同人ゴシックのなかでも特にダークで「救いようのない」、しかしとてもメロディアスなユニット(女性vo、男性コンポーザー)の5th。
フルアルバムとしては、従来サンホラ直系の物語音楽的な要素を取り入れてはいましたが、今作ではそれを排し、ひたすらにゴリっとしたロックを指向した作品です。
しかしシグネチャーである、冷たいピアノ、差し込むようなギター、ラウドなベース、乾いたヴァイオリンは、独特の暗さと激しさを主張します。
Etherは4thから、桜璃氏(vo)に、コンポーザー・RYO氏がvoとして加わり、ツインvoの体制になるのですが、こうなる比率は、曲、アルバム通して三割かな……
しかしこのハーモニーが、すごく聞きもので、硬質な高域と、V系の中域が合わさって、それが音響というか倍音的にも、すごくイイ。
それにしても圧倒的なメロセンス……少し落ちるように音形が下がって、そこから飛翔するかのように「暗く」歌いあげる、まっすぐにーー戦うように。繊細だけど、戦うように、まっすぐに!
「折れそう」で、折れない。ストイックとすら評せるほどの桜璃氏のvoは(少なくともこの編成、第二期Etherでは)欠かせることができません。
Etherのシグネチャーは、ほかにも「てろん♪」としたクリーンギター。これがアグレッシヴな曲にいろどりを加えます。
だがそれは「おちつき」にいってしまうのではなく、むしろ「次の爆発」+「次の【轟!】」への期待をあおるかのよう。
Etherのメローーとにかくこのユニットはメロがいいーーは、V系と、ゴス系に属するのでしょうが、どこか独特。あまりナルっぽさがないというか。
このアルバム、今までがヴァイオリンが乱舞するのに対し、ギターがかなりラウドにフィーチャーされてます。
しかし甘いメロというか、優雅。
そしてストイックで硬質。
豪奢でありながら、仕立てのよい礼装ーーパーティ用のスーツを着こなしているかのような、そういうスタイルのよさと「甘さ」をあわせもち。
しかし暗い。
救いがない。
どこまでも。ジャケのように、黒。
そうーーEtherに。安易な救いはない。圧倒的な悲劇がときに甘美なように、Etherの甘美なメロは、ナイトメアの体現……それを音で美しく表している……かのような、このアルバム。「UMBALANCE」しかし……カッコイイ!