●近況(2021/10/28 記)
※森山鉄道模型店さんは、現在お店を閉めておられます。
●本文(2013/12/13 記)
こんにちわ、残響です。
単なる模型好きです。
わたしは、シマーネ王国イズモン村(お察しください)に住んでいるのですが、まあ、たしかに、ここぁ田舎でございます。
● 序 出雲の鉄道模型専門店
物資や情報の流通は、都会とは違います。ヴィヴィッドではござらん。
んで、案外、村社会ですので、心理の流儀もギスギスですし。
前のブログで書いたように、いいとこといったら、好きなように工作が出来る、ってところぐらいですが。え? なに? 最高じゃないかって? そうか。
ただまあ、それはそれとして、模型店が少ない、というのが、難点。
そりゃ、東京のひとはいいですよ。天賞堂あるしな!
ネットがあるじゃなーい、というひと。
まあそうなんですが、しかし模型のデメリットにして素敵なとこというのが「現物商売」というとこ!
やっぱ、直にモノを見て、それから話がはじまるのです。
ああ、話が多いに脱線。
今日の記事は、そんなわたしがお世話になってる模型屋さん……昔ながらの、「模型屋さんらしい模型屋さん」、町に根付いた模型屋さん、のお話です。
……とはいっても、結構新しいんですけどね?
森山鉄道模型店
【道順】
出雲の駅のわりに近く(車なんざ使わなくても、出雲市駅南口からまっすぐ、ふつうのひとなら歩ける距離)に、このお店はあります。
……ありますが、近くですが、わかりづらい立地です。
えとね、楽器屋らしき店がある交差点を、左に曲がると、唐突に石造りの鳥居がででん!と登場します。狭い道なのに。路上に。
その鳥居の道を右に行く……これもまた路地なんですが、住宅街なんですが、そこを車なり徒歩なりでゆっくり行きます。間違ってもKATOなりTOMIXなりの下回りをパワーバック全開で走らせるような真似で車やチャリを運転するんじゃねえぞ!!
もっとも、こういう「住宅街のど真ん中にある店」って、良き店が多いんですよね……ほら、今は亡き乗工舎とか、こっちは今でもあるけど新額堂とか。あと忘れちゃならない珊瑚模型店。
あ、森山さんとこ(森山鉄道模型店を、わたしはこう呼んでます)、サンゴのキット、ありますぜ。確か当時ものの8850? 今もあるかはわからんが、絶対オレには作れねえ。「作って楽しいサンゴのキット」って、TMSで広告してたが、あれ「玄人が作ってたまらないサンゴのキット」の間違いじゃあるまいか。
【外観】
店構えはこんな感じです(今回、写真は、店主親子の了承を得ております。このブログで紹介するのも)
スマンピンボケしてて。
ていうか、わたし写真ヘタなんです。
結構ボケてる写真があると思いますが、そこは、こう、魂の心眼で捉えていただいて……(お前はなにをいっているんだ)
で、店先。
森山さんとこが素晴らしいのは、この「新参お断り!」著しい(ケツの穴が狭いともいう)鉄道模型業界において、年若い……そう、子供たち。
彼らに対して、門戸をあたたかく開いている、ということ。
はっきりいってね、こういうのをないがしろにするのが昨今の模型界の風潮だというのなら、さっさと模型界一度潰れてみてはいかがか、と、思ったりすらします。
あと、これが「地域に根差してる」って証左でもある。
世代は、「送り渡し」をしなくてはならんのよ。それが、先達なのよ。子供、バカにしちゃ、あかんぜ。マニアだったら、かっこいい背中、見せようや。
お店の目印。
店先あたりに駐車場があります。
2~3台はいけたかしら。住宅街ですからね。ハーレーダビットソンの大所帯で来ないように。
お待ちかね!模型屋の華、店頭ディスプレイ!
これはですね、後に述べますが、店主の息子氏こと春野さんが作られたオリジナルペーパー製なのです(HO)。
どうですか、この優しげな感じ。ガチガチのスーパー・スケール・モデルにはない人柄が現れています。……まあ、もともとはわたしも、その手の人間であったことは、認めますわな。
でも、こういう模型は、それとは別個のものです。「ああ……いいなぁ」って感じ。
これも息子さんが描かれた油絵なんですけどね。伝わってくるじゃありませんか。人柄ってやつが。それをレイアウト(この場合ジオラマか)の横に置くのなんか、雅ですねぇ。
その横にあるのは、出雲の辺境にかつてあった「立久恵線」のプレート……コレクターズアイテムーーーーっ!!
(この路線についてはこちらをどうぞ)
●破 店内のご様子、ごきげん
どん!
どどん!
ずどどん!
ずがん!
野郎ども!
ちょいとそこ行く鉄道模型マニアども!
あとは言わなくてもわかるな!!
●急 このお店の暖かさ
お世辞にも広い店とはいえませぬが、この密度! 情報量!
NとZとHOを取り扱ってるお店ですが、基本国鉄寄り……ですが、ナローにも強いですし(あのレールバスとかKato7tonとか、ここで宣伝したばっかりに売り切れねえだろうな……)、海外型もフォローしております。
カウンターの背後には、初心者向けのスターター(ようするに、「電車」「新幹線」系+パワーバック+エンドレス、な、KATOやトミックスおなじみのアレ)があったり、専門書籍があったりと!
そうそう、この店がやはり専門店たる所以は、
このパーツの豊富さよ!
