冬コミ新作CDの紹介なんですが……これ、すげえよ。
残響です。DEKU氏関連の情報とレビューではついついウザくなりがちなのですが、今回は、なんと公式(といってもいいでしょう)アレンジアルバム二枚組の特集ですっ!
・ちなみにわたしがいままでDEKU氏の音楽について語ってきたのは、まとめページみていただけたら、と
●序 スグリシリーズの曲、DEKU氏、これまでの流れ
なんと、自腹……しかも愛車のパーツを売ってまで、このCD製作の音頭をとって、プロジェクト進行させた、ちゅうんだかね、DEKU氏。
これはtwitterからの情報ですが、それきいて、そこまでするかい、って思いました。
が……愚問かもしれません。コンポーザーは、他のだれかにアレンジして「演奏してみた」をされるのを、喜ぶものですから。
ましてやDEKU氏はクラブ系コンポーザーが、キャリアの中では主ですから、自分の曲がリミックスされることを、ほかのコンポーザーよりも望んでおられた、という仮説もたてられます。DEKU氏はクラブ文化を愛しておられますからね。その愛の形として捉えることも可能な「リミックス・アレンジ」。さあ、そういうことなのです。
身銭きる価値はあるってことですね。
そして、そのDEKU氏の熱い思いにキックアスされた熱いリミキサー、アレンジャーが、草の根的に集結しました。ああ同人って素晴らしい。
思いというか共通項はひとつ。「DEKUミュージック、ラブ」!
●破 内容
こちらが特設公式ページです。
さあ、基本的なデータをわかったところで、さっそく視聴音源きいてみませう!
……テンションたけえ!
あのクールでスタイリッシュなDEKUメロを、再解釈、再構築していく。
で、本来ならDEKU氏が使わない音を、がんがん使っていく。
ハードコアなビート感であったり、ラップであったり、シンフォアレンジ入れるセンスであったり。
比較的原曲に近いようなアレンジでも、音色を混ぜたり研ぎ澄ませたりで、「衣替え」というか、或る意味でDEKUメロの強度を確かめることができますし、「お、いつもと違うね」……これこそがアレンジの醍醐味っすよ。
各アレンジャーの共通項としては、
「ネタ的に遊ぶのがない」
ってとこです。たといチップチューンにしても、かなりこれハードキックなアレンジっすよ。
それはDEKU氏の音楽性に対するリスペクトでしょう。
●急 DEKU氏に足りないものが、逆に花開いていくこの現象
あと、もうひとつ共通点として、
皆、「音をすごく磨いている」ってとこです。
そもそもDEKU音楽は、スタイリッシュであることが前提なのですが、キックのあるグルーヴと、そのうわものの音の、どこまでも透明に研ぎ澄ませ、磨かれていることが、まずDEKU氏のシグネチャーなのです。
そのDEKU音楽をリスペクトすることは、彼らアレンジャーが、己の信じる音を磨いて磨いて、ぶつけることであるのです。
だからこそ、これほどテンションが高い!
ざっと視聴音源聞いた限りでは、捨て曲がない。コンピとして面白くないかもですが、そんな腐った戯言は殺してしまえばよろしい。
……おそらく、わたしは、この盤には、ひとつの世界が成立してると思うのです。予感がしています。
もちろん、機能的なことをいえば、これは「ゼロ年代以降の、同人クラブシーンをこれ一枚で概観」みたいなノリで紹介することも可能ですが、
……それには、ちょっと、DEKU氏の透明なる疾走世界が、美しすぎからね。
いわば、これに集結したのは、リミキサーたちのさまざまな各々のビートを、DEKU氏の透明なる世界へのリスペクトでもって、けして潰えることのないイカロスとして、あの空に飛び立つかのようなものなのです。
美を、疾走する美を!
そして、この企画のホストたるDEKU氏の勇気というか男気に、やはりリスペクトでしょう。
ふつう、ここまでしません。
彼にとって愛車のパーツまで売るということは、それだけ本気なのでしょうが、しかしこのような企画は、同人コンピ系の、インディーズクラブレーベルが積極的に企画展開していかないと嘘ですよ!
これほど優れたコンポーザーと、それを愛するリミキサー/アレンジャーが集まっていながら!
東方トランス出せば作業用BGMで売れ売れよー、みたいなしょぼい商売してんじゃないよ。
字数があと少しだ。
これを聴く楽しみは、DEKU氏が「しない」音を楽しむ、というのもある。視聴音源聞いてると、例えばDEKU氏だったら「ここまで音域上げてぎらついた音にはしないだろうな」というのがある。
だがそれは浮いてるとかいうのではなく、DEKUメロと、アレンジャーの編曲のバトル! その熱さを感じていただきたい!
スグリシリーズに思い入れがあるかたは、原曲が壊れるのかも、という懸念があるかもしれない。
それに対しては……まあ、原曲をある程度破壊するのって、クラブ系の常だし(苦笑)
どうしても許せなかったら、あきらめるほかないんだけど、でも、DEKU氏がDEKU氏として、音楽活動していくにおいて、「あえてあっちの方にはいかなかった」っちゅう領域があんのよ。例えばこてこてのユーロとかアシッドとかデジタルハードコアを組み合わせるようなのね。
それはDEKU氏のセンスによるものなんだけど。
でも、このコンピが終わって、きっとDEKU氏も、自身の曲が再構築されたのを見て、また、何かが変わっていきそうな気がする……まあ、これは余談だけどさ。
ともかくも、DEKU氏の音楽の可能性を、最高のパフォーマンスで見ようぜ!
クラブ音楽、テクノ、ハウス、トランス、もうそんな感じの「クールな美メロ」と「さまざまなスタイルの解釈」が聞きたい人は、冬コミか、D-STAGEかメロンブックスへGO!
さらにはブックレットまで凝ってるんだから、スグリファンも、コレクターズアイテムとしてどうだ!
オレ? 予約が開始されたら即注文かけるよ! そして、手に入れたら、全曲レビューするよ!
たのしみです。
●スグリアレンジアルバム宣伝、おしまい。そしてこれのレビューを待っていただけたらうれしいです