残響の足りない部屋

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轟音サミット界隈、関西ディープシーン総括(twitter転載)

さて、前々から、轟音サミット界隈、関西ディープシーンについて、総論を書く、といっておきながら、伸び伸びになっていたので、まずはスケッチ的なものを連投してみます。タグはあの#轟音サミット を使わせてください

 

で、この総論で取り扱うバンドは、僕を殺す世界へ、瑠璃色の森、深海600m、六階、機械人間、の各氏です。#轟音サミット

 

それらミュージシャンについては、このようにレビューさせていただきましたhttp://t.co/HA0l4k6pq3 また、機械人間氏、村岡氏の前バンドは、こっちでhttp://t.co/vuP6Fj601s

 

では総論から。まずわたしがこれらのミュージシャンたちをわかりやすく言葉でまとめると、「機材マニア」「ポストロックの申し子」「シューゲイザーの申し子」ってところでしょうか。そして……三分間ポップスの方程式を、ポスロク出身ということで、華麗に無視る#轟音サミット

 

どのバンドも、「音」の磨き上げに、あくなき挑戦をしています。それは、アンプやギターと早弾きで追求するのではなく、エフェクターを用いた、音を変幻自在に調整・調律する方法。 #轟音サミット

 

……と同時に、わたしが特に気にかかったのが、彼らの「詩情」の豊かさです。音の快楽を追求する立場であることは議論を待ちませんが、その根本には、どうしようもない詩的精神があるのです。

 

僕を殺す世界への、世界に対する暴虐的な思いと、祈るような静謐な思い。瑠璃色の森の、世界と調和するかのような音空間。六階の、懐郷の中に見出される折れるような繊細さ。機械人間の前人未到の実験精神。深海600mのフィルムスコア感 #轟音サミット

 

ああ……彼らは、世界に対して、各々のスタイルで、孤独な戦いをしている。そのために、機材にこだわったりするのだろうが、通じているのは、「音楽が生活の中心」だということ。#轟音サミット

 

ふと、シューベルトの生き様を思い出す。彼は生涯を通じて、ボヘミアン的な生活を続けていた。いまでいうとこのニート。けれど、彼は己の詩的精神、溢れ出るメロディーをつむぐのに精一杯だった。ただそれだけを考えていた。 #轟音サミット

 

ざっくり言えば、「ポスロク的に単音フレーズでマスロック的にきめるプログレ」というのが左翼だとしたら、「シューテ的な轟音でもって、ひとつの音空間のカオスを作り出す」が右翼だろう #轟音サミット

 

で、界隈の共通項として、「磨かれた音へのリスペクト」もあり、かつ「怒涛のカオスノイズ」をカッキェーと素直に受け取る共通項がある。静と動。静寂と轟音。#轟音サミット

 

それは、先達……例えばモグワイであったり。ソニックユースであったり。メソッド的には、先達がきっちりとフォーマットを用意したものであり、彼らが独自のフォーマットを提示したわけではない。若手にどこまで求めるんだ、って話で #轟音サミット

 

もちろん、ポスロク方程式から「いついつ出やる」というのが、この界隈のマストではあるだろう。好きなのはわかる。過去のポスロクレジェンドが。でも……過去のレジェンドのメソッドは、崇拝すべき教典じゃない。 #轟音サミット

 

おそらく、彼らは、轟音サミットを通じて、求道しているのだろう。そしてその成果は、次々と出ている。僕殺の佐藤氏の戦慄性、瑠璃色の森の洞窟めいたループレイヤー重奏、深海600Mのフィルムスコア感覚、六階のグルーヴ感、機械人間の実験/編集感覚 #轟音サミット

 

さて、モードを変えてみましょう。オレは、このシーンを、イギリスのグラスゴーのシーンと、きわめて酷似してると思っているのです #轟音サミット

 

ベルセバ、アラブストラップ、モグワイ……遡ればネオアコ的な、オレンジジュースとか。彼の地には、非常に家庭的なムードがあります。週末パブで、それぞれのバンドメンバーがあたりまえに飲むかのような 距離が狭い。#轟音サミット

 

それを身内音楽、と称するのは簡単ですが、そこには確かなリスペクトがあります。で、相互補助精神。困っていたら即座に助ける。ゲストとしてあっさり入ったりする。まさに家族。#轟音サミット

 

グラスゴーの町が、そのようなアットホームな音楽町だというのは、まず「都市部から離れている」「それゆえ独自のコミュニティが出来ている」「さりとて、ちょいと足を伸ばせばロンドンまでいける」 #轟音サミット

 

わたしがこの轟音サミット界隈のかたがたを見ていて、みな良き友人なんだな、とすぐに思いました。そのうえで、各々が機材探求にいそしむという #轟音サミット

 

さて……一番喫緊な話題にふれましょう。どうして彼らは、ノイズを、轟音を、ポスロクアンサンブルを、シューゲを選んだのでしょう?#轟音サミット

 

そりゃあ、toeモグワイにぶちのめされたから、というのは当然でしょう。ただ、なぜこの奈良・関西というところで、そのような内省的な「嵐」が出てくるのか、と #轟音サミット

 

ときにオレ自身、奈良で学生時代をすごしていたのですが、あの土地は、ほんとうに静かなとこです。「今日の次が明日で、明日の次は明後日だから……」みたいな感じ。東京とかNYとかとは違いますなぁ #轟音サミット

