このサークルさんも「実機ハード音源から鳴らす音」に拘っておられるご様子。その音に対する職人的拘りにも魅了されますが、曲も大変に良いです。

ドラムマシンをビシバシ鳴らすソリッドなリズム。強靱そのものなキャッチーなリフ。勇壮なメロディ。王道ゲーム音楽的ですが、どこか「無骨」な感じもします。これは紛れもなく褒め言葉で、ビートとリフをビシバシ叩きつけ、その上でメロディをホーンライクに勇壮に鳴らすスタイルはどの曲でも不変&普遍。そんな「良い曲」の数々に聞き惚れていまして、今このサークルさんの過去アルバムを少しずつ大事にDL購入しています。大事に少しずつ味わいたいのですよ。と言いながら、昨日もアルバム2作買ってしまいましたがねw

●アルマが遺した金枝篇(シンフォプログレ、物語音楽)

www.youtube.com同人音楽関連の知己がこぞって「良い」「お勧め」と連呼していたサークルさん。いざ自分も聞いてみたら、何という高クオリティ。複雑&豪華編成の全パートを生演奏録音というのも凄いですが、曲展開もめくるめく変わっていく豪華なアレンジです。そしてメロディが凄い。強い。疾走感あふれ美麗な剣(つるぎ)でぶった切ってきます。曲や物語の壮麗なスケールの完成度が高い。

サンホラ(Sound Horizon)直系の物語音楽……というカテゴリを今更言ってもなぁ、と思います。要するに2022年の今、物語音楽というジャンルを考えるにおいて「サンホラをどう発展・改造させていくか?」という論点をどうこう言ってもしょうがないという意味です。それはもう切り開かれ、しっかりジャンルとして確立した分野で、もう論点は「物語音楽でサウンドスケープとメロディを用いて何を物語るか?」でしかないでしょう。これも、もう論点として干支が一周したレベルの今更論点なんですが、一応改めて。


何が言いたいかというと、このサークルさんはすでに、壮麗で突き抜けていくような己のスタイルを完全に確立していますから、これからももっと多くの「物語」を見せて欲しいですね。願うのはそればかりです。
ああ……そうそう、サークル活動を頑張っていらっしゃって、作品はどれも一球入魂な豪華感がございますが、もっと「ひょいっ」と軽い小品を書いても良いんですよ~、みたいなこともちょっと付け足したいかもですw 「小さな物語」を断片的に紡いでいくことも、それも「正義」ですしね。もちろん「一球入魂」の豪華壮麗を実現されていることは、頭が下がるのですが。

 

●Lo-Fiフィルターからノスタルジアへの旅

いや今回の日記のためにyoutubeの視聴履歴を半年ぶん遡ったのですが、SovietWave聴き過ぎじゃボケ、って話なんですが。このノスタルジア音楽(シンセポップ)にハマったのも、そもそもLo-Fi HipHopからの流れなんですよ。図にすれば、

 

Lo-Fi HipHopチップチューン、SynthWave、VaporWave


チル系(ChillWave)、静音系ジャズ(特にギター)ボサノヴァ、音響系フォルクローレエレクトロニカ

SovietWave、Russian Doomer Music


その起源たる80'sポストパンク、ニューウェイヴ、シンセポップ(どっちかというと中欧~東欧、そしてロシア圏域寄り)

 

参考音源:Lo-Fi

www.youtube.com参考音源:SynthWave

www.youtube.com参考音源:静音系ジャズ

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参考音源:SovietWave

www.youtube.com

参考音源:Russian Doomer Music

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参考音源:ジョイ・ディヴィジョン(後述)

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という音楽の旅をしてまいりましたこの数年。自分の中ではなんというか「あるある」「わりに順当」的というか、まぁこの流れで音楽を聴くのは普通かなぁ……と思うのですが、どうでしょうか。


音楽を起源的に遡るにおいて、まずどこかで「あぁ、そういうのもアリなんだ」という小さなブレイクスルーが必要なのですね。自分にとってそれはLo-Fi HipHopチップチューン……Lo-Fiフィルターと自分が呼んでいるものでした。数年前の当時、その音体験は自分にとって「癒やし」を求めてのことでしたが、それがこんな豊潤で奥深い世界に誘ってくれるとは。

modernclothes24music.hatenablog.comLo-Fiフィルターを耳と魂に設置し、チルを求めての気の向くままの音楽旅でした。これは自分にとってとても自然なものでしたが、無理しなかったのが良かったのでしょうね。Lo-fiフィルター、チル概念をどんどん本質的に掘り起こしていくと、やがて「ノスタルジア(ノスタルジー、懐古趣味精神)」に辿り着きます。

それは理屈ではすぐに辿り着くものなのですが、私はこの旅を、ゆっくり歩を進めました。そんなゆっくりな歩みのスピードでよかったと思います。理屈で分解して即座にノスタルジアに辿り着くよりも。……拙速スピード感バリバリでノスタルジアをやるって、その時点で根本的矛盾じゃないですかw


そして今SovietWaveを聞くと、まさにノスタルジアが染み渡っていきます。でも今日もやはりLo-Fi HipHopのMIXを聞いているのです。SovietWave一本槍なわけでなく。洋の東西はサウンドの味わいという点で大事なファクターですが、しかし求めているものがLo-fiでもSovietWaveでも、あの「甘くザラついた癒やし感覚」なのは共通しているのですから、もう全部聞いて浸って、チルくなろうぜ兄弟、ってなとこです。


しかしLo-Fi HipHop、完全にブームとして定着しましたね。例えばヨルシカは毎回のアルバムで間奏曲としてしっかりLo-Fi HipHopを鳴らしていますし、近作のデジタルシングルはLo-Fiの影響を指摘しなかったら完全に嘘でしょう。

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もっともヨルシカは流行りに乗ったというよりも、彼らが展開する物語音楽にどうしてもLo-fiの音要素が必要だったから、だと確信します。あ、そうか。流行りの音楽でのLo-Fi需要という文脈でヨルシカ出したのが悪かったです。こりゃ失礼、ごめんなさい。

でもLo-Fiがこんなに一般に浸透したそもそもの下地というのは、やはり80's(シティポップ)リバイバルです。この80'sリバイバル、私としては「良いのではないかしら」とフラットに自然に眺めています。80's再評価のおかげで自分はLo-Fiに辿りつけたし、と考えると、やはり軽く恩はあります。

しかし思うに、この再評価の80'sなるものも、幻想としての代物ですよね。90年代前半の一部も、この80's再評価の中に組み込まれているような気がするのは私だけでしょうか。まぁ別に80's/90's警察じゃないですけど。1985年生まれですけど私。ギリギリ昭和の風吹く中に生まれていますけど。もう昭和って「昭和時代」なんだなぁ、としみじみ。こういう考えもまたノスタルジアの前段階だ。
いやまぁそういう雑なくくりで80's幻想がボンヤリ形づくられて、「エモい」の名のもとに消費されていくのは、前述したように別に悪くは思っていません。フラットに見ています。

 

さて、このノスタルジアの旅ですが、私はまだまだ終わるどころか全然スタートラインに今立っているという感覚がビンビン強いです。もっとロシア語圏(ロシアだけでなくウクライナベラルーシや、ソ連時代も)のシンセポップ、ポストパンクを聞きたい。その為にはロシア語の勉強をしなくてはならない。もちろんロシア語やウクライナ語には前から手を出していますから、私は良いスタートラインを切っています。
同時に、かつて英国80'sニューウェイヴを聞いていた音楽知識も財産として活用できます。Russian Doomerのmixの各バンドのジョイ・ディヴィジョンっぽさって異常なんだ。

いつしか「これから楽しみにしている音源」話になっていますが、多分来年出るのかな~?と思っているのがヨルシカの新アルバムです(現時点で未発表)。デジタルシングルはもう相当貯まっていますし、n-buna氏がLo-Fi曲(間奏曲)を何曲か書けばすぐにアルバム出来るだろう……と思うのですが、そんな安易なアルバム作りをしないのが芸術至上主義バンド・ヨルシカなんだなぁ……。次の物語音楽コンセプトアルバムを楽しみにしていますよ。このところ文学作品モチーフのデジタルシングルを出しているヨルシカ、それらをアルバムとして纏めるのにも興味は尽きないですが、n-buna氏の書く物語をsuis氏が展開するヨルシカの「新作オリジナルストーリー」にも興味津々なのですよ。

チップチューンもSymthWaveもどんどん聞いていきたいです。それから静音系ジャズも。あと、このところでクラシックにハマっているのも、間接的にLo-Fiのチル感覚が影響を及ぼしている可能性大。えーとあとそれから……しかし、チルいチルい言ってる割には、なんだかんだ熱心じゃないですか音楽に(笑)。よかった音楽に退屈していなくて。
そろそろ自作曲もまた作りたくなってきましたからね。来年も頑張りたいと思います。

それではちょっと早いですが、良いお年を~。
今回の記事でだいたい2022年の概観をしたから、年越し~年明けの当ブログ恒例「20●●年に良く聞いていた音楽」記事は、軽くお気に入り音源をカカッと張るくらいにしようかしら、と考えております。

2021年に良く聞いていた音楽 - 残響の足りない部屋

2020年に良く聞いていた音楽 - 残響の足りない部屋

 

お気に入り音源シリーズ バックナンバー

最近お気に入りの音楽(2018/11月あたり) - 残響の足りない部屋

 

音楽の旅の路上にて ーー最近聞いている音楽、カナリヤさんへのお返事その2 - 残響の足りない部屋

↑ 2020年3月中盤

 

最近わたしの音の暮らしはこう - 残響の足りない部屋

↑ 2020年9月

 

最近わたしの音の暮らしはこう2(おるたな) - 残響の足りない部屋

↑ 2021年3月末

 

最近わたしの音の暮らしはこう 2021/08~09 - 残響の足りない部屋

 

最近わたしの音の暮らしはこう 2022厳冬 - 残響の足りない部屋

↑ 2022年2月

 

最近わたしの音の暮らしはこう 2022年3月~4月M3春 - 残響の足りない部屋

 

最近わたしの音の暮らしはこう 2022年夏 - 残響の足りない部屋

↑ 2022年8月末