(カバンはオレのです。写ってもうた。気にせんといてください)
こまかーいパーツ(車輪一輪から取り扱ってます的な)を補充しようと思ったら、出雲圏域じゃここ来るしかねえ。
というか、やはりここは鉄道模型専門店! レイアウト用各種素材も豊富に取りそろえております。
その一環としての、上記パーツでもあるのですが。当然ながらフレキシブル線路取りそろえなんか、当たり前ですわな。
……というか、店主親子は、レイアウト、作ってほしいんでしょうな、お客に。
さて、店主親子のお話。
この二人には、わたくし、ひじょーによくしていただいて……
ていうかですね。
ある年の新しいタウンページで模型屋調べていたらですね、ちょうどこの店が「あれ? こんな店あったか?」ってんで見つけて、電話してみたところ、
「近々開店するんですよー」
とのこと。
で、その友人を連れ添っていってみて……まあ、見事、ファンになっちゃって、もう数年の付き合いですわな。
まあそんな与太話はどうでもよろしいが、この店主親子がそれだけ親切だということはどうでもいいはなしではない。
この親子両氏、どちらもマニアもマニア。
わたしのような、小学生のころにやってたものの、ブランクがあき、大学になって再燃した程度のてっちゃん(といえるか?)とは、段違い!
知識量もすごければ、技術もまた!
例えば、
これは店の中のプレイスペースなのですが、例えば客が試走させてみたり、入門者のレクチャーしたり、ってなとこなんでしょうが、店主親子が持っている知識を、こうして実際にいつでもお客さんに伝えることができるようにしてあるのが、ニクいではありませんか。
結局、鉄道模型は走らせてナンボ、みたいな哲学を持っておられるようでこの両氏。
もちろんディスプレイモデルの美しさ、佇まいをも重視しておられますが。
(もっとも、このふたつは、程度や比率の違いこそあれ、どっちかがない、みたいな鉄道模型マニアはいないわなぁ)
「押しつけ」ってのが、ないんです、この店。
こんだけ情報量多い店のくせして、なにかを……例えば「天賞堂塗装以外認めん!」とかいうような説教はぜんぜん、しません(いまどきいるのかそんな親父? と思われるでしょうが、先日わたしが行ったジャズ喫茶に居たよ。現役で)
それでいて、技術的なアドバイスは、懇切丁寧(オレも結構アホな質問ばっかしてますが、きちんと答えてくれますしねー)
わたし、毎回来店して、結構長々とこの店に居て店主氏や春野さんと話しまくるんですが、毎回きちっと1時間はいます。
やっかいな客だなー、と自分でも思うのですが、このお二人、「合う」ひととは、話好きになるのかしら? 他の場合をよく知らんのですからわかんねけど。
……それが、無類に楽しい。
趣味は孤独にやって、自己満足してナンボだと思ってるわたしだけど、やっぱ、こういうのって、いいですね。
【モデラー・春野さん】
息子氏こと春野さん、が、ディスプレイされていた紙キットを、自ら図面引いて制作されている、というのは話しました。
このモデルというか、デザインのファンなのですよ、わたし。
春野さんが偉い(とオレがいうていいのか)のは、小学生に、工作教室を開いているところ。
いまどき、そのような「後進育成」は……ねえよ。
模型離れ、が、極度に進んでいるこのごろです。
前のブログでちらっと書きましたが、最近模型業界が賑わっている、とはいえ、そもそもスマホだのゲームだのアニメだのに、お株を奪われているのが、現代の子供です。
それが悪いとはいわないけど、あまりに「工作をしてみよう!」という敷居が上がりまくっているのは、事実。
だって、餓鬼どものまわりで、誰もやってねえべ?(オレが子供のころでさえ、趣味のトップはゲームだったよ……模型をバリバリ、新キットが出るたんびに作ってたの、オレだけだったよ……な、1985年生まれ)
まあ、春野さんがそれをどれだけ「戻そう」と考えておられるかは知らないですが、
しかしこうして「工作のたのしみ」を後進に伝えよう、とする意気込み。モデラーの鑑ですよ。
その人柄が現れているのが、鋭角的よりも、面のフラット感を出す、ペーパーモデル!
撮ったの結構前の写真になるけど、
うーん、この感じ!
ナローであることもさりながら、安心感を与える感じ! キレキレのデザインを目指しているのではなく、結果的にある程度のラフさが、優しさを与えている。
彩色も良い。落ち着いた色味は、自然とモデルにいい感じの重みを与え、いたずらな重厚感に頼らない「しっかりさ」を出してる……って、こんなふうにヒヒョーしてどないすんねんオレ!
そして店内には、やはり鉄道マニアなだけあって、こういう写真があるのですなぁ……
誌面の文字数が差し迫っておりますので、最後にインフォを。
森山鉄道模型店
……あんまりここに電話番号とか書くのって、あかん気がするんですよねー。
いまのところ、火曜日と水曜日が定休日のようですが。
模型マニアの常として、行ってみたいときは、事前に連絡とろう!
なのでごめんなさいですが、webのマップ記事参照ということで
……いかがだったでしょうか?
お店の魅力の、いくぶんかでも伝わればいいのですが……。
最後に、このような好き勝手なブログ記事を書かせていただくことをこころよく許可していただいた、
森山鉄道模型店の店主氏、息子氏に万感の感謝をさせていただいて、この記事をとじます。
よく、この店は、掘り出し物だ、と言われます。
……どうだい、そこのアンタ? 掘り出し物な店っつうのに、飢えてるだろう? マニアなら、男なら!
一介の模型マニア、残響でした。