残響の足りない部屋

もっと多く!かつ細やかに!世界にジョークを見出すのだ

2022年のわたしの音の暮らしはこう M3秋、Lo-Fi、ノスタルジア

前回記事 ↓

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2022年秋M3を終えてのお気に入り音源コーナー……はい、「秋2」を書くつもりが、見事にになってしまいましたね(現在12月7日)。
漫画を描き始めるとダメですね。作画にばかりかまけてしまって音楽日記ブログが放置ですよ。すいません。

そんなわけでM3購入のなかでも特にお気に入りだった音源とともに、もう年末なので、今年の私個人の音楽状況を振り返ることとします。
( )の中は筆者が勝手に考えたジャンルカテゴライズです。

●Circle S&G(チップチューン、レトロ音源、ゲーム音楽

sandg.booth.pm

sandg.booth.pm今回の秋M3で一番の収穫サークルさんでした。レトロな音源やドラムマシンを使って、主にシューティングゲーム的音楽、RPGのバトル曲的な音楽を作りまくっているベテランです。
チップチューンには実機勢と言える派がございますが、このサークルさんも「実機ハード音源から鳴らす音」に拘っておられるご様子。その音に対する職人的拘りにも魅了されますが、曲も大変に良いです。

ドラムマシンをビシバシ鳴らすソリッドなリズム。強靱そのものなキャッチーなリフ。勇壮なメロディ。王道ゲーム音楽的ですが、どこか「無骨」な感じもします。これは紛れもなく褒め言葉で、ビートとリフをビシバシ叩きつけ、その上でメロディをホーンライクに勇壮に鳴らすスタイルはどの曲でも不変&普遍。そんな「良い曲」の数々に聞き惚れていまして、今このサークルさんの過去アルバムを少しずつ大事にDL購入しています。大事に少しずつ味わいたいのですよ。と言いながら、昨日もアルバム2作買ってしまいましたがねw

●アルマが遺した金枝篇(シンフォプログレ、物語音楽)

www.youtube.com同人音楽関連の知己がこぞって「良い」「お勧め」と連呼していたサークルさん。いざ自分も聞いてみたら、何という高クオリティ。複雑&豪華編成の全パートを生演奏録音というのも凄いですが、曲展開もめくるめく変わっていく豪華なアレンジです。そしてメロディが凄い。強い。疾走感あふれ美麗な剣(つるぎ)でぶった切ってきます。曲や物語の壮麗なスケールの完成度が高い。

サンホラ(Sound Horizon)直系の物語音楽……というカテゴリを今更言ってもなぁ、と思います。要するに2022年の今、物語音楽というジャンルを考えるにおいて「サンホラをどう発展・改造させていくか?」という論点をどうこう言ってもしょうがないという意味です。それはもう切り開かれ、しっかりジャンルとして確立した分野で、もう論点は「物語音楽でサウンドスケープとメロディを用いて何を物語るか?」でしかないでしょう。これも、もう論点として干支が一周したレベルの今更論点なんですが、一応改めて。


何が言いたいかというと、このサークルさんはすでに、壮麗で突き抜けていくような己のスタイルを完全に確立していますから、これからももっと多くの「物語」を見せて欲しいですね。願うのはそればかりです。
ああ……そうそう、サークル活動を頑張っていらっしゃって、作品はどれも一球入魂な豪華感がございますが、もっと「ひょいっ」と軽い小品を書いても良いんですよ~、みたいなこともちょっと付け足したいかもですw 「小さな物語」を断片的に紡いでいくことも、それも「正義」ですしね。もちろん「一球入魂」の豪華壮麗を実現されていることは、頭が下がるのですが。

 

●Lo-Fiフィルターからノスタルジアへの旅

いや今回の日記のためにyoutubeの視聴履歴を半年ぶん遡ったのですが、SovietWave聴き過ぎじゃボケ、って話なんですが。このノスタルジア音楽(シンセポップ)にハマったのも、そもそもLo-Fi HipHopからの流れなんですよ。図にすれば、

 

Lo-Fi HipHopチップチューン、SynthWave、VaporWave


チル系(ChillWave)、静音系ジャズ(特にギター)ボサノヴァ、音響系フォルクローレエレクトロニカ

SovietWave、Russian Doomer Music


その起源たる80'sポストパンク、ニューウェイヴ、シンセポップ(どっちかというと中欧~東欧、そしてロシア圏域寄り)

 

参考音源:Lo-Fi

www.youtube.com参考音源:SynthWave

www.youtube.com参考音源:静音系ジャズ

www.youtube.com

参考音源:SovietWave

www.youtube.com

参考音源:Russian Doomer Music

www.youtube.com

参考音源:ジョイ・ディヴィジョン(後述)

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という音楽の旅をしてまいりましたこの数年。自分の中ではなんというか「あるある」「わりに順当」的というか、まぁこの流れで音楽を聴くのは普通かなぁ……と思うのですが、どうでしょうか。


音楽を起源的に遡るにおいて、まずどこかで「あぁ、そういうのもアリなんだ」という小さなブレイクスルーが必要なのですね。自分にとってそれはLo-Fi HipHopチップチューン……Lo-Fiフィルターと自分が呼んでいるものでした。数年前の当時、その音体験は自分にとって「癒やし」を求めてのことでしたが、それがこんな豊潤で奥深い世界に誘ってくれるとは。

modernclothes24music.hatenablog.comLo-Fiフィルターを耳と魂に設置し、チルを求めての気の向くままの音楽旅でした。これは自分にとってとても自然なものでしたが、無理しなかったのが良かったのでしょうね。Lo-fiフィルター、チル概念をどんどん本質的に掘り起こしていくと、やがて「ノスタルジア(ノスタルジー、懐古趣味精神)」に辿り着きます。

それは理屈ではすぐに辿り着くものなのですが、私はこの旅を、ゆっくり歩を進めました。そんなゆっくりな歩みのスピードでよかったと思います。理屈で分解して即座にノスタルジアに辿り着くよりも。……拙速スピード感バリバリでノスタルジアをやるって、その時点で根本的矛盾じゃないですかw


そして今SovietWaveを聞くと、まさにノスタルジアが染み渡っていきます。でも今日もやはりLo-Fi HipHopのMIXを聞いているのです。SovietWave一本槍なわけでなく。洋の東西はサウンドの味わいという点で大事なファクターですが、しかし求めているものがLo-fiでもSovietWaveでも、あの「甘くザラついた癒やし感覚」なのは共通しているのですから、もう全部聞いて浸って、チルくなろうぜ兄弟、ってなとこです。


しかしLo-Fi HipHop、完全にブームとして定着しましたね。例えばヨルシカは毎回のアルバムで間奏曲としてしっかりLo-Fi HipHopを鳴らしていますし、近作のデジタルシングルはLo-Fiの影響を指摘しなかったら完全に嘘でしょう。

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もっともヨルシカは流行りに乗ったというよりも、彼らが展開する物語音楽にどうしてもLo-fiの音要素が必要だったから、だと確信します。あ、そうか。流行りの音楽でのLo-Fi需要という文脈でヨルシカ出したのが悪かったです。こりゃ失礼、ごめんなさい。

でもLo-Fiがこんなに一般に浸透したそもそもの下地というのは、やはり80's(シティポップ)リバイバルです。この80'sリバイバル、私としては「良いのではないかしら」とフラットに自然に眺めています。80's再評価のおかげで自分はLo-Fiに辿りつけたし、と考えると、やはり軽く恩はあります。

しかし思うに、この再評価の80'sなるものも、幻想としての代物ですよね。90年代前半の一部も、この80's再評価の中に組み込まれているような気がするのは私だけでしょうか。まぁ別に80's/90's警察じゃないですけど。1985年生まれですけど私。ギリギリ昭和の風吹く中に生まれていますけど。もう昭和って「昭和時代」なんだなぁ、としみじみ。こういう考えもまたノスタルジアの前段階だ。
いやまぁそういう雑なくくりで80's幻想がボンヤリ形づくられて、「エモい」の名のもとに消費されていくのは、前述したように別に悪くは思っていません。フラットに見ています。

 

さて、このノスタルジアの旅ですが、私はまだまだ終わるどころか全然スタートラインに今立っているという感覚がビンビン強いです。もっとロシア語圏(ロシアだけでなくウクライナベラルーシや、ソ連時代も)のシンセポップ、ポストパンクを聞きたい。その為にはロシア語の勉強をしなくてはならない。もちろんロシア語やウクライナ語には前から手を出していますから、私は良いスタートラインを切っています。
同時に、かつて英国80'sニューウェイヴを聞いていた音楽知識も財産として活用できます。Russian Doomerのmixの各バンドのジョイ・ディヴィジョンっぽさって異常なんだ。

いつしか「これから楽しみにしている音源」話になっていますが、多分来年出るのかな~?と思っているのがヨルシカの新アルバムです(現時点で未発表)。デジタルシングルはもう相当貯まっていますし、n-buna氏がLo-Fi曲(間奏曲)を何曲か書けばすぐにアルバム出来るだろう……と思うのですが、そんな安易なアルバム作りをしないのが芸術至上主義バンド・ヨルシカなんだなぁ……。次の物語音楽コンセプトアルバムを楽しみにしていますよ。このところ文学作品モチーフのデジタルシングルを出しているヨルシカ、それらをアルバムとして纏めるのにも興味は尽きないですが、n-buna氏の書く物語をsuis氏が展開するヨルシカの「新作オリジナルストーリー」にも興味津々なのですよ。

チップチューンもSymthWaveもどんどん聞いていきたいです。それから静音系ジャズも。あと、このところでクラシックにハマっているのも、間接的にLo-Fiのチル感覚が影響を及ぼしている可能性大。えーとあとそれから……しかし、チルいチルい言ってる割には、なんだかんだ熱心じゃないですか音楽に(笑)。よかった音楽に退屈していなくて。
そろそろ自作曲もまた作りたくなってきましたからね。来年も頑張りたいと思います。

それではちょっと早いですが、良いお年を~。
今回の記事でだいたい2022年の概観をしたから、年越し~年明けの当ブログ恒例「20●●年に良く聞いていた音楽」記事は、軽くお気に入り音源をカカッと張るくらいにしようかしら、と考えております。

2021年に良く聞いていた音楽 - 残響の足りない部屋

2020年に良く聞いていた音楽 - 残響の足りない部屋

 

お気に入り音源シリーズ バックナンバー

最近お気に入りの音楽(2018/11月あたり) - 残響の足りない部屋

 

音楽の旅の路上にて ーー最近聞いている音楽、カナリヤさんへのお返事その2 - 残響の足りない部屋

↑ 2020年3月中盤

 

最近わたしの音の暮らしはこう - 残響の足りない部屋

↑ 2020年9月

 

最近わたしの音の暮らしはこう2(おるたな) - 残響の足りない部屋

↑ 2021年3月末

 

最近わたしの音の暮らしはこう 2021/08~09 - 残響の足りない部屋

 

最近わたしの音の暮らしはこう 2022厳冬 - 残響の足りない部屋

↑ 2022年2月

 

最近わたしの音の暮らしはこう 2022年3月~4月M3春 - 残響の足りない部屋

 

最近わたしの音の暮らしはこう 2022年夏 - 残響の足りない部屋

↑ 2022年8月末

 

創作漫画制作日誌(4)プロットに囚われ過ぎた半年

時間が欲しい……。
いや、時間はあるはずだ。仕事と仕事の間に、細切れの時間が。日常の雑務や家事の間にも、細切れの時間がある。大事に使おう。でも休憩も大事にしよう。

今は、漫画を描いている。ようやくエンジンがかかってきた。

もっとも、まだネームの完成までいっていない。ネームの試行錯誤のために、イメージボードを描いたり、セリフをノートに書きだしてチェックしている。後述のように、半分まで描いてみたネームを全ボツにして、いろんなミキシングをして、全く別の内容の漫画にしているからだ。

良いネームを作るために、ここで目いっぱい時間をかけたいと思っている。これまでネームはほぼ一筆描きで直感的に構築していたけど、それはネーム=「物語演出のつじつま合わせ」を適当にしていただけ、という自己分析。物語やネームから逃げていた、とすら言える。もっとネームという漫画描きの本質を味わいたい。その為には試行錯誤だ。

画力が欲しい。この場合の画力は、前にも書いた「ネームのための画力」だ。

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さらに具体的には、登場人物のモーションと感情をササっと指定できるだけのクロッキー力(りょく)と、背景のパースだ。コマ割りをまだ決め切れていないイメージボード制作の段階だけど、この二つの画力が今はとにかく欲しい。

けど、今私がその画力を持っていないのは仕方がないのだ。子供の頃から絵を描いていない。そんな人生を歩んでしまったのは自分の選択だ。今が人生で一番若いのだ。なら今、絵を学ぶ決断をしなければならない。

 

この半年、漫画同人誌第3作のネームを作ろうとして、全然出来なかった。自分の画力の低さに向き合いたくないという、いつものグダグダもある。しかし思うに「最初に想定したプロットに囚われ過ぎていた」というのが大きかった。

その最初のプロットをネームに実際に起こしてみたら、漫画としてかなり長くなってしまいそうだった。そしてプロットを全部ネームに起こさねばならない、と意気込んでしまったから、物語の演出や、物語のつじつま合わせが全然上手くいかなくなっていった。キャラの魅力も出てこない。こうなると出来上がってくる漫画は、当然つまらない。何より自分自身がわくわくしない。

最近ようやく「プロットを全部ネームに起こさねばならない」なんてことはない、のだ……と気づいた。今までプロットを描き表すことばかりに囚われていた……!

そこでまず、このプロットをクールに視る。「突き放す」くらいに。そしてまずプロットを分割してみて、特に面白そうな所だけを拡大して描いてみるのもいいんじゃないか?と思うようになった。「全部きちんと」式じゃなく、面白いワンシーンの漫画であればそれで良いじゃないか、式に。

やがてプロットから使えるもの・面白いものを拾っていく、という発想になっていく。こうなってくればしめたものだ。自分の漫画で再びわくわくしてきた。例えば、プロット全部をいきなり圧縮して「あんなこともあったね」式に1コマ1シーンで収める、なんてのも可能になる。あるいは、分割したプロットの1シーンを、全く別のキャラの視点からお話を始める、というのも可能になった。

自由だ。実に漫画の演出が、いや、物語が自由だ。--どうしてこのことにもっと早く気が付かなかったのだろう?と思う。おそらく、漫画という表現手段に意気込んでいたのだと思う。「全部きちんと描けば全部ちゃんと伝わるはずだ」式の考えだ。

しかしハタから見たらこれは危険な考えであることは容易に判ると思う。プロット・ネーム上の「完璧主義」ってやつだ。苦労して全部描いて、必死に全部伝えようとして、結局出来上がったものはつまらない漫画、という話だ。なにより、作者たる自分を食い潰してしまうような漫画の描き方は本当によくない。自分が自由になるために漫画を描くのだから。

「伝える」とか「表現する」っていうのは難しいなァ、と思う。

 

とにかく今は漫画を描きたい。その為の試行錯誤をしたい。つまりは創作に専念している今日この頃。

ネットを見ている暇がない。M3秋オンラインで購入した音源を聞くのは大事な時間だから、その為の時間と余裕は常に作るようにしている。それと休憩以外では、とにかく漫画、絵。合間に模型で手を動かすくらいか。

今は没頭していたい。そういう意味で、最初に述べたように時間が欲しい、と思う。でも、イメージボードならどこであろうと描けるのだ。メモ紙の裏でも良い。セリフチェックも同様だ。

だからスマホを見るな私。見てもいいけどアイビスペイントを起動させろ。youtubeを立ち上げるのは漫画原稿に向かってからの後にしろ。あるいはopenCamvasを立ち上げてからにしろ。

いや、ネットの方には何もない、なんて言うつもりは毛頭ない。私自身がネットに漫画作品を置きたくて、今漫画を描いているのだから。ただ、ネットをたくさん見てから自分が漫画を置きにいくのでは、いつまでたっても漫画を完成出来ないだろう、という理屈です。自分が漫画を描いてからネットに置きにいって、落ち着いた心でネットを見に行った方が楽しいぞ、というね。

そんな毎日です。

 

●過去記事

(3)は上の方で出しました。

 

創作漫画制作日誌(2)作画資料の話、特に着物 - 残響の足りない部屋

 

漫画を描いている - 残響の足りない部屋

↑実質の(1)

最近わたしの音の暮らしはこう 2022年10月、秋1

日々のお気に入り(fav)音源紹介シリーズ。前回はこちら。↓ 

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秋「1」と題しているのは、M3の前なので……。

Sewerslvt

スーア・スラットと読むそうです。オーストラリアで活動していたトラックメイカー。闇と病みを感じさせる世界観を、ノイズ盛りもりの高速ブレイクコアで表現します。高速疾走する中で、精神が冷め覚めと覚醒するようなエモーショナルな音を鳴らします。この音、ノイズには、必死なる意味がある、と感じさせてくれます。

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SewerslvtのバイオグラフィについてはVtuber・乙楽ゆう氏によるこちらの解説動画が非常に参考になります。Sewerslvtの名義や音源の社会的意味や、音楽界隈での文脈、彼女の歩んできた平坦ではない人生の道のりが、Sewerslvtの作品紹介と共に丁寧に解説されています。

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Электроника 302、SovietWave

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エレクトロニカ302。SovietWaveの中でもМаякに続いて気に入っているミュージシャンです。親しみを覚える可愛さのメロディですが、Lo-Fiな音やノイズや声など、どうしようもなくノスタルジアの香りがします。そんなノスタルジック・シンセポップです。

何回も言う事になっちゃってますが、SovietWaveはだいたいそんな感じのノスタルジックな音のムーヴメントです。下記のMIXを参考にしてみてください。正直、最近定番となりしサブベースboom!boom!系のEDMよりこっちの音の方がずっと好きなのですが、そんな私はやはり懐古主義の懐メロ野郎なのか。そうなのでしょうか。

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laamaa「summer 2001」

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動画のトラッカー画面からすぐわかるように、チップチューンです。穏やかな夏のそよ風、サマーブリーズを感じさせてくれます。サウンドメイクはどことなく現代的ですが、メロディも編曲も、そよ風(Breeze)感が大変良いです。

Art Farmer「The Summer Knows」

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アート・ファーマー(本作ではフリューゲルホーン)のリーダー作で、ピアノはシダー・ウォルトンリズムセクションウォルトンが良く一緒に演っていた面子です。日本のイーストウィンド・レーベルより出たものです。大学時代良く聞きました(変な若者だ!)。アート・ファーマーもその頃から大好きだったのですが、シダー・ウォルトン村上春樹が音楽エッセイ「意味がなければスウィングはない」で熱く紹介していて、その流れでも聞きました。

なんともメロディアスでリリカルです。ジャケット通りですね。メロディが良いです。しかしこれも懐古主義なのか。ノスタルジアなのか。否定は出来ない。大学/院時代からこの方の10年近くは、自分のノスタルジア傾向を鍛え上げる道程だったとでもいうのか。嗚呼。

When Summer is Over(チルウェイヴやシンセウェイヴのMIX)

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上記ジャズよりもっと現代的な音像ですが、世界観・魂が通底しています。ていうかほぼ同じやないか。そんなにこういう世界観が好きか。

ヨルシカ「老人と海」Inspired Movie by Hurray!

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だーかーらー!好きな世界観がほぼ同じやないか!寂しい晩夏の世界観がそんなに好きかッ。

しかし、この動画を担当している「Hurray!」(フレイ)という映像制作チームが私は好きなのです。絵も、編集(とくにテキストをサッと切れ味良く挿入するタイミング!)もとても好きです。ヨルシカ「だから僕は音楽を辞めた」「雨とカプチーノ」でこのチームは才能を発揮しまくっています。Hurray!のぽぷりか氏はヨルシカ「藍二乗」でも、実写ですがMVの監督・演出でその手腕を如何なく発揮していますね。

hurray.fun

national network「nocturnal depression」

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サウンドコラージュなMIX。壊れた音声や、ノイズ乗りまくってダルダルになった懐メロを繋ぎ合わせています。世界観は動画の写真のように「夜間の鬱」。夜にぼんやりした心地でTVの毒気の無い深夜番組やフィラー映像を見て、壊れそうになってる陰鬱なこころを、TVでなんとか繋ぎとめているかのような……。わかる、わかるぞその世界は。どこにも行けやしないんだけど、夜の空に夢想することでなんとか自分自身を繋ぎとめようとしているんだ。

レイ・ハラカミくるり ばらの花」Remix

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音もだけど、この動画の光に滲んだ情景の流れを見ていると、涙出てくるんだが。疲れていると余計に泣けてくるんだが。本当に自分はNostalgiaってものを……

Chuck Wayne「Morning Mist」

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前に、Lo-Fi HipHopの流れでハーブ・エリス(ギター)を再び聞くようになった、って話をしましたが、その流れでチャック・ウェイン(ギター)を聞くようになりました。穏やかな朝に似合う音楽です。トゲトゲしいことはなく、まったり。でも音楽は気持ちよく前を向いて演奏しています。ジャズギターの軽やかで豊かな音色があります。

↓ Lo-Fi HipHopで音楽観が変わった話(ハーブ・エリスについては後半部で)

中年音楽マニアとLo-Fi HipHop - 残響の足りない部屋

パトリック・ガロワのフルート演奏

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先日のキャンプから、クラシックづいています。その中でも穏やかな曲を良く聞いています。どうもここのところ、そんな音ばかり好んでいますね……。このブログ記事がその証拠。
さて、フルート奏者・パトリック・ガロワの演奏の4枚組CDを買いました。内容の半分くらいがフランス系作曲家の作品ですね。メロディも良く、フルートの演奏も確実でしっかりしていて、王道で、深みがあります。フルートという木管楽器の中域の音色は良いですね。すっと染みわたってきます。

マリア・シヴィッターロ「マンドリンの芸術」

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前にマンドリンという楽器に興味が出て、マリア・シヴィッターロの3枚組CDマンドリン全集を買いました。楽器特有のトレモロがなんともユーロ哀愁です。

中でもベートーヴェンが書いたマンドリンのための曲が、個人的にこの盤の中で白眉でしたね。マンドリンを通常のトレモロ奏法で明るく鳴らすだけでない、ベートーヴェンの真剣な思索が感じられるメロディの良い曲です。ベートーヴェンマンドリン曲をまるで知らなかったのですが、それでもこの曲を聞いて素直に「良い曲だ」と思いました。

そして同時に「digったぜッ!」という喜びもありましたねw レア・グルーヴじゃないんだからさぁ。でもレコードをdigる喜びってそういうものですよね。良い曲に出会うという悦びです。

岸田教団&THE明星ロケッツ「転生したら剣でした」

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中域に膨らみのある轟音ギターの歪みからガツンとイントロです。不退転の勢いでもって疾走、爆走!ゴリゴリに攻めています。ロックです。メジャーデビューして結構時間が経ちましたが、全然攻めていますね。曲は良いし、はやぴ~氏のギターソロも相変わらず素敵にムチャクチャです。極東のロックンロール、ポップとノイズの素敵な融合をこれからも頑張っていってほしいと思います。

 

ジョン・コルトレーン「My faborite things」ライヴ

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1965年のベルギーでのライヴ。一度コルトレーンの「マイ・フェイバリット・シングス」に惚れたが最後、彼らのこの曲のライヴ演奏漁りは終わらなくなるこのジャズ特有の病に何て名前をつけたら良いのでしょうか。どんなに音質が悪くても、演奏に鬼気迫っていればもう全部許してヘドバンして喜悦ですよ。しかしこのライヴでも無茶苦茶やっていますね。20分近いじゃないですか演奏が。特にエルヴィンジョーンズのシンバルワーク、バッシャンバシャンと。楽しかったんだろうなぁ、バンド演奏が。観客も楽しいでしょうが、演者が一番楽しいものかと思いますよコリャ。

 

そんなわけで、今回のfav音源でした~。
さて、来週は音系・メディアミックス同人即売会「M3」2022秋ですね。これからしっかり事前のサークルチェックをしたいと思います。
祝・M3開催50回!凄いものです。これからもよろしくお願いします。自分もまたサークル参加したいなぁ……。(今回のM3には、8TR戦線行進曲はオンラインイベントでも参加は致しません)

www.m3net.jp

というわけで、次回のこのお気に入り音源紹介シリーズは、たぶんM3秋の後に、「秋2」と称して音源感想を出来れば良いなぁ、と思っております。よろしくお願いします(読者の皆さんへ。そして未だ見ぬ音源へ)

 

※2022/12/7 秋を通り越して冬になってしまいましたが、書きました~

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秋の山林公園キャンプレポート

2022年10月21日(金)~10月22日(土)の一泊二日、シマーネ農業王国の山林キャンプ場にて、秋のソロキャンプをしてまいりました。前からお話していた通りですね。

 

キャンプのはなし(初心にかえって……) - 残響の足りない部屋

 

日記10/18 新キャンプギア、AI絵と哲学と優しさ - 残響の足りない部屋

 

のんびりとした時間を過ごしてまいりました。そんなわけで、鉄は熱いうちに打ての心持ちでキャンプレポートです。

いつもの装備

残響(筆者)はこのキャンプで都合8回目のキャンプになります。もうこれだけ回数を重ねれば、キャンプ回数をカウントしなくても良いかな……と考えるようになりました。自分に合ったスタイルのアウトドアレジャーとして定着したようですね。

さて、今回のキャンプ場は、宍道湖を見下ろす高台……というか山の上の方にございます。これは伏線ですが、「標高が高い」ということで、後々私があんな目に合う事になろうとわ……。
そんなわけで当山林キャンプ場、管理棟からの見晴らしが素晴らしいの一言です。

展望デッキから湖をのぞむ

同じ所で夜景も見ました。右手に宍道湖をのぞみ、左手には出雲市の街の灯り(シティ・ライツ)の煌めきを眺めることが出来ます。正直染みました。この風景が目に飛び込んできたときは「おおっ」と思ったものです。こころが疲れているのか?

夜景

街の灯り(シティ・ライツ)がピンボケしているのはお許しください……さすがにスマホカメラではレンズ露出の限界がー

 

キャンプ場内は、山林だけあって、自然豊かです。木々は少しずつ紅葉し、また珍しい山の植生も目を楽しませます。こころが休まります。この「のんびり」を求めてキャンプに来ました。日ごろ、神経的な俗世にまみれていると、やはり疲れてきます。自然の中で、ひとり自分自身と対話するのが必要なのです。私はキャンプにそれを求めています。

イチョウ

スッと伸びる樹

森へ続く道を散策していて見つけた花

こもれび

夜になったら、持ってきたキャンドルの灯りをともしたり、焚き木で炎を焚いたりします。まさに静けきなかでの自分自身との対話です。

キャンドル

風がやや強く炎の勢いが

今回、キャンドルの灯りと焚き火の燃える様子の動画をスマホで撮ってまいりました。よかったらご覧ください。虫の音の自然のオーケストラが伴奏です。

youtu.be

 

さぁて、じゃあこれから始めましょうか。大反省大会です。

 

●頭痛

今回のキャンプで悩まされたのが頭痛でした。理由は明確に判っています。

  • 標高が高いキャンプ場まで車で辿り着く時、アップダウンやカーブが多くて若干車酔いした
  • 翌日(22日土曜)の雨を前にしてかなりの高気圧になり、気圧頭痛
  • 焚き木の不完全燃焼

今回、事前に危惧していたのが「寒さ」でした。天気予報を見るとその日の最低温度が9℃くらいだ、というので。なのでUSB電気毛布などを導入、冬用キャンプ装備を入念に整えてキャンプに臨みました。

ところが実際その日の夜を迎えてみると、山の寒さ(標高が高くなると平地より気温は下がる)も感じず、雨を前にした高気圧で実に暖かかったのです。

愛用のデジタル温度&湿度計

↑ こんな具合ですからね。寒いわけがないのです。なので、今回寒さという点では、全く問題がありませんでした。

 

しかし、上記3つの理由での頭痛。これがいけません。設営時より頭が痛く、どうにも調子が出ません。なので夕方には早々にテントに籠り、2~3時間ほど寝てしまいました。これのおかげで、だいぶ楽になりました。

それほど寒くないとはいうものの、それでもやはり秋の山の夜なので、やはり多少冷えてきます。なので焚き火をしたのですが、ここで家から持ってきた古い焚き木。これも悪かった。家に保存してあった焚き木、キャンプ前に入念に乾かしてカビを取ったのですが……炎を付けた最初、木の皮をまず焚き火にくべたのです。それがかなりの不完全燃焼をかまして、ダメな煙が出てしまいました。吸い込んでいると頭痛がするタイプのダメな煙です。

さらに風下の隣のサイトにキャンパーさんがいらっしゃって、煙がそっちの方に行こうとしまいます。これは……まずいな、と思い、まず隣のキャンパーさんに煙の件を謝罪させていただきました。特にあちらから苦情は出ませんでしたが、それでも煙が行って息苦しくさせていたのではと考えると、非常に心苦しいです。私はすぐに火を消します、と申し、その日の焚き火を終わりにしました。

実際に煙を私は相応に吸い込んだのでしょう、やがてまた頭痛が少しずつしてきました。外気を感じるだに、気圧はどんどん高くなっていきます。

さらに今回チョンボをしたことには、頭痛薬や酔い止めを少ししか持ってこなかった、という始末!これはミスです。油断が出ました。これまで頭痛薬や酔い止め、ほとんど使わなかったしなぁ~、という「慣れの油断」が招いたミスです。

少量の頭痛薬を大事に使って、その日は眠りにつくことにしました。でもなかなか眠れませんよね……。もちろん、さきにある程度休憩の睡眠をとっていたから、まぁ良いといえば良いのですが。

やはり志摩リンの祖父曰く「慣れた頃が一番危険」なのです。今回は自分の油断が招いたミスです。こういったもろもろの事柄は次回以降してはいけません。そんな大反省大会でした。

(あと今回、靴下を忘れたというのも、地味に痛いミスでしたね。疲労回復の進行度合いに従ってどんどん履き替えていれば、もう少し体調復調も促進されたでしょうに)

 

●キャンプの様子

キノコ鍋を作りました(朝食)

今回、「山の中で山を喰らう(by人間椅子・和嶋慎治)」というコンセプトで、地元スーパーで鍋セット野菜とキノコと肉団子を買い、キノコ鍋を作って朝食としました。前日の夜は、どうにも頭痛で食欲がわかず……。

肉団子は冷凍し、保冷剤替わりとするキャンプテクニックを使っております。念のため小さな保冷剤もクーラーボックスに入れておりますが。

夜が明けていきます

↑ キャンプのこの黎明の時……時間がゆっくり過ぎていき、静けさを感じる哲学的とさえ言える夜明けの瞬間がとても好きです。早起きする価値が物凄くあります。え?だったら日頃も自宅で早起きしなさい?アッハイ……

サルノコシカケ

キノコ採りを趣味とされている尊敬する友人・Nagaleさんと今回のキャンプのお話をしていて、氏より「キノコの写真があればぜひ」と仰っていただけたので、キャンプ場を散策してキノコを探しました。結局、サルノコシカケひとつ(しかもかなり硬質化している)というサッパリな成果でしたが、しかしキノコというテーマを与えてくださったおかげで、自然散策・観察が集中度高く、充実したものになりました。ワンテーマあると、結構集中して楽しく出来るようになるんですよね、こういうのって。Nagaleさんありがとうございます。

自然資料その1

自然資料その2

↑ こういった資料写真が、模型ジオラマを作ったり、絵・漫画の背景を描いたりするときに非常に役立つのです。苔むした石に根が生ゆるところなんてビンビンきますね。

 

●おわりに

頭痛の問題はあったとはいえ、それ以外はとても穏やかにのんびりと過ごすことが出来た秋の山林キャンプでした。また、このキャンプの様子を当日、関係各位の皆様に写真付きメッセージでお送りしまして。その際はありがたいご返信など、お付き合い頂きありがとうございました。

そして、山林キャンプ場に感謝をします。場内は設備が整っていて、清潔で安全でした。とても利用しやすかったです。夜景が見られる展望台デッキは良かったですね。豊かな時間を過ごさせていただきました。ありがとうございます。

次回のキャンプは全然未定です。というか本日帰宅したばかりですしね……w 次回こそ油断せず慢心せず、気を付けて……そしてまた自分自身との静かな対話を求めて、ソロキャンプをしようと思います。そんなわけで、今回のキャンプレポートでした。お読みいただきありがとうございました。

 

P.S.(追伸)

キャンプでその他やったことは、読書と音楽聴きでした。洋書の小説と洋書ゲームブック、それから各種TRPG/アナログゲーム雑誌。音楽はクラシック音楽ばかり聞いていました。なんだか非常に染みました。

 

展望台デッキから(その2)

●P.S.2

何ィ!!?? ゆるキャン△アニメ3期ッッ!!!??(この日記ブログをレッズ・エララのついったー告知投下した時にたまたま見た)

 

日記10/18 新キャンプギア、AI絵と哲学と優しさ

●冬キャン・ギア(USB電気毛布)

先日のキャンプ記事の続きです。

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My New Gear……ということで、USB電気毛布です。いや、今週末行く隣町の山林キャンプ場なのですが、当日の最低気温を天気予報で見たら、どうも8~9℃っていうじゃないですか。寒いですね。現在冬はおろか晩秋までもいかずの秋ですが、どうも冷え込みが急。

冬キャンプの経験はございます。それ用の装備も、もちろん備えております。冬用のキングサイズ寝袋(わたくしの図体がでかいもので……)を使いますし、ホッカイロも持っていきます。服も冬用のを着ていきます。ですが、それでもまだ不安。一年ぶりのキャンプということもありますし。この不安がるビビリ精神は、キャンプというレジャーにおいては安全側の良い傾向なのでしょう。しかしそれでも、不安に苛まれるのはよくないですし、「準備をしとけばよかったーッ」と後悔もしたくない。

なので、本日ホームセンタでYAMAZENのUSB給電式電気毛布を買ってきました。モバイルバッテリから給電するポータブル・タイプです。今この日記記事を打鍵している最中も、試験的に膝にかけておりますが、あったかいナリィ……。これは「良い」ですね。寝袋の中にも入れられますし、キャンプ椅子に座る時のブランケットとしても使えます。冬に作業机でまんがを描く時にも使えます。これまで、冬、机と椅子で作業をするのは寒かった……(当然の理屈)

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先日、モバイルバッテリも大容量のを2個買いました。それまで使っていたポータブルのモバイルバッテリが、さすがに少容量で、キャンプには心もとなかったのです。長年使用しているので、供給電力にも不安がありました。今回、USB電気毛布もこの大容量が2個あれば大丈夫でしょう。

 

●続・AI絵の話

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この話題(AI絵)、いま私はほとんど追っていないです。それでも聞こえてくる話は、AIの進化が凄いみたいですね。

ところで、このAI絵でこんなに話題になる……ということで思うのが、「結局多くの人は、ご自身であまり絵を描きたくなかったのかな」ということです。たぶんね。

絵を描きたいというより、絵を「欲しい」という。結果としての絵をこよなく愛す反面、手段としての絵を愛せず……という。

その気持ちは凄くよくわかります。とくにそれが「絵が描けないコンプレックス」に基づくものだとしたら、私の同胞と申す他ありません。自分の画力の低さに絶望し、しかしそれでも絵が「欲しい」、というお話は、本当によくわかる。本当に、私の同胞です。自分の画力をスルーして絵を描くことが出来たのなら、それはどんなに夢の魔法かと。

たまたま、今の私は「絵を描くことを趣味に出来んものか」と考えて、現在絵の勉強をしています。歩みは遅いです。全然絵が上手く描けない。絵という「手段」を本当に自分は趣味として愛せるまでに育てあげられんのかい?と何度も思います。でも、自分は絵を描いてみたいのです。「絵を描く人生」を送ってみたい。

 

AI絵の問題は実は哲学の領域に足を踏み入れているのだと思います。

哲学者は哲学の問題解決を、他人まかせに出来ないのだ、と言う話があります。「俺(他の哲学者)がこの問題はここまで解決しておいたから、お前(哲学者)はここまでの思考をスルーしても良いよ」という訳にはいかない、という話です。

これで言うなら、科学は「積み重ね」が出来ます。「俺(他の科学者)がここまで考えておいたから、お前はここまでの思考をスルーしても良いよ」ということが成り立つジャンルなのです。「巨人の肩に乗る」ことが出来る。ところが、哲学はそうはいかない。

哲学者が問題を抱えるのは、その哲学者自身の実存に関わってくる問題である。哲学者自身が解決を導き出して納得せねば、他人にどう言われても、自分は納得しない。出来ない。例えるなら、「俺はカレーをここまで食べておいたから、君はここからカレーを食べていこう」と言われるのに等しい不条理がある……という話。

これに似たところが、私とAI絵を巡る話であるのです。焦点は「私が絵を描くこと」にあって、AIが絵を描いても、「私が絵を描きたい気持ち」は無くならないのです。いや、もっと渇いて、餓えることになるのだと思います。なぜなら、「私が絵を描いていない」からです。私がやらなくちゃ、渇きが満たせないジャンルがあり、そういう人間がいます。私であったり、あるいは世の中にもこういう人間がそれなりに居るはず。絵に執着する……呪われた人間が。

 

さて一般論。絵が描けない、という現実を突きつけられて、己の無力感というか、敗北感に触れることになります。これは、学校において勉強が出来ない、とか、運動が出来ない、とかと同じものです。たまたま、現代社会では「絵が描けない」ことが、人間性の否定とは結び付かないので、絵が描けなくても差別されることはありません。それが勉強(学問)だったらそうはいかない、という。

私は今でこそそれなりに本を読み、勉強をする人間です(と思う)。絵を描くにしたって、まず画法書から買い込みましたからね。でも、そうであるがゆえに、ある方面での優しさというものが欠如していっている人間だ、ということを、最近よく自覚します。

たまたま私は、絵が描けなくても良い社会で生き、たまたま私は、勉強・学問が苦ではないように発達した。しかしそれが故に、「勉強をするだけで苦痛、敗北感、差別感を味わう」人たちの気持ちを忘れていた。

私だって昔は、数学とか全然出来なかっただろう、と。たまたま大学時代に自分なりの勉強の仕方を覚えたから、独学で数学に親しむ今がある。そして、数学を苦手としなくなったから、かつての理系コンプレックス(アレルギー)を忘れようとしている。愚かだった時代、みたいに。

優しさがない。おそらく、AI絵を巡る議論にも、この私と同じように優しさがない。優しさの無い議論は、どうにも0か100かになりやすい。そこにコンプレックスとエゴが付与されると、もう蟲毒だ。

AI絵の議論に対して、私はたまたま「絵を描くことを趣味にしてみたい」という気持ちがあるから、自分自身が絵を描く理由はきちんとあるのだ、という立場になれている。そういう立場上、まだ精神安定は良い。自分自身で絵を描く勉強をし、作品を作っていれば良いのだから。

でも、「とにかく絵が欲しいッ!」という人や、「AIの方が楽に絵が出来てしまう、くくやしい……」という人、「AIに自分の仕事や存在意義が脅かされるッ!」と焦る絵師の話を聞くと、やはりこの問題と議論に、優しさが欠けている、と思う。そして私自身の立場がのんきなものかもしれない、とも。

答えは出ませんね。ともかく、「私は」絵が上手くなりたい、と思う。なんのために絵が上手くなりたいのか。絵で思考したい、絵で楽しみたい。絵で「自由」になりたい。それらは、私自身が描かなければ得られない価値なのです。まぁ、渇きや餓えを癒したい、と言うこの気持ち……絵の呪い。これを強迫的・焦燥的に解決しようッ!って考えるのも、また問題なので、長いスパンでもってじっくりと絵を学んでいきたいと思います(肝に銘じる)。

ブンドド工作少年の人生は30年も続く

私(ブログ筆者)は、ただ今36歳です。もうそろそろ来(きた)る10/24に37歳です。

ところで、私が模型に初めて触ったのは、3~4歳の時の元祖SDゲルググです(キット対象年齢10歳以上)。そこから模型でブンドド遊びをする人生がはじまりました。SDゲルググは親に作ってもらったもので、自分自身でプラモを作るようになったのは、もうちょっと後ですね。自分で作るようになったのは、1991年のSD頑駄無……地上最強編の時あたりからかな。6~7歳の頃ってことですか。

ということは、模型人生30年ですか。まさかここまで自分の模型ブンドドが続くとは思いませんでした。

まぁ、何度か途中で止めた模型趣味ではありますが、結局いつかは復帰している。そんなわけで私は自分のことを出戻りモデラーと思っています。別にその事で引け目は感じておりませんし、何より私が今も模型を続けていられることは嬉しく思っています。

そうは言うものの……経年の実感がないのも事実。30年経ったとはいえ、私が模型を作る時の実感覚(趣味感覚)は、今も小学4、5年生のままで止まっている感がございまして。「ええっ、SEEDってそんな前なの?」。前なんだよ。20年は前なんだよ。

●ブンドド「なんか」

模型でブンドドなんかを30年ねぇ……。「なんか」と書いているように、昔から私は模型を改造したり、ブンドドしたりするのを、どこか幼稚というか、低級な遊びと思っていました。世の中のモデラーは凄い作品を作るし、ジオラマを作るし。フィギュアも凄いし、ドールハウスも凄い。それに引き換え、私はブンドドである。幼児性の極みではないか。結局ブンドドするために、作ったキットもすぐにバラしてミキシングするし。だからろくすっぽ完成品が残っていない。

ただ、そんなことを何十年もやってきているのだから「立体物を手で触って自由に発想する」ことだけは長けているらしい。それでストレスを感じたことは一切ないし、手慰みをしていればきっと何かを発想するだろう、っていう無意味な自信だけはある。これが……これが自分の特技なのか。

正直、絵を描ける特技の方がよかったよナー、と思ってしまいますが(苦笑)。それでも、子供の頃、絵よりも模型をやっていて、結局未だに模型の方がストレスフリーだという現実。「えーっ」と思ってしまうところがございますが……でも、ささやかなりとはいえ、ストレスフリーに出来る特技があるのは、人生よかったのだ……と納得させましょう。うーん……。

思えば、私が子供の頃、すでに周りの子供はビデオゲームばかりしていて、手を汚して模型を作るという子供は、かなり少なかったように記憶しています。そういえば、模型屋で同級生・クラスメイトと会ったことないな……。今さら気づきましたが。

そんな風に、子供の頃から自分の世界、箱庭でブンドドを繰り返してまいりました。うん……ブンドドや模型改造に費やした時間は、10000時間なんてとっくの昔に越えていますね。今まで考えたこともなかったですが。だってブンドド「なんか」ですもの。誰に自慢できる趣味でもない。

でも、趣味を他人に自慢しなくちゃいけないのか?と考えたら、全くそんなことはないですね。自分も昔は承認欲求がありました。けど、今、承認&自慢よりも、ストレスを解消できたらそれで良いや、と考えたら……結局子供の頃のブンドドに戻ってきてしまっているのです。結局これかよ。でも、自分はこれでいいや、と今は思える。「私が今も模型を続けていられることは嬉しく思っています」と先に書きましたが、こういう文脈というか、今までの歴史があって、思えていることです。

●最近の人形工作

最近は、オリジナルの人形を作っています。もちろんドールとまではいきませんが、オリジナルキャラを作っています。造形用粘土にポリキャップを仕込んで素体を作り、プラモデルのパーツをおもいっきりバラして、人形の小物や服に見立てて付ける。また、紙で髪の毛を作ったり(駄洒落じゃないよ)、布で服を作ったり。

オリジナル人形の素体(ボディ。黒いのがポリキャップ)

そう書くと、模型人生が遠くまできたような気もしますが、やっていることは結局相も変わらずブンドドなのでした。このオリジナル人形も、多少ヴィネット的なミニジオラマに配置することは考えているが、それでもやっぱり部屋でブンドドして遊ぶ。気に入らなくなったら即座に改造する。

そんな風にして、ブンドド工作少年の人生は続く。今は、オリジナル人形のためのオリジナルパーツを工作するために、取っておいたランナーを切り刻んでいます。プラ棒にしたり、加工したりね。しかし、箱に入っているこのランナーを見て「どうすんだこれ……」と思ってしまうのも否定しない。

どうすんだこれ その1

どうすんだこれ その2

また、最近は、ガンプラなどからパーツをもぎとるのはいつもの事ながら、そのもぎとりパーツを小さなケースに入れて、ちゃんと管理しようとしているのですよ。もちろん自作オリジナル人形のためです。(ケースの上のは針金です。もちろん人形作成に使用)

パーツBOX(小)

こういうことが出来るようになったことに、自分は大人になったという実感をしみじみ持つのだよなぁ……。えっ、小学生の餓鬼でもやってる? はい、まことその通りですね。返す言葉もございません。

 

●ドール特撮写真

それから、ドールでこういう特撮写真を撮ったりしています。この背景は100均で買った背景ボードです。今は便利ですね……。

↑ 最後のこの植物は、模型ではなくて実際の植物・ミニ園芸です。ドールを立たせてみました。

また、今は背景美術を自分で描くこともやっています。この空の背景がそれです。

30MM、エスポジットβ

こういうのはストレスなく楽しく出来ますね。スマホで撮って、フィルタをかけて画像編集をしています。
また、自作の撮影ブースも作っちゃったり。

肖像 その1

肖像 その2

この2枚の肖像写真は気に入っていますね。こういうのも私の中ではブンドドなんですよ。

 

●参考記事

modernclothes24music.hatenablog.com

↑ 安全第一は大事ですね。

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↑ 「結局、箱庭工作と音楽かよ」というこの気持ちは、悪いものではないです。