 

ときに、彼らの音楽には、どうしようもなく「自然(nature)」の感覚があります。人口のヒヤりとしたものではなく、自分たちの音が、自然ととけあうことこそが、ひとつの美である、と #轟音サミット

 

そういえばこの界隈、インダストリアル方面にはいかないよなぁ……と。 #轟音サミット

 

僕を殺す世界への佐藤氏が、かつて打ち明け話で、僕殺、未確認飛行物体、吉野で、合同イベントやったそうで、そこで言われたのが、吉野は自然、僕殺は人間、未確認は宇宙、というものの絶対性を描いてるんだ、という評があったそうで #轟音サミット

 

あ、いまのは、佐藤氏に許可もらって、この話してもいい、といわれました。あしからず #轟音サミット

 

どうもね……彼らの音楽は「俺」を露悪するのとは、違うんよ。さりとて、音の実験性を追及して「俺すごいべ?」とは違う。 #轟音サミット

 

ほら青春パンクとか、ロキノン系とか、「俺をわかってくれよぉ」みたいな。そんなん一切ないもん #轟音サミット

 

……あるのは、「世界」を描くことだけ。そういう意味では、吟遊詩人的なそれよりも、時として画家のような精神性すら抱いてしまう。 #轟音サミット

 

或る意味では、「音」第一主義の、いわゆる「絶対音楽」みたいな精神すら感じさせる。もちろん、そこにフックある音響やらメロやらをいれてくるのがいいんだけど #轟音サミット

 

仲間意識に話を戻す。彼らは、ホントに、毎日機材のことを語り合ってる。 #轟音サミット

 

以前、そこでわたしは佐藤さんに噛み付いたことがある。「そこまで機材を追求するよりも、曲の発想力のほうが重要ではないか?」みたいに、からんだ。 #轟音サミット

というのも、機材にかまけすぎて、肝心のメロのセンス、曲作りの努力をサボるタイプのがあまりにも見てきたから。機材や金でどうにかなる、ってんだったら、それは音楽の数値化にほかならないだろう、と。 #轟音サミット

 

今でも、自分の中には、その言葉が残っている。必ずしも、完全に間違いではなかったかも、という思いも。でも、彼らは、新たな音を目指しているのだ。基本的に、「音」から次の音楽を目指そうとしているがゆえに #轟音サミット

 

まあもっとも、オレはたんに妙なテンションでからんだだけだっちゅうはなしだけど……すいません #轟音サミット

 

さて、別方向から。彼ら轟音サミット界隈は、関西で行動しているがゆえに、大阪や神戸、果ては広島といったところのバンドマンと付き合う。この草の根的な行動が、関西シーンの底力を底上げしていく。まさにライブである。 #轟音サミット

 

或る意味彼らは求道者なのだろう。だから轟音サミット開くのだろう。……ならば、と思う。ポスト・シューゲ、ポスト・ポスロクに、果敢に挑んではくれないだろうか #轟音サミット

 

彼らの音源は、ポスロク、シューゲのマナーを、十全に生かしきっている。その中で、詩情……激情と静謐において、リリカルな面をも持ち合わせている。#轟音サミット

 

ゴルドゴルスの暗雲の中の激情、Fineの海感覚。……ポスロクという「マナー」が出来つつある現在(ようするにtoeやWEGやモグワイの世界をコピればいい的な)、これからのポスロクには、楽曲/バンドごとの「固有の世界」を描くことこそが何より重要。#轟音サミット

 

「いわゆるポスロクマナー、シューゲマナー」に則った音、では、確かにポスロクやシューゲの機能性は高くても、「だったらtoeモグワイきけばええやん」になる。そうじゃない。わたしは……彼らの詩を見たい。#轟音サミット

 

より多くの詩を!より多くの世界を!轟音サミット界隈のひとには、それが出来る!なぜなら、「いわゆるポスロク」に汲々としてるのとは違い、彼らは「哲学ありき」なのだから。それは頭でっかちではなく、彼らが詩人だという証拠 #轟音サミット

 

これは「おそらく」だが……彼らが機材トークを延々と繰り広げているときにも、彼らは内在する「詩」の表現をしているのではないか。それを、彼らはお互いに妄想しあい、提示される「詩」を期待しているのだろう。 #轟音サミット

 

轟音に打ちのめされるのが、目的じゃないんだ。だったら……こんなにも、「同じ月を見ている」のファルセットが、孤独な思いを、突き刺すわけないじゃないか。「Lake shiny」の洞窟感はねえよ。ここには、世界と「ひと」がいる #轟音サミット

 

彼らの機材トークは……機材がもたらしてくれる「音」の「詩」を引き出すものだろう。ハイエンド機種にこだわるよりも、いかにその機体に「詩」があるか #轟音サミット

 

それは、ひとりではできない。様々な見方があって、お互いに啓発しながらでないと、「詩」は……相対化されないし、参考にもならない #轟音サミット

 

そこが、ハードコアやメタルと、轟音サミット界隈の違い、だと思う。彼らは、己の中の「詩的精神」と、絶えず問答している。 だからこそ、彼らはまず、ファズや空間系に手をつけるのだろう #轟音サミット