残響の足りない部屋

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創作漫画制作日誌(4)プロットに囚われ過ぎた半年

時間が欲しい……。
いや、時間はあるはずだ。仕事と仕事の間に、細切れの時間が。日常の雑務や家事の間にも、細切れの時間がある。大事に使おう。でも休憩も大事にしよう。

今は、漫画を描いている。ようやくエンジンがかかってきた。

もっとも、まだネームの完成までいっていない。ネームの試行錯誤のために、イメージボードを描いたり、セリフをノートに書きだしてチェックしている。後述のように、半分まで描いてみたネームを全ボツにして、いろんなミキシングをして、全く別の内容の漫画にしているからだ。

良いネームを作るために、ここで目いっぱい時間をかけたいと思っている。これまでネームはほぼ一筆描きで直感的に構築していたけど、それはネーム=「物語演出のつじつま合わせ」を適当にしていただけ、という自己分析。物語やネームから逃げていた、とすら言える。もっとネームという漫画描きの本質を味わいたい。その為には試行錯誤だ。

画力が欲しい。この場合の画力は、前にも書いた「ネームのための画力」だ。

modernclothes24music.hatenablog.com

さらに具体的には、登場人物のモーションと感情をササっと指定できるだけのクロッキー力(りょく)と、背景のパースだ。コマ割りをまだ決め切れていないイメージボード制作の段階だけど、この二つの画力が今はとにかく欲しい。

けど、今私がその画力を持っていないのは仕方がないのだ。子供の頃から絵を描いていない。そんな人生を歩んでしまったのは自分の選択だ。今が人生で一番若いのだ。なら今、絵を学ぶ決断をしなければならない。

 

この半年、漫画同人誌第3作のネームを作ろうとして、全然出来なかった。自分の画力の低さに向き合いたくないという、いつものグダグダもある。しかし思うに「最初に想定したプロットに囚われ過ぎていた」というのが大きかった。

その最初のプロットをネームに実際に起こしてみたら、漫画としてかなり長くなってしまいそうだった。そしてプロットを全部ネームに起こさねばならない、と意気込んでしまったから、物語の演出や、物語のつじつま合わせが全然上手くいかなくなっていった。キャラの魅力も出てこない。こうなると出来上がってくる漫画は、当然つまらない。何より自分自身がわくわくしない。

最近ようやく「プロットを全部ネームに起こさねばならない」なんてことはない、のだ……と気づいた。今までプロットを描き表すことばかりに囚われていた……!

そこでまず、このプロットをクールに視る。「突き放す」くらいに。そしてまずプロットを分割してみて、特に面白そうな所だけを拡大して描いてみるのもいいんじゃないか?と思うようになった。「全部きちんと」式じゃなく、面白いワンシーンの漫画であればそれで良いじゃないか、式に。

やがてプロットから使えるもの・面白いものを拾っていく、という発想になっていく。こうなってくればしめたものだ。自分の漫画で再びわくわくしてきた。例えば、プロット全部をいきなり圧縮して「あんなこともあったね」式に1コマ1シーンで収める、なんてのも可能になる。あるいは、分割したプロットの1シーンを、全く別のキャラの視点からお話を始める、というのも可能になった。

自由だ。実に漫画の演出が、いや、物語が自由だ。--どうしてこのことにもっと早く気が付かなかったのだろう?と思う。おそらく、漫画という表現手段に意気込んでいたのだと思う。「全部きちんと描けば全部ちゃんと伝わるはずだ」式の考えだ。

しかしハタから見たらこれは危険な考えであることは容易に判ると思う。プロット・ネーム上の「完璧主義」ってやつだ。苦労して全部描いて、必死に全部伝えようとして、結局出来上がったものはつまらない漫画、という話だ。なにより、作者たる自分を食い潰してしまうような漫画の描き方は本当によくない。自分が自由になるために漫画を描くのだから。

「伝える」とか「表現する」っていうのは難しいなァ、と思う。

 

とにかく今は漫画を描きたい。その為の試行錯誤をしたい。つまりは創作に専念している今日この頃。

ネットを見ている暇がない。M3秋オンラインで購入した音源を聞くのは大事な時間だから、その為の時間と余裕は常に作るようにしている。それと休憩以外では、とにかく漫画、絵。合間に模型で手を動かすくらいか。

今は没頭していたい。そういう意味で、最初に述べたように時間が欲しい、と思う。でも、イメージボードならどこであろうと描けるのだ。メモ紙の裏でも良い。セリフチェックも同様だ。

だからスマホを見るな私。見てもいいけどアイビスペイントを起動させろ。youtubeを立ち上げるのは漫画原稿に向かってからの後にしろ。あるいはopenCamvasを立ち上げてからにしろ。

いや、ネットの方には何もない、なんて言うつもりは毛頭ない。私自身がネットに漫画作品を置きたくて、今漫画を描いているのだから。ただ、ネットをたくさん見てから自分が漫画を置きにいくのでは、いつまでたっても漫画を完成出来ないだろう、という理屈です。自分が漫画を描いてからネットに置きにいって、落ち着いた心でネットを見に行った方が楽しいぞ、というね。

そんな毎日です。

 

●過去記事

(3)は上の方で出しました。

 

創作漫画制作日誌(2)作画資料の話、特に着物 - 残響の足りない部屋

 

漫画を描いている - 残響の足りない部屋

↑実質の(